謎のデザイナー 小林かいちの世界展

きょうは、ニューオータニ美術館「謎のデザイナー 小林かいちの世界展」へ。
最近になって注目されたそうだけど、大正~昭和初期に京都で活躍した図案家。封筒とか、絵はがきのデザインをたくさん手がけたらしい。
でもそれは10年間くらいで、その後は友禅の図案をしていたという。
そんな、経歴もはっきりわからない人が再評価されてるってすごいことだ。

かいちの作品は、アール・ヌーボー調で、ちょっとエルテ風のものもある。
金色・銀色の使い方と、薄紫のグラデーションの美しさが印象的だった。
一枚一枚を単品で見ると、絵としての完成度は高くないが、たくさん並んでるのをみると、なんともいえない情緒があるし、素朴な木版の印刷が味わい深くて、とにかくセンスがいい。

人物の顔はほとんど描き込まれてないし、手の描き方なんかも少し適当だけど、たぶん仕事が速くて、ものすごく大量にデザインしてたんだと思う。
これは絵はがきなので、買った人が上に文章を書き込んで使うには、このくらいスキのあるくらいが、邪魔にならなくてちょうど良いのかも。
世相に敏感に反応して流行を自由自在に取り入れたり、図案家に徹してるなあ、仕事人だなあ~、って感じだった。

意外だったのは、この絵ハガキを使ってたのは主に女学生だったということ。
昔の女学生、大人っぽいな!うーん、たしかに嘆美的なんだけど、少女趣味とはちょっと違うような?いや、同じなのかな?よくわからないな。
これを今このまま真似すると、関西マダム風味になっちゃう気もする。
本物は素敵なのだけど。。。

絵ハガキって、絵をかく人はみんなわりと気軽に作るし、名刺代わりに使ったり、展示のついでに販売したりしてるけど、元々、一般に広まったのは、日露戦争の時に、戦地の兵隊さんと手紙をやりとりするために使われて、大流行したのがきっかけだそう。
ハガキひとつとっても、歴史とか政治とか、関係してたりするのだな。