アヴァンギャルド・チャイナ

アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―展(国立新美術館)に行った。
中国は、他の国々でモダニズムが終わった後に、一気に現代美術に触れたっていうんだから面白い。

「表現の自由を回復する有効な手立て」としての現代美術。そうかあ、そういうものかあー。
やはりモダンというよりアヴァンギャルドという呼び方が合っている。前衛というか、アングラというか、すごく攻撃的。

作品からは切実なエネルギーを感じたが、全体的にかなり暗いエネルギーだった。
他の国々のアヴァンギャルドに比べても「お洒落さ」が抜けてると思う。
でも、政治的だったり、社会的だったり、明確な敵が存在していて、芸術運動の集会の資料とか見ても、なんだかむやみに臨場感があった。
外国人からみても、作者の感情や動機や、やむにやまれぬ衝動がありありとわかる。言葉に変換してああだこうだと言いやすいし、批評されやすいと思う。

政治とか経済とか戦争とかが歴史のメインストリームなのだろうが、美術は、それとは別の流れで(もちろん政治とまったく切りはなすことはできないが)、批評的に、世界なり時代なりを俯瞰するためのきっかけとして利用されているのだ。
それはそれで面白いけど、美術は本来個人的なことのはずなので、とても不思議だ。
個人的でも、世界に開かれてるものと開かれてないものとがあるということか。

最近の中国美術は、政治的なテーマから離れる傾向にあるようだけど、逆に言うとちょっと前までは芸術家も政治のことで頭がいっぱいだったんだな。

今、中国の政治家は美術をバックアップしてるらしい。政治経済だけでなく、文化が認められなければ一流の国になれないからだそうだ。
中国の作家は国のために絵を描くという意識を持って活動しているのだろうか。
売れる作品は人を集めて大量生産したりもするそうなのだが、そういう姿勢は社会主義と関係あるのだろうか。それとももっと昔からそういう傾向があるのだろうか。