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まだ夏

日曜日に、久しぶりに両親が東京に遊びにでて来ることができた。
母は最近テレビで歌川広重の絵を見て浮世絵に興味を持ったのだそうで、原宿にある、浮世絵専門の太田記念美術館に行くというので付き合った。
花火の風景や、団扇絵など、夏らしい風物の絵を集めた展示で、風景画は広重の絵が多かった。さすがにすてきで、見入った。
小さな美術館だけど、両親も楽しそうにゆっくりと眺めていた。
テーマのせいか、美人画は国貞とか英泉とか少々お行儀の悪い女性を描いたのが多くて、あまり母のお気には召さなかったみたいだけど(わたしは親しみがわいて好きだけど)。
学生の頃読んで面白かった、高橋克彦さんの「浮世絵ミステリーゾーン」という本が最近再刊されていたので、入門編にちょうどいいなと思って母にあげた。

浮世絵ミステリーゾーン (講談社+α文庫)

浮世絵ミステリーゾーン (講談社+α文庫)

  • 作者: 高橋克彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/04/20
  • メディア: 文庫

それから妹と合流して新宿のタカシマヤの14階でお昼をたべたら、広い窓からスカイツリーと東京タワーが両方見えた。だいたい同じくらいの高さに見えた。
どのくらい大きくなるのかなーと言ったら、両親が、スカイツリーは634m、東京タワーは333mだと即答したのでびっくりした。それって常識なの?

いままた怖い絵をたくさん描いてます。まだ下描きだけど、いいのができそう。
朝ドラの「ゲゲゲの女房」の影響なのか、この夏は、本屋さんに行くと、妖怪など怖い絵の本のフェアをよく見かけた。江戸時代の読本の挿絵とか。
見るとたしかに怖いんだけど、けっこうずばりと怖いものそのものを描いていて、好奇心丸出しで細密に描写されているので、かえってちょっと笑っちゃう感じがあって、あんまりわたしの絵の参考にはならないなあと思った。(だいたいあんな細かい絵は描けないし、怖いの苦手だからマニアックにもなれないし)
江戸時代には今よりもわからないことが多かっただろうし、夜に行灯の光で眺めたら、同じ絵でも、きっとずっと怖さを感じただろうなと思う。
ただ、葛飾北斎の百物語の絵は今みても本当に怖い。意外にシンプルなのに。
でも参考にしようにも、どうしようもない。構図や細かい部分を真似しても仕方ないので、こんな怖い絵が存在するのだ、ってことだけ心に刻んでおくしかない。

このごろ、肉じゃがのじゃがをかぼちゃに変えて作るのがお気に入り。甘いし、皮むきしなくていいからラクちんだし、人参なしでもカロチン摂れるし。
まだ暑いので味濃いめでちょうどいいし。。。

充電

きょうは清澄白河と上野でギャラリーめぐり。
奈良美智の陶芸と、カプーアの大きなつぎはぎ鏡にわくわくした。

上野公園でタイフェスやってたのでガパオご飯たべた。うまー

いまのとこ自分の展示の予定はまったくないです。
去年まではグループ展をたくさんやってて、得たこともたくさんあったけど、でもそうやってエネルギーを小出しにするのは、いまは控える時期かなと。
目先のことをこなしただけで、頑張ったような気になって満足しちゃうとこあるから。
いまは、頭の中でいろんなことがまとまらないままふわふわしてる状態。
ただ、どっかに具体的な目標地点を設定しておく必要はあるんだよね。
ふわふわすることと具体的に動くことを同時にするって難しい。

寺社めぐりと自分探しの旅

きょうも晴れ。上野を発って以来ずっと晴れで、高気圧をしょって歩いてるみたい。

バスやタクシーの運転手さんには、2、3日前までは寒かったんだよと必ず言われた。
ホテルをチェックアウトするとき、あれ鍵がないな~と思って探したら、ドアに刺しっぱなしになってた。そのまま寝ちゃったよ。危ない危ない。

朝イチで観光案内所に行き、自転車を借りた。
窓口に置いてあったガイドマップを片手に、盛岡市内をまわることにした。
まずは盛岡八幡宮へ。石清水八幡宮の分社だそうで、大きくて立派な神社だった。

それからガイドのコース通りにいくと、十六羅漢というのがあった。
一応案内板はでていたけど、一見ごくごくふつうの、風通しのいい小さな公園に、大きくて丸っこい石の羅漢像が、ぐるりと無造作に並んでいた。
もとあったお寺はなくなってて、石像だけが残っていた。土俗的な雰囲気ぷんぷん。
ああ、石に彫るのもいいなあ。質感、重量感、それに耐久性。すばらしい。

湧き水も何カ所かみかけた。町中なのに。飲料水とか洗濯用とか4段にわけてあった。ゆったりと流れる北上川に沿って走るのも、なかなか気持ちよかった。

盛岡城跡公園は、石川啄木の十五の心が空に吸はれし不来方のお城のあと。
啄木のお墓は、函館の父方のお墓のすぐ近くにあるので、なんとなく親近感がある。
ふもとには大きな岩が祀られてた。昨日の三ツ石神社といい、岩手には良い岩が多い。

報恩寺の五百羅漢像を見るのには拝観料が必要だったけど、受付には誰もいない。
お皿の上におつり用の100円玉が数枚、ばらばらと蒔いてあった。
それほど広くないお堂に入ると、四方の壁にぐるりと何段もの棚が作り付けられていて、木彫りの羅漢像がぎっちりと並んでいた。立体曼荼羅!全部で499体あるらしい。たった9人の仏師が作ったということは、ひとり55体以上彫ったってことか。すご~。

