東方のイラストレーションポスター展

多摩美術大学美術館「東方のイラストレーションポスター 中国・韓国・日本」展に行った。

中国のは、毛沢東の肖像とか、共産党のプロパガンダがほとんど。
こういうのもまたイラストレーションなのだな。イラストにはそういう力もあるってことだ。
水彩のリアルタッチの絵が中心だったが、なかには水墨タッチのもあって、面白かった。
80年代くらいになって中国の伝統的な図柄が復活してきて、90年代にぽっと空白があって、21世紀に入っていきなり現代的なものがでてきたみたいな印象。
中国では、ポスターを家に飾る習慣があって、じわじわと人民を感化していくらしい。すげえ~。

韓国のは、中国に比べたらモダンで洗練されている。でも全体的にやや洗練され過ぎというか、今回展示されていたものがたまたまそうだったのかもしれないのだが、ソウル五輪のポスターとか、わりと公的なもの、堅めなもの、外国を意識したものが多かった。
デザイン的なものが中心だったので、もっとイラストをたくさん見たかった。

中国も韓国も、歴史的にそうなるのだろうけど、展示されていたのは50年代以降のものばかりだった。

日本のは、20世紀初頭くらいのものからして、三越や資生堂の広告だったり、かなり柔らかめ。
有名なデザイナー・イラストレーターの作品がひととおりきっちりとならんでいて、壮観ではあったが、点数はそんなに多くなかった。ポスターだとやっぱり写真のほうが主流ってことなのかなあ。日本でもプロパガンダのポスターはたくさんあったと思うんだけど、そういうのは展示されてなかった。反戦のものはあったけど。韓国にも巡回展示するそうだから、考慮したのだろうか。

今回見た限りでは、3つの国のポスターにたいする考え方そのものが全く違っていた。政治、経済的なことが大きすぎて、単純に比較することにはあまり意味がないように思った。
ただよくわからないけど、なにか東洋的な共通の雰囲気があるのはたしかな気がする。

それにしても、柔らかかろうが固かろうが広告は広告で、広告のためのイラストというのは、歴史や時代の流れがものすごくダイレクトにあらわれるし、左右されてしまうものなのだな。

今回はアニメとかキャラクター系のものは展示されてなかったが、北京五輪のマスコットは、たぶん東洋人ならグッと来る可愛さだ。
ファンシーとヤンキーの絶妙なバランス。
あれをメインカルチャーとして堂々と表に出せる中国の勢いってすごい。

愛知万博のときのモリゾー・キッコロは可愛かったけど、
どこかわざとハズしている感じがあったのは現代の日本人の感覚をよくあらわしていたと思う。

そういえば多摩美術大学美術館はサンリオピューロランドの隣にあった。サブカルチャーのほうがじつはメインであるというのが東洋的(現代的?)なのかな。
もともとメインとかサブとかいうのはたいした問題ではないとわたしは思うけど。