「ラ…!」

わたしは中学・高校とずっと放送部だったし、高校では演劇部にも入ってたので、毎日毎日、田んぼやグラウンドにむかって大声で発声練習していた。(中学は田んぼの真ん中にぽっかりと島のように建っていて、発声練習すると、やまびこが響いてきて気持ちが良かった。)
大学のときもミュージカルのサークルに入っていて、腹筋・背筋とか鍛えていたので、そのころがいちばんよく声が出た。
じつはその後も、意味もなくボイストレーニングに通ったりしていた。

そんなわけで、わたしは声が大きいし、時々大声を出さないと気持ち悪くなる。
受験勉強のときは歌いながら勉強するとすごくはかどったし、前の部屋はマンションだったからけっこう本気で歌いながら絵を描いていた。
いまは壁のうすいアパートだからがまんしてるけど、気がつくと鼻唄を歌っている。

会社員のころは、なにが大変って、ずっと歌わずに仕事しなきゃいけなくて大変だった。
でも一度、デスクワーク中にいきなり

「ラ…!」

と大声で歌いだした自分にハッと我にかえって、すごく恥ずかしかったことがあった。
とはいえ、それを思い出すたびに赤面するかというとそんなことはなく、会社勤めが向いてなかったのだから仕方がないと思うのだった。

それより気になるのは、あのとき歌おうとした歌がなんだったのか思い出せないことだ。
歌いだしが「ラ」の歌って、なんだろう…。
「ラ・バンバ」?(←今調べたら歌いだしはラじゃないみたい)
「ラブ・イズ・オーヴァー」?
うーん、なんかキーが違うんだよなー。それにたしか裏声だったし…。
今でもときどき、あれが何の歌だったのか考えているわたしであった。

あーあ、いつか防音つきのお部屋に住みたいなあー。(つまりなにが言いたいかというと、カラオケに行きたいってことです。)