それからガイドのコースをはずれて山のほうへ。
グーグルマップに岩清水という地名が載っていたので、これはぜひ行ってみたいなと。

まるで夏のような日差し。暑いし、坂だし、ゼイゼイいいながら自転車を漕いだ。
iPhoneの画面を見ながら、住宅地のような農道のような道をうねうね進んで行くと、グーグルマップによれば、すぐ近くに「岩清水不動尊」というのがあるらしい。
しかし、そこまで行く道が、地図の中にも、リアル景色の中にも見あたらない。自転車を道の脇にとめて、自分の位置の表示が不動尊のほうに動くのを見ながら、こっちかな?いやこっちかな?と歩いて行くと、人んちの敷地の中に入ってしまった。

小高い丘があって、上を見上げると小さな建物があって、農作業中の人がいたので、勇気をだして「お不動さんはここですか?」と聞くと、ぐるっとまわるとあちらから登れるよ、と身振り手振りで教えてくれた。
それで道を探したけど、これがまたケモノ道みたいのが幾筋かあるだけ。こわごわ登ると、小さな鳥居と、岩清水不動尊と書かれた石、そして小さな祠があった。鍵が開いていたのでのぞいてみると、中はきれいで、鏡餅やお酒がたくさん並んでいた。

お参りしたあと、自転車にもどり、岩清水の集落をうろうろしてみた。
看板とか電柱とかに、あたりまえだけど、みんな岩清水って書いてある。
岩清水1番地は、山の斜面の住宅と、きれいな畑。のんびりした風景だった。
これがほんとの自分探しの旅。満足して、自転車で坂道を市街地へと一気に走り降りた。

自転車を返したのはちょうどお昼ころで、暑かったのでさっぱりしたものが食べたくて、また冷麺屋さんへ。今度は盛岡冷麺の元祖のお店「食道園」。やっぱりおいしかった。
おとといの「盛楼閣」のほうが、はじめて盛岡冷麺を食べたインパクトと、上にスイカがのってたのとで、わたしの中ではポイントが上だけど。

駅に向かう途中、宮沢賢治ゆかりの「光原社」のカフェで可否を飲んだ。
わたしは宮沢賢治は好きでも嫌いでもないというか、早い話興味がないんだけど、たしかにレトロで素敵なカフェだった。ギャラリーも併設されていて、中に入ると、賢治の童話の、東北弁での朗読の音声が流れ、申し訳ないがちょっと不気味だった。

1時間に1本ほどしかない東北本線で、奥の細道の終点、平泉についたのは2時半すぎ。駅に「みちのく 義経/弁慶最期の地 平泉へようこそ」と書かれていた。
わたしは歌舞伎の演目の中では「勧進帳」が一番好き。ま、あの舞台は加賀だけど。

まだまだ時間に余裕があるつもりだったが、お寺って5時くらいで終わっちゃうよな、と着いてから気がついて焦った。しかも、にわかにゴロゴロと雷の音が聞こえだした。
急いで歩き出したが、すぐにポツポツ降り出した。折り畳み傘を持ってて良かった。

柳之御所遺跡は発掘中の囲いだけ、無量光院跡はきれいな広場。ちらっと見てスルー。
源義経の終焉の地「高館」は北上川の大きなカーブが見渡せる気持ちのよい場所だった。
そりゃ一句詠みたくもなるわという感じで、芭蕉の「兵どもが夢の跡」の石碑もあった。

このあたりで雨足はだいぶ強くなり、中尊寺の入り口についたころはもう土砂降り。
ところがこのお寺はすごく広くて、そこから先がかなり長い。しかも、また坂道。
木が多いので多少の雨よけにはなったけど、外国人観光客は雨宿りしながら途方にくれ、遠足の子どもたちをつれた先生は、見学をあきらめ、電話でバスの手配をしていた。
わたしはひらきなおって、靴もズボンもずぶぬれにしながら、ずんずん歩いていった。たくさんあったお堂は本堂以外ほとんど素通りして、ようやく金色堂にたどりついた。

しかし愕然としてしまった。建物の中に入っていくと大きなガラスのケースがあって、その中に、小振りな金色堂の建物ごと、仏像や棺がすっぽり収まっている!
さらに、ガラスケースの前まで行くと、自動音声による説明が流れだした。げげえ。
豪華な細工なのは遠目でもよくわかったけど、はっきりいって全然感動しなかった。
あまりのことに、お賽銭も、お参りすることも忘れたまま雨の中に出た。そのあと見た、旧覆堂や、雨ざらしの能舞台のほうがわたしには面白かった。

宝物殿で立派な仏像や金字で書かれたお経を見てから外にでると、急に雨があがり、ぺかーっと晴れた。なんだったんだ。秀衡公がもう家に帰れと言ってるんだろうか。

毛越寺には5時ぎりぎりについた。なのにゆっくりして下さいと言われてうれしかった。
が、、、広々とした芝生のところどころに、失われたお寺の跡の印が立っていて、平安時代の遺構だという遣水があり、池には龍の形の何かが浮かんでいる。

なんだこりゃ。テーマパーク? 中尊寺もそうだけど、、、平泉、ちょっと痛いかも。
町じゅうきれいに整備されていて、ドライブのついでに立ち寄るにはいいとこだけど、世界遺産て、、、大人の事情はよくわからんが、そりゃ無理でしょ。。。

駅前に戻ると、駅の売店はしまっていて、それどころか駅自体も無人駅になっていて、数少ない電車を待つ人が所在なさげに待合室にたむろしていた。食べ物屋さんもほとんど5時閉店のようで、まだ空は明るいのに町は止まっていた。
田舎ではこんなものかもしれないが、観光地風のこぎれいな町並みとの落差がすごい。
お腹がすいて途方にくれたけど、どうにか開いてるカフェをみつけて一息ついた。

そうして、平泉から二駅の一ノ関から新幹線に乗って、無事に帰京しましたとさ。
日本て広いなあ、というのが感想です。ちょこっと見てきただけだけど。
はー、、、やれやれ、日記書くの大変だったわ。。。

