リアルであいまいな思い出

わたしは読書家ではないけれど図書館は好きで、知らない図書館を見かけるとついついふらっと入ってしまう。(いっとき、図書館カードを10枚以上持っていたこともある。)
ごくふつうの図書館でも、それぞれ独特の雰囲気があって面白い。

また、はじめて行く町では、必ずスーパーマーケットをのぞくことにしている。
物価が違ったり、商品が違ったりしているのを見るのが楽しい。

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絵を描くとき、わたしの場合は、大半の時間は単純作業なのだが、そんなときに、いつか見た図書館やスーパーの情景が、なぜだかぽっかり頭に浮かぶ。
突然、やけにリアルに、ついさっきのことのように思い出す。

それは以前よく通っていたところだったり、どこなのか忘れてしまったところだったり、本当にそこに行ったことがあるのか、夢だったかもしれないところもあったりして、思い出そうとすればするほど夢と現実の境界線があいまいになっていく。

いくら図書館やスーパーが好きといっても、大切な思い出というほどではないのに、わたしが死ぬときに、走馬灯のように浮かぶのはこんな情景なのかも知れない。