加曽利貝塚で縄文土器づくり

10月に国の特別史跡に指定されたばかりの加曽利貝塚(@千葉市)で、4回にかけて、縄文土器づくりの講座を受講してきた。特別史跡といっても観光地めいてなくて、草むらに足を踏み込むと巨大なバッタがぴょーんと飛び出してくるし、いろんな種類のドングリがたくさん落ちている、とても豊かで素敵なところ。

縄文土器作り体験自体は他の博物館でもできるみたいだけど、そのなかでも加曽利貝塚は草分け的な存在のようで、実際に作ってみないとわからない様々な技術を知るために、50年も前から研究しているそうだ。実物の土器に近づくことにこだわって追求しているので、ここでは創作は禁止されている(いかに本気かわかる)。
現代アートを作れるのは現代人だけなのと同じように、縄文土器を作れるのは縄文人だけ。どんなに研究しても現代人は縄文人にはなれないのだから、オリジナリティを出す必要はないのだな。
講師の先生は縄文人になりたいと本気で思っているようで、しゃべりだすととまらず、わざわざ石をたたき割って打製石器を作ってみせてくださったりと、縄文愛と知識がだだ漏れになっていてとても面白い方だった。他の受講生もかなりの考古学好きが多いようだった。

1日目 粘土づくり

千葉市内の住宅造成地から採取してきたという粘土を寝かせて砕き、砂と混ぜたもの。
これに少しずつ水を加えて、練る。練るというより、叩き付ける感じ。ものすごい体力が必要。
でもいちばんやってみたかったのは粘土づくりだったので、満足。

2日目 形づくり

1週間寝かせて粘りが出た粘土を紐状にのばし、モデルの本物の土器と見比べながら整形していく。
わたしが選んだモデルは「堀之内II式」土器。堀之内貝塚は市川市にある縄文後期の貝塚。

モデルの土器は形はきれいなのに模様は超適当なかんじ。
これを作った縄文人は飽きっぽい性格だったんだろうか。
植物の繊維を縒って作った縄を土器の表面でころがして模様をつける。
縄目が斜めなため、思いがけない方向に模様がつくのに戸惑う。

3日目 ミガキ

ハマグリの貝殻を使って、半乾きの土器の内側をみがいて滑らかにする。
よく磨かないと、水漏れするらしい。

4日目 焼き上げ

一ヶ月乾燥させた土器を焚き火のまわりに置き、温めていく(急に火に入れると割れてしまうので)。
前もって、化学繊維の服は溶けるので避けるようにと言われていたが、改めて調べると化学繊維の入っていない服ってとても少なくて困った。靴もいつものクロックスだとまずいので革のブーツを引っぱりだしてきた。

焚き火の中に投入。熱い!あわてて顔にタオルをまく。

土器全体が真っ黒になったら、上に枯れ枝を積み重ねてさらに盛大に燃やす。

土器づくり同好会の方たちが、大きな土器を使ってスープを作って振る舞ってくださった。
土器の底を土に埋めて使うのが正式なやり方だけど、それでは火のまわりが遅いので、三脚を使って調理。
木更津で採ってきたという、直径2cm弱の巻貝「イボキサゴ」の出汁がきいていた。
ごちそうさまでした。

焼きの時間は実質1時間くらいだったかな。意外に早く焼き上がる。
さました土器に水を入れて、水漏れしないかの実験。
わたしのは1分半くらいで水がしみてきた。下半分のみがきが甘かったようだ。
(でも上手に出来ても30分くらいで水漏れしてしまうものらしい。)
出来上がりは赤茶色になるはずだったが、わたしのは焼きが足りなくて二度焼きしたので、黒くなってしまった。でもモデルの土器も黒かったからちょうど良かったかも。

ぐったり疲れて帰宅して鏡をみると、ほっぺたが真っ赤になっていて、しばらくしたらきゅうにかゆくなってきた。ワセリンを塗ったくったらどうにかおさまったけど、軽くやけどしてしまったみたい。

土器は水洗いして持ち帰った。水漏れするから煮炊きには使えないし笑、お菓子入れにでもしようかなー。