青函紀行 その4

叔母の家の窓からは津軽海峡が見える。今朝は少しガスがかかり、下北半島が霞んでいた。(そういえば昨日の朝もホテルの窓の外が真っ白で、びっくりして起きたんだった)
でもお天気は良く、名物の朝市を冷やかしに行ったときは、だいぶ日差しが強かった。
地元の人は朝市や観光客向けの海鮮丼屋さんが軒を連ねるエリアなどには行かないので、叔母にとっても珍しいらしく、ちょっとはしゃぎながらひとめぐりした。

駅前で見送ってもらって10:40発の特急に乗った。ここからは一人旅。
青函トンネル記念館というところに、ずっと行ってみたいと思っていた。
いちおう地上からも行けるのだが、地下の坑道を見学するには電車で行くしかない。
今年12月に青森まで新幹線が開通するけど(青森ではポスターがたくさん貼られてた)、いまは北海道新幹線開通にむけての工事中なので、二つある海底駅の片方は閉鎖されて、見学できるのは本州側の最北端、竜飛岬の地下にある竜飛海底駅だけ。
この駅に停車する電車も1日にたったの4便のみ。新幹線開通後はたぶん見学できなくなる。

予約が必要ということで渋谷駅に行ったとき、窓口の人がこの記念館を知らなかったので、そんなマイナーな海底140mの駅で、他に見学者がいなかったらどうしようと不安だった。
でも、停車前に、2両目からしか降りられないので集まるようにというアナウンスがあり、出口に行ってみると、リタイア後とおぼしきおっさんや鉄ちゃんがごちゃっと集まってた。
それはそれで不安になったが、あとから家族連れも来たのでひと安心した。
坑道内の案内係の人もいっしょの電車に乗っていた。

海底駅の、人ひとりしか通れない、暗くて細いプラットホームに降り立ってからは大興奮。電車の走る「本坑」に並行している「体験坑道」を歩いて記念館に向かった。

ごつごつした壁や天井、地下水を排出するための太いパイプ、火災発生時のための風門、メンテナンスの人たちがトンネル内を移動するために使う自転車(ふつうのママチャリ)。
ここができた昭和63年当時、見学者でにぎわったころを偲ばせる、さびたジオラマや、使われなくなって久しく、土に還りかけている「竜宮水族館」も興味深かった。

工事に使われた機械や、資料の展示にはあんまり興味なかったけど、係の人の説明も聞きたいし、いろいろ見るのも忙しいし、ばたばたダッシュしまくって、ふつうに体験コースを歩く距離の1.5倍くらいは走ってたんじゃないかなあ。
そしてケーブルカー「もぐら号」に乗り、長~い斜坑を通って地上の記念館へと登った。(もぐらはここのキャラで、80年代風の絵柄。こんなとこにももれなくキャラがいるのね)

海底駅といっても、ほんとの海のド真ん中にあるわけじゃなくて、工事中や、有事に地上と出入りできるように、海と陸地の境界あたりにある。
実際、記念館のあるところは、工事中には基地だったらしい。

やっと地上にでると海がまぶしく見えた。記念館は道の駅もかねているけど人はまばら。
記念館自体もちょっとした展示物と映像コーナーがある程度で、本物のトンネルを見てきたあとではどうということもなかったが、プロジェクトX的な映像は、なかなか感動的だった。

何度も起きた事故や、開通式の様子。とにかく昭和っぽいというか、青春っぽいというか。
工事中にいっぱい人死んでるし、現代の感覚だと、よくまあこんな無茶したよなって感じ。
でも、実際にその跡地に立ってみると、やっぱり圧倒されるものがあったし、なんだかよくわからないけど、ここで人間のものすごいエネルギーが発揮されたのは確か。
ナレーションは、最後に、いつか北海道に新幹線が通るのが夢だ、と語っていた。兵どもが夢の跡だなあ、と思った。

また海底駅まで戻って電車に乗って、三たび青森駅に着いたのは15時近くだった。
そのままタクシーで青森県立美術館へ。美術館行きのバスが少ないのでしかたなく。
まず入り口にあるシャガールの「アレコ」の背景画がほんとに素晴らしかった。バレエの舞台背景用の3枚の巨大な幕。これずっとみてるだけで満足できそうなほどだった。

企画展が「ポンペイ展」で、元々あまり興味がなく、常設展だけ見るつもりだったけど、おととい三内丸山遺跡に行ったせいで、ちょっと見てみようかなという気になった。
壁に描かれていたのを剥がして復元した、フレスコとモザイクの絵が面白かった。
絵のいい悪いではなく、前に立つとその家で暮らしていた昔の人々の気配が感じられるようで、これが、ふつうの絵画よりも生活に密接した壁画というものの力なのかなあと思った。

それから常設展。青森出身の人の作品を集めているので、ばらばらといえばばらばらだけど、「あおもり犬」をはじめ、奈良美智の作品をまとめて見られるし、棟方志功のでっかい肉筆画がすごく良かったし、寺山修司の部屋も独特の雰囲気だった。
時間を忘れて見ていたら、帰りのバスの時間に遅れそうになってしまった。またばたばた走って、ちょっと離れたとこにある奈良美智の「八角堂」を一応見るだけ見た。
なんとかバスに間に合い、青森駅に戻ると、そこでまた別の長距離バスに乗り換えた。ここの乗り換えの時間が短くて心配だったのだけど、どうにかうまくいった。

高速道路からみる景色は、こないだの八甲田山の道路なんかに比べると単調だったし、だんだん暗くなってきたので、ちょっとウトウトしたりしているうちに、盛岡に到着した。

盛岡に来るのはまったく初めてだけど、曾祖父の出身地。どんなところなんだろう。
朝からまともなものを食べていなかったので、まずは駅前の盛楼閣で盛岡冷麺。
疲れていたし、こんな冷麺は初めてで、とても美味しく感じた。もう8時過ぎていたけれど、今晩泊まるところを決めていなかったので、食べながら検索。

