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純粋挿絵

目的がなくなったまま残された階段を「純粋階段」という。
挿絵はその定義から言っても、何らかの目的のために描くものだけども、
雑誌やなにかにちょこっと掲載されたあとに残された、目的がなくなってしまった挿絵のことは、「純粋挿絵」と呼べるだろうか。

お別れ

「暮らしの哲学」担当の毎日新聞社Nさん、Tさんとお食事。ビールを飲みながらしんみり。
あまりに潔い終わり方だったので、気持ちの踏ん切りをつけるのが難しい。
最終回の文章は読み返すととても力強くて、もっと明るい絵を描けばよかったなとも思った。
でも池田晶子さんの挿絵をすることができてほんとうに幸せだった。
「考える日々」のシリーズ3冊をいただいた。帯に「元気を出せ!」と書いてある。
…まったくだ。明日からまた闘いだな。わたしの絵もまた変わっていくだろう。

考える日々

考える日々

    • 作者: 池田晶子
    • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
    • 発売日: 1998/12/01
  • メディア: 単行本

考える日々〈2〉

考える日々〈2〉

    • 作者: 池田晶子
    • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
    • 発売日: 1999/12/01
  • メディア: 単行本

考える日々〈3〉

考える日々〈3〉

    • 作者: 池田晶子
    • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
    • 発売日: 2000/12/01
  • メディア: 単行本

池田晶子さんのこと

文筆家の池田晶子さんが亡くなられた。
毎日中学生新聞の「考える時間」と、サンデー毎日の「暮らしの哲学」で、1年半の間、毎週挿絵を描かせていただいていた。
まったく偶然だが、池田さんはわたしと同じ大学の哲学科の先輩にあたり、それに、池田さんといえば「14歳」のための本が著名だけれども、わたしが14歳のときにちょうど池田さんが連載開始時のわたしの年齢くらいだったということもあって、勝手に縁のようなものを感じていた。

とつぜん2週連続で休載になったが、病気のことも知らず、亡くなるなんて思わなかった。
でも、呆然とするのと同時に、なんとなく腑に落ちたような感じもあった。

***

「考える時間」の文章は、どのテーマも冴えていて、透明な宝石みたいだった。
挿絵は、文章によって描かせていただくものである。
いい文章ならいい絵が描けるわけでもないが「考える時間」はわたしの代表作だと思っている。

毎中が休刊になって掲載誌がサンデー毎日に移ると、死や老いについての文が多くなった。
わたしももう30代だけれど、そういったテーマはまだ実感としては遠くて、ほんとうに難しくて、わたしが挿絵を描いていていいのかなと思うこともあった。
わたしが池田さんの年齢になったときどう考えるのだろうかと考えさせられたりもした。

池田さんには一度もお会いすることができなかったが、毎週挿絵を描くことで、わたし自身と対話する貴重な時間を持つことができた。

もしお会いしたとしても、こちらから言いたいことなど何もなかった。
ただ、絵描きとして、一度、ご本人のお顔を拝見したかった。
わたしは優しくないので人が死んだから悲しいという感覚はよくわからない。
ましてや、死はわからないものだから怖くない、年をとるのは面白いことだとくり返しくり返し書いていらした池田さんのことなのだから、悲しくはない。
でも涙が出てきて止まらなくなってしまって自分ですごくびっくりした。

池田晶子さん、ほんとうにありがとうございました。

絵、音楽、小説

今日はイラ通展の在廊当番。
京都で活動されているイラストレーター、タケウマさんとご一緒だった。
わたしは、今、ミステリーズ!で石持浅海さんの小説の挿絵を描いているが、タケウマさんも石持さんの挿絵を描いていて、わたしの大学時代の同期、Ryu Itadani君も石持さんの挿絵をしてるそうだ。

3人のイラストの、ぱっと見てすぐわかる共通点は、下書きをパソコンに取り込んでフォトショップで仕上げた線画であること。つまり描き方が一緒ってことだ。でも作風はもちろん全然違う。Itadani氏はポップでエネルギッシュだし、タケウマさんはシックでおしゃれで、

わたしのは(   )で(   )だ。…空欄に適当な語句を入れよ。

***

そうこうしているうちに、絵と音楽のコラボをしたいとおっしゃる方々が突然やってきて、わたしとタケウマさんのインタビューを録音して行かれた。
絵に音楽をつけて(!)、そのうちインターネットラジオで公開するとか…。楽しみ。でも、インターネットラジオって何ですか?

***

で、夜はまたまたDRIFFSHOESのライブ(渋谷WASTED TIME)。
今回のドリフシューズはムーさんとA1さんの2人組になっていて、前より落ち着いた感じ。
「唯一のファン」に認定していただいたが、唯一のわけはないでしょう。今日はお客さんがいっぱい入っていたし、楽しかった。

DJ星野さんのパフォーマンスも久々だったし。
で、買ったばかりの前川さんの新刊「夏のしっぽ」にサインをいただいた。ただのファンじゃ。
大学の時の先輩が、ライブドアに転職して前川さんの携帯小説の担当をしてるそうだ。やっぱり世の中せまいのか?

夏のしっぽ

夏のしっぽ

    • 作者: 前川麻子
    • 出版社/メーカー: 講談社
    • 発売日: 2007/02/01
  • メディア: 単行本

こけしさん

小説家・小村小芥子さんのゲイ・バー、四谷四丁目「小芥子」に初めておじゃました。
組ませていただいた作家さんにお会いするのは、飛行機に乗るのと同じくらい緊張する…。
でも、なんだか、こけしさんはずいぶん気に入ってくださってるようで、ほんとに、かたじけないというか恐れ多いというか、なんというか絵描き冥利につきるというか。
わたしは小説のことはよくわからないけど、こけしさんの小説は、とても品があると思う。
「問題小説」掲載だし、手に取りにくいかもしれないけど、おすすめ(とくに女子に)。

うさぎのダンス

うさぎのダンス

  • 作者: 小村小芥子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本

金魚の昼寝

金魚の昼寝

  • 作者: 小村小芥子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/08/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

馬琴の嫁

小説現代で2年近く挿し絵を描かせていただいた連載が終了。
これはもう本当に難しくて、毎回毎回大苦戦だったけれども、最終回の絵はまあまあ良かったかな。
次につなげたいですね…。

なんじゃそりゃ

自殺サイト殺人の容疑者、小説の挿絵を見て興奮したのがきっかけ…って話。
いくら容疑者がそう言ったからってそれが原因とは言えない。
どんな挿絵だったのか知らないけど、どんな絵でも絵はどこまでも絵なんだし、絵であるからこそ意味があるのだと思う。
絵を描くために例えば金閣寺を燃やしたりするのはそりゃないぜとも思う。
でも絵を見る人が線を超えてしまうことに、はたして責任を持てるだろうか。

打ち上げ

「賢者のリフォーム」の打ち上げに参加。
呼んでいただいて嬉しかったのだが、ただでさえ人見知りがはげしいうえに、あまり寝てなかったのでテンションがひたすら低くなってしまい、自己紹介も満足にできず、 大人としてこれではいけないなあと反省。