ここまで来たんだから宿まで行って実際に見て、気に入ったところに泊まろうと考えた。それで少しうろうろして、安くて便利そうで、古いけどいい雰囲気のところをみつけた。
ネットで予約した方が安いだろうと、某サイト経由で何度か申し込んだけどうまくいかず、電源は減っていくし、ちょっと焦ったが、べつの旅行サイトを使ったらすんなり取れた。
無事チェックインできて、ほっとした。

青函紀行 その3

ここのホテルでは自分でコーヒー豆挽いてドリップして飲むの。
なんつう優雅な朝よ。のんびり起きて、また露天風呂(ちょっと日差しに無防備)。

今日もまたいいお天気で、夜景よりむしろ朝の景色のほうが良かった。
北国の色とりどりのトタン屋根や、ペンキで思い切って塗られた家並みが可愛い。
朝食は「ラッキーピエロ」で、一番人気のチャイニーズチキンバーガーを食べた。
ご当地バーガーで日本一って書いてあったけど。。。ほんとかなあ?エビチリ味でまあおいしかったけど、また食べに来ようとまでは思わなかった。
函館出身のGLAYが昔ここでよくだべってたんだそうで、ファンが巡礼に来るらしく、GLAYへの感謝状が飾ってあったが、彼らの曲を全く知らないのでピンとこなかった。

それから函館山の急な坂道を上って、教会などのあるエリアを散策。子どもの頃はよくわからなかったけど、いろんな宗派の教会が隣接して建てられてる。
ライラックとか、チューリップとか、八重桜とか、いっせいにまぶしく咲いていた。
ハリストス正教会の中に入って、山下りんの描いたイコン画を眺めた。

今回の一番の目的は、うちの祖父が創業して、いまは従兄弟が運営している、「函館公園こどものくに」にある、日本最古の観覧車に乗ることだった。
ここに来たのは中学生のとき以来。観覧車に乗ったのはたぶん3歳とかが最後のはず。
園内は遠足にやってきた子どもたちで、思ったよりにぎわっていた。
ほんとに古くて小さくて、門も入場料もなくて自由に出入りできるし、雨が降ったらお休みという、ハメハメハ大王の国みたいな遊園地(晴れてよかった)。

乗り物に乗るには、まず切符を買って、係の人が来るまで待たなければならない。
でも、大きな遊園地もいいけど、こういうのも人のぬくもりがあって素敵だと思う。遊んでる子どもたちも、ひいき目じゃなく、すごく楽しそうだった。
観覧車以外の遊具も、素朴なカエル釣りとか「アポロ2000」とか、レトロで面白い。園内にかかってた曲は「ひょっこりひょうたん島」。たぶん狙ってるんだろうけど。

従兄弟は出張中で、残念ながら会えなかった。でも無料券を3枚ずつもらったので、サメ型の乗り物に1回、観覧車に2回乗った。大人二人で乗っても全然大丈夫だった。
観覧車はカゴが8つしかなくて、ひとつひとつのカゴは、横がけで二人乗り。乗る時に好きな色のカゴを選ばせてもらえた。
回転の外側を向いてゆっくりと上がって行き、てっぺんまで登ると海が見える。それから後ろ向きで、回転の中心側を見る形で降りてくる。写真を撮ろうと体を動かしたりすると、カゴがぐらぐら揺れてスリルがあった。満足。

遊園地の隣を降りていくと、これまたちいさな動物園がある。子どものころ、わたしはここのことを「したのどうぶつえん」と呼んでいた。口蹄疫予防のため、ヤクとかヤギの檻には近寄れなかったのにはびっくりした。

それから五稜郭の近くまでタクシーに乗って移動した。
運転手さんは、昨日の夜景はとくにきれいだったと言っていた。わたしたちのことを学生と勘違いしてたくらいだからあてにならない気もするけど。(いったいなぜ主婦二人組には見えないのだろうか?お土産あまり買ってないから?)
小腹満たしに立ち寄った六花亭のカフェはなんとコーヒーが無料だった。さすが観光地。五稜郭タワーにのぼってひととおり景色をながめてから、五稜郭公園内を散歩した。
上から見ると反対がわに通り抜けできそうだったのに、工事中でだめだった。

前に来た時に食べて美味しかった「函太郎」で遅めの昼食。回転寿司なのに、ウニとかカキとかボタンエビとかトロとかすごく美味しいの。それでたらふく食べてひとり2400円くらいってどうなってんの。安すぎる。

Aさんはそろそろ帰りの飛行機の時間。少し海辺で時間つぶしをしてからお見送りした。

今晩は、叔母と従姉妹が暮らすマンションに泊めてもらうことになっていた。
このマンションのお風呂は温泉。昨晩の赤湯とは違って、透明な湯の川温泉。
着いた時にはまだ明るかったので、車でご先祖さまのお墓参りにつれていってもらった。
父方のお墓は函館山の左側、母方のお墓は右側にあって、どちらからも海が見える。でも全く場所を覚えていないので、叔母たちにつれていってもらわなければ無理だった。
その足で函館山と反対側にある山に登って、函館の夜景を裏から眺めようと思ったが、またまた口蹄疫予防のために通行止めになっていて、途中であきらめて引き返した。
温泉に、料理上手な叔母の大ごちそう、それにおしゃべり。今日も楽しい夜だった。

青函紀行 その2

十和田市現代美術館は9時オープン。早起きして(早くもないか)朝イチで入館。
常設展も、企画展「草間彌生 十和田でうたう」もオブジェ中心で、明るくて大胆な雰囲気。
いい天気だったので、ガラス越しに見える青空と、美術館の空間がさわやかで気持ちよかった。

ロン・ミュエク「スタンディング・ウーマン」、ハンス・オプ・デ・ピーク「ロケーション(5)」、それに栗林隆「ザンプランド」も面白かったなー。
オノ・ヨーコのインスタレーションは明らかに恐山をイメージしてた。
美術館自体はそんなに広くないけど、美術館前の広場にもたくさん大きなオブジェがあって、草間彌生のでっかいかぼちゃのてっぺんによじ上ってる子どもがいた。すごい身体能力。。。
大人も子どもも理屈抜きで楽しめる素敵な美術館で、わたしもとっても楽しかった。企画展には周辺の商店街も協力していて、赤い水玉が窓にいっぱい貼られてたのも可愛かった。

もともと車を使う予定ではなかったので、このあと電車で函館に向かうつもりだった。
しかしここは十和田市。近くに奥入瀬渓流と十和田湖がある。

じつはわたしは恐山や奥入瀬渓流が青森にあるということすら知らなかったのだけど、同行者がいると、視野が広がって、思いがけない場所に行くことができてすばらしい。
奥入瀬渓流は薄緑の日本画の世界。岩絵の具の色彩だった。東山魁夷の絵の中にいるみたい。歩いたのはほんの一部だったけど、マイナスイオンをいっぱい吸い込んだ。滝も素敵で、思わず滝壺まで走り寄っちゃったりして、運動神経ないのに、危険。。。(スパイクつきのトレッキングシューズを履いていったのは本当に良かった。水にも強いし)
でも、水がゆったり流れているところと木々と苔々の、ふしぎな緑色がいちばん心に残った。

十和田湖はカルデラ湖で、微生物が少なく、透明度が高い(昨日の宇曽利湖もカルデラだった)。湖の底が、けっこう遠くまで見えた。ここの水が、水門を通って奥入瀬に流れていく。
湖畔を少し散歩してから、また車に乗り、湖の周りをぐるりと回って、八甲田ゴールドライン経由で再び青森へ。今日は一日中緑のトンネルの中を走ってた。

夕方、4時半ころに青森市内について、まだちょっと時間があったので、三内丸山遺跡へ。
立派なつくりの入り口の建物をくぐると、広々とした公園に復元された竪穴式住居や謎の柱など。またわたしは走りまわって柱の跡やらお墓やら見物し、Aさんはゆったりあたりを見回していた。ここは30分もあれば十分楽しめる。同じ敷地内の青森県立美術館は5時閉館なのでまた今度。

無事に青森駅に到着して、レンタカーを返して、特急スーパー白鳥で函館へ。
疲れて眠くなってしまったけど、青函トンネルに入るまでは起きていたかった。でも思わせぶりな短いトンネルがいくつもあって、気がついたら眠ってた。
北海道の地上に出たころに目が覚めた。夜7時半過ぎても、緯度が高いのでまだうす明るい。
木古内という駅に停車した時は、電車の音も止み、外もしんとして、乗客もみんな押し黙り、異様に静かで、時間まで止まってしまったようで、思わずひそひそ声になってしまった。
やがて街の灯が海に沿って見えてきて、8時過ぎに函館に着いた。

函館は両親の出身地だけど、駅に来るのは久しぶりだったので、新しくなっていて驚いた。
駅前から市電に乗り、函館山方面へ。宝来町(元々はこのあたりが本籍地だった)で降りた。
よく父が懐かしがっていた「小いけ」のカレーを食べてみたかった。
昔とは経営が変わって(そりゃ何十年も経ってるし)味も変わってしまったという話だけど、食べログでの評価は高いので「元祖小いけ」(すぐ隣に「本家小いけ」もある)でカツカレー。
すごく美味しかったけどな。安いし。冷凍カレーを持ち帰りできるというので、実家に送った。

それからロープウェーで函館山に登り、函館の夜景を見た。夜景は子どものとき以来。
展望台のガラス越しより、外に出て生で見るのが何十倍もきれいで、ずっと眺めていたかった。
それにお月さまが、ほぼ真ん丸の月が、異様に大きく、オレンジ色に光って禍々しいほどで、それが海に映って、光の道がくっきりとこちらに向かってきていた。なんなんだあれは。。。

またロープウェーで山を降り、ぶらぶらとベイエリアを歩いて、ホテルへ。
「ラビスタ函館ベイ」はなかなかこじゃれたホテルで、夜景を見ながら赤湯の温泉に浸かれる。お風呂からみたお月さまは、もうふつうの大きさに戻って、光の道もおだやかに拡散していた。

青函紀行 その1

昨日の晩、上野発の夜行列車に乗って、北へと旅立った。
寝台特急「あけぼの」は車内販売がないので、食糧をいろいろと買い込んで。
今回の旅の道連れは、編集者のAさん。と言ってもまだ一度も一緒に仕事をしたことがないので、実質ただの友達なんだけど、お互いに敬語を使いあうことで、なにかを守っているという関係(笑)。

今回も、当初は函館に取材に行こうと言ってたのに、青森にも行きたいなんて欲張って、すでに目的がよくわからなくなっている(当然ふたりとも自腹)。
なにしろ月末の金曜の夜だから、Aさんは会社の仕事を無理矢理片付けてきたそうだし、わたしも来週のぶんの〆切までまとめてやっつけてからきたので、すごい開放感だった。

ソロ寝台はひとりずつ個室になっていて、個室の窓から景色が見える。
2階のわたしの個室で、お菓子を食べ食べ、打ち合わせ(←いちおう仕事の)。まるで夜逃げして行くみたいですね~なんていいながら。
わたしが飛行機嫌いなので電車にしてもらったのだが、夜行列車もなかなかいいもんだ。

深夜頃には解散して眠った。でもこの季節なので4時すぎには外が明るくなった。東北の田んぼは今がちょうど田植えの時期で、早朝から農作業をしてる人の姿が見えた。
新緑の木々や、いろんな花(林檎の花もまだ残ってた)を眺めてると飽きなかった。

10時くらいに終点青森駅に着き、2両編成の東北本線に乗って下北半島に向かったが、、、乗換駅の野辺地で1時間も待たなければならないことが判明した。
でもAさんは慣れたもので、じゃあレンタカー借りましょうということになった。
わたしはペーパー・ゴールド免許保持者なので、ここから先はぜんぶおまかせ。もと営業部でならしたAさんの運転で、一路、恐山へ。

Aさんはとても旅慣れているので、肩の力が抜けていて、すごく適当。
わたしは滅多に旅をしたことがないし行動力もないけど、計画性もなくて、やっぱり適当。
経験か行動力か計画性のどれかがあれば上手に旅もできそうだけど、わたしには何もない。しかし今回Aさんは先に帰ることになっていたので、途中からは一人旅になってしまう。
こりゃ無理だと思って、出発前日にあわててiPhoneを買いに走り、最低限のアプリを入れた。(そろそろ新機種が出そうだけど、いま買わなきゃしょうがない)
だったら乗り換えくらいiPhoneで調べとけよって話なんだけど、ほら、まだ使い方がよくわからなかったし、ソフトバンクだから圏外のことが多くて。

海沿いの、ずうっとまっすぐの道路わきには、漁に使う丸いガラス玉がごろごろ転がっていた。菜の花畑の黄色い長方形も目に鮮やかだった。下北名産センターというところに立ち寄って、ホタテの味噌貝焼きというのを食べた。

そこからもう一息。山道を登って行くと、若返りの水というのがあったのできっちり飲み、さらに行くと目の前がぱっと開けて宇曽利湖が見え、同時に硫黄の強烈な匂いに包まれた。「三途の川」を渡って、ようやく霊場恐山に到着。(そういえば、こないだ「asta」さんの挿絵で三途の川の絵を描いたばっかりだ)

新緑の季節のせいかもしれないけれど、意外に明るく、清潔感のあるところだった。
イタコのおばあさんのいる建物をのぞいてみたけど、口寄せして欲しい人もいないので、お寺にお参りしてから、白い火山岩に覆われた「地獄」の岩山を登った。
たくさん小石が積み上げてあって、これみんな誰かが積んだのかと思うと気が遠くなる。
当然ソフトバンクは圏外だったので「恐山なう!」はできなかったけど、まさに岩山にいた時に、ドコモユーザのAさんに仕事の電話がかかってきたのには驚いた。
地獄の奥には白い極楽浜と、エメラルドグリーンの湖、黄色やオレンジ色の小石に黄緑の山。すごくカラフルで、怖いというよりポップな印象で、けっこうのんびりと散策を楽しんだ。

それからお寺の境内にある温泉に入った。粗末だけど清潔な木造の小屋の中にあるヒノキ風呂。湯船があるだけで、洗い場もない。湖と同じ、ちょっと濁った薄緑色の熱ーいお湯。
これはほんとに極楽でございました。いい温泉って長く浸からなくてもスッキリするんだな。
お土産に、ふつうの4倍くらいの太さの恐山線香を買った。

Aさんはゆっくり景色を見ながら運転したがっていたけれど、後ろの車に煽られまくって、まだうす明るいうちに今晩の宿泊地、十和田市についた。
泊まったホテルのすぐ近くに文化会館みたいのがあって、そこによく演劇の公演が来るらしく、出演者(すごい顔ぶれ)の寄せ書きの色紙が、ホテルの壁にたくさん飾られていた。
きっとホテルの社長が演劇好きなのだな。演劇好きに悪い人はいない(バカが多いだけ)。

明日見に行く予定の十和田市現代美術館を下見に行くと、カラフルにライトアップされていた。
夕飯は馬肉料理「吉兆」で、馬刺と馬肉鍋(味噌味のすき焼き風)とバラ焼き(生姜焼き風)。iPhoneで食べログ使って調べた(はじめて役立った)。美味しかったー!
ふたりともグルメには興味ないなんて言ってたのに、しっかりご当地グルメを食べ歩いてる。
日帰り入浴できる温泉を探したけど、目指して行ったところは潰れていたのであきらめた。
1泊3,090円朝食つきという激安ホテルだったので、隣の部屋の学生がうるさかったけど、なんかもうそんなことはどうでもよくなってぐっすり眠った。

挿絵本の世界展

きょうは町田で大学の同期とランチの約束をしてたので、ちょっと早めに出かけて、前から一度行ってみたいと思っていた町田市立国際版画美術館の、「挿絵本の世界~きれい、カワイイ、怖い 本と版画のステキな関係」展へ。

まずヨーロッパの印刷の歴史のおさらい。木版・手彩色の聖書の挿絵からはじまり、活版印刷の活字と挿絵の角度がおもいきりズレたものが展示されてたりして、マニアック。「神曲」の挿絵の中に登場人物のイニシャルが書きこまれてて、新しい!と思った。

この展覧会のメインは19世紀ヨーロッパの華やかな挿絵群。これを、きれい、カワイイ、怖いの3つに分類しましょう、ってのが面白い。

「きれい」はバーン=ジョーンズ、ミュシャ、ルペール、バルビエなど。
ミュシャは好きじゃないけどやっぱりすごい。バルビエは最高よね(うっとり)。
「ガゼット・デュ・ボン・トン」の原書は初めて見た。こんなに分厚かったんだ。
初期の資生堂デザインの元ネタ満載のファッション誌(でも今の感覚だと超豪華本)。ポショワールといって、ステンシルみたいな手作業で着彩されてたそうだ。ははあ~。
印刷といっても版画みたいなもので、ごく少部数だし、そりゃ上流階級志向にもなるわ。

「カワイイ」はウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイなど。
グリーナウェイってべつにそんなに絵は上手くないと思うんだけど、たしかにカワイイ。でもこのカワイイは、昨今日本でいわれてるカワイイとは微妙に違うカワイイだと思う。

「怖い」はウィリアム・ブレイク、ビアズリー、マネ、ルドンなど、すごいメンツ。
そう「怖い」は一大ジャンルなのだ!もちろんみんなモノクロ。怖いはモノクロ。
怖いがいちばん見るものの心にダイナミックにゆさぶりをかけてくるというか、扇情的というか、もうちょっとで下品の側にころびそうな危うさを感じさせた。
ここまでだけでもすごい数の絵で、かなり見ごたえがあったけど、テニエルとかラッカムとかの絵がなかったのがちょっと意外なような気はした。

最後のコーナーは、20世紀のアーティストによる挿絵。シャガール、ドニ、ピカソ、デュフィ、カンディンスキーなど。
シャガールは彼の世界をそのまま小さくした感じ。デュフィ素敵。ドニも可愛くて大好き。
でもいちばん気に入ったのはオスカー・ココシュカの力強い線描の挿絵だった。

ヨーロッパの挿絵に描かれている人物って、風景と同じ強さというか、顔の描き方が非常にそっけなくて、したがってキャラクター性がほとんどなくて、それが全体の調和と、落ちついた上品な雰囲気につながっている。同じ版画でも、日本の鈴木春信とか歌麿とかはかなりキャラクターが強い。

浮世絵は人物にフォーカスするあまり、全体の構成はいいかげんだったり、背景を雲母刷りでごまかしたり適当なのも多い。でもそのぶん粋で、勢いがある。

見る前は、きれい、カワイイ、怖いに「カッコイイ」を入れてもいいのでは?と思ってた。
でも、カッコイイという価値観は、あちらの挿絵には、もしかすると元々ないのかなあ。

「おしゃれ」なカッコよさはきれいに分類できるだろうし。日本の小説挿絵だと、剣豪ものとか、カッコよくヒロイックに突き抜けたものも多いけど、ヨーロッパのものって、上流志向なせいか騎士道ものでもカッコイイよりきれい寄りだし、今回はなかったけど、もっと大衆的なミステリーとかの挿絵でも上品で妙に大人っぽい。
でもラファエル前派なんかはけっこう庶民的で下品だし、カッコイイも探せばあるのかも。さらにもうひとつ分類を加えるなら「エロい」だろうけど、、、。

図書館情報学専攻だった友人Kによれば「本」という形態はそれ自体すごい大発明だった。
「本」は便利だったからこそこれだけ利用され、広まった。
いま電子書籍の話題でもちきりだけども、基本的に世間は便利な方向に流れて行くと思う。
わたしの絵は一応CGだから、電子書籍で見られることに対する抵抗はなくて、なるようになれという感じだけど、紙の本って、やっぱり魅力的だよねえ。。。

劇団チャリT企画「アンポテンツ」

今年で60年安保から50周年なんですって。。。知ってた?

王子小劇場にて、早稲田劇研OGのSさん&Aさんと、劇団チャリT企画を観劇。
いまはコント中心に変わってしまったという劇研の伝統を守る最後の劇団。
それにふさわしい濃ゆい作風、バンカラ☆ポップってキャッチがまさにぴったり。
あの異様にキレのいい動きと滑舌、それにお得意のストップ・モーションも健在。
ちょっと「ゴドー待ち」っぽいところがあるのがまたなんとも。。。
昔は劇研系の芝居って暑苦しいなあと思ってたけど、今となってはかえって貴重。

テーマは過激といえば過激かもしれないけど、よくまとまっているし、セリフがぜんぶきっちり聴きとれるので余計なストレスなく観られる。
でもなにかスゴイ衝撃が脳天にガツンときた。劇研観た!って感じ。学生運動のシュプレヒコールとか、夢にでてきそう。笑いすぎて涙出た。
なんだかどっと疲れて、ついつい帰りにパフェ食べちゃったよ。。。

お屋敷町探検

きょうは、あきさんと遊びに。田園調布のお屋敷町の散策。
ひさしぶりに春らしいお散歩日和でよかった。
学生の頃に住んでいた、日吉の町のつくりは田園調布の真似だと聞いていた。
田園調布駅には今回初めて降りたけど、たしかに放射状の道の形はそっくり。
でもあのがちゃがちゃしたひようらとは全然違う。。。まあそりゃそうか。。。

よく東横線の窓から見上げていた、丘の上のお屋敷を間近でみるのが面白かった。
スケッチブックを持っていったけど、見所たくさんで絵をかくどころじゃなかったし、個人のお宅をあまりじろじろ観察するのもなんなので、どんどん歩きまくった。
大きな木や植物が多くて、家なんだか森なんだか?みたいなお家がたくさん。立派な大きなお家ばかりで、なんだか感覚が麻痺しそうだった。
でも手入れが大変そうで、実際、壁がはがれてたり、表札にガムテープが貼られたり、更地になってたりするところもぽつぽつみかけた。

あきさんはなぜか有名人の住んでるお家にくわしいので、いろいろ見て回った。
政治家のお家のまわりには何人も警察官が立ってたりした。
でもわたしはそれより古いお家の手すりとか窓枠とかを見るほうが興味深かったかな。
あとすごい急な坂道も。下がってまたぐっと上がるのが一望できて平衡感覚が狂った。

それからおなかべこぺこになって目黒に移動して「デラッセ」でフレンチ。
おーいーしーかったーーー。

カッコ良きもの

昨日は雪が降ったりしたけど、きょうはいい天気。
両親と妹と舞浜駅で待ち合わせて「ZED」を観に行った。シルク・ドゥ・ソレイユ、やっぱりとってもすばらしかった!

わたしは1年半ほど前に、オープンしてすぐに1度観ていたく感動した。
そのときは安い端っこのほうの席だったので、もう一度、今度はぜひ前のほうの席で観たいなあと思ってた。
で、今度は真ん中の、前から8列目あたり。これより前だとずっと見上げる形になってきついだろうと思ったので。それでも頭の上までぶんぶん人が飛んできて迫力があった。
クラウンたちも近くまでやって来て、なにやら父もいじってもらってたし。

ただ、、、1年半前と違って、空席がすごく多かった。日曜なのに。。。
ちょうど先週くらいに、以前は休憩をはさんで2幕形式だったのを、1幕形式にリニューアルしたばかりなので、お客さんも入ってるのかと思ったら。
余計なお世話かもしれないけど、大丈夫なのかなあ?客席が広すぎるだけかなあ。それにしても。。。

相変わらずのすばらしい演技に、こちらも一生懸命拍手したんだけど、その音がみんな広ーい空間に吸い込まれてしまってもう一つ盛り上がらない。
うーむ。。。心の底から残念だ。

リニューアルしたといってもほとんど内容は同じだったし、専用劇場だから大きくは変えられないのだろうし、人間ってすごいなあと思う反面、あまりにもすごすぎて親しみがわく感じではない。リピーターははじめから期待されてないのかなあと思うけど、プレミアシート一枚でディズニーランドのパスポート3枚分のチケット料金で、上演時間が1時間半では、子ども連れの観光客とかにはなかなか厳しいだろうなー。(でもいま端っこの席で観ると、周りがガラガラだから気分的に盛り下がると思う。だから観るなら無理してでも一番高い席がいいと思う。)
ディズニーリゾートの全体的なニセモノくささの中にあって、あれは本物だと思うし、ああいうほんとにすごいものには、残っていってほしいけどなあ。

けさ新宿駅に映画「タイタンの戦い」の車田正美が描いたポスターがいっぱい貼られてて、デッサンとか画面構成とかめちゃくちゃなんだが、なんだかすごく突き抜けてて、ああ、やるならここまでやらなきゃいかんよな~と思って、一日中、カッコいいとはどういうことか、について考えていた。

カッコ良さって、アート的とかオシャレ的な洗練方面に行くこともあるし、ヒロイックな方向、劇画的だったり、オタク的萌え方向に行ってしまうこともあるし、かと思えば不良っぽかったりヤンキーだったり、孤独感みたいなこともあるし、でも陶酔感みたいなものがあるのと同時に、客観的な評価でもある。
なんというか、極端なことがいいのかな。。。

ZEDはあれだけよくできてるけど衣裳のテイストとか外国風ヤンキーって感じ。洗練されてはいるが実は超悪趣味。フィギュアスケートとか新体操とかの衣裳に似てる。

わたしはどっちかといえばヤンキーよりファンシー寄りなつもりでいたんだけど、そうでもないのかも。。。好きなものにヤンキー的なものも多いしなあ。歌舞伎とか。
しばらく、わたしの中のカッコ良さについて考えてみようと思う。

歌舞伎座にサヨナラ(2)

きょうも、歌舞伎座で行列。第二部の、三人吉三巴白波と藤娘が観たくて。

でもきょうは暖かくてお花見日和だからか、昨日よりは列も短かめだった。
行列のなかには外国人観光客がけっこうたくさんいて、なにもわざわざ今月並ばんでも、、、とは思ったけど。
三階席の一番後ろの列に、ツアーの外国人がずらっと並んでたのが、藤娘の前の休憩でみんな出てっちゃって、空いた席がもったいなかった。
三人吉三は豪華キャストだったし、見た目も綺麗だけど、動きは少ないし、あの名ゼリフとか、外人にわかるわけないよなー。藤娘のほうが踊りだからわかりやすそうなのに。。。しかたないけど。ああでもこんな面白いのがわかんないなんて可哀想なことだ。

わたしは坂田藤十郎さんの藤娘をみるのは初めて(山城屋って屋号はまだ慣れないなあ)。
あの大輪の花のような方の藤娘ってどんな感じなんだろうと思ってた。なんかもっとエロい感じなのかなと思ったらそうでもなく、健康的で明るい印象で、酔っぱらうところとか、とってもキュートだった。背景がクリーム色だったのもあって、太陽みたいな黄色のオーラがみえた。
それは藤の精のイメージとはちょっと違うような気もするけど、黄色と藤色の組み合わせはすてきだなあと思った。

歌舞伎座にサヨナラ(1)

きょうは、16時から歌舞伎座の幕見のために行列した。
ほんとうは第二部の2幕目から観たかったけれど、すごい行列だったのであきらめて、第三部からの列に並ぶことにした。
まだ月初めだっていうのにびっくり。しかもこんな寒いのに。
歌舞伎座サヨナラ公演だから早く観なきゃって、みんな考えることは一緒か。

2時間以上も並んだかいあって座ってみることができた。
かけ声をかけるプロフェッショナルなお客さんも多くて、やっぱり盛り上がる。
演目は「実録先代萩」と「助六」。最後はやっぱり助六なのだなー。
実録~で、芝翫さんの浅岡が子役二人にじわじわ追いつめられてくのも面白かったし、助六は、主役も当然だけど、チョイ役で出てくる俳優さんたちが異様に豪華。それに玉さまの揚巻の打ち掛けと帯がほんとに素敵。。。
今回の助六を観た!というのはこの先ずーっと語り継げると思う。
海老蔵さんは、口上のセリフをまだちゃんと覚えてないみたいだったけど(笑)
それにしてもあんなどうでもいい話が歌舞伎の代表作なのってすごいことだ。。。

その後のソウル・オブ・ルージュ

きょうは、夜から池袋へ、前川麻子さんのワークショップの見学に。

途中、キンカ堂のシャッターに「ありがとう」とか書かれた張り紙がたくさん。わたしは池袋はそんなになじみがないけど、やっぱり倒産は残念。

ワークショップはなんだか抽象的で高度なことをやってるということだけはわかった。
よく理解できなかったけど、普通と言えば普通のことのような気もするし、この場でしかお芝居をはじめられない人もいるんだろう。

後半、山田伊久磨さんがゲストで登場、前川さんとのエチュードを見ることができた。
イクマさんといえば、六本木キャラメルでの前川さんとの二人芝居。
10年以上前の「ソウル・オブ・ルージュ」の続きの設定でのエチュードだった。

正直いって「なんかすごかった」こと以外は忘れてしまっていたのだけど、見ているうちに、当時のキャラメルの高揚した空気感をはっきり思い出せた。
演技してるうちに、現実には起こらなかった過去のことまで、本物の自分の記憶のような気がしてくるんだって。
役者さんってほんとに何考えてるんだかわかんない。