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金色の死

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は、「金色の死」の岡村君で、コラムは政治学者の苅部直さんでした。
岡村君は大金持ちで頭も良い美青年で、究極の芸術を追求した結果、それは人体の美だということで、全財産をかけて自分だけのための最高の美のテーマパークを作り上げたあげく、仏像のコスプレをして全身に金粉を塗ったくって窒息死(!)してしまう。
すごいなあ〜と思ったのは、岡村君の、作品によって世間の理解や評価やお金を得たいという考えが完全にゼロなところ。まわりのことなんか考えないで自分の好きなことだけやりたい気持ちを、とことんまでやりきるとこういうことになるんだろうか。現実には、たとえやりたいことをぜんぶやりとおすことができたとしても、それと同時に傑作が生まれるというのはめったにありえないと思うけど、これは小説だから、恐ろしいほどの作品ができたことになっている。
ただアートってやりっぱなしじゃだめで、きゅうくつで面倒くさい話だけど、誰かに評価されて、認知されてはじめてアートの流れの中に入れてもらえるものだから、岡村君の作品はいくら美しくてもこのままじゃアートとは呼ばれ得ない。唯一の目撃者であるこの小説の語り手によって世間に紹介されれば、アウトサイダーアートとして位置づけられたかもしれない。でも岡村君はそんなことは望んでないんだろうな。究極の自己満足だけど、これもひとつの理想だなとはわたしも思った。
(この絵は、岡村君も大好きなレオン・バクストの衣裳を着たニジンスキーのイメージをちょっとだけ借りてます。)

蓼喰ふ虫

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は「蓼喰ふ虫」の主人公・要。
離婚したいんだけど踏ん切りがつかない夫婦の話。文楽の人形に執着する心理の描写は面白かったけど、わたしはこういう話はどうもよくわからないのでモヤモヤと悩んだあげく蓼を食べてる虫を描きました。
コラム担当のノンフィクション作家の髙橋秀実さんは「要は阿呆の典型」だとボロクソに書かれてて、そう言い切れるのもすごいなあと思いました。

吉野葛

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は「吉野葛」の津村で、コラムは詩人の杉本真維子さんでした。
晩秋の奈良・吉野が舞台。母を早くに亡くした青年が、母の出身地である貧しい紙漉きの里・国栖へむかう。
山奥へ深く分け入っていく旅程と、心の奥の母のイメージをたどっていく過程とがリンクして、そこに「義経千本桜」の吉野山の段の静御前と忠信狐の話とか、葛の葉狐の伝説とか、「妹背山婦女庭訓」の情景とか、いろんな要素が複雑にからみあって、実話なんだか作り話なんだかよくわからなくなってくるような幻想的な小説でした。
この連載で今までに読んできた中で一番好き。
 
挿絵は、歌舞伎の妹背山の舞台装置(山と山の間に川が流れている構図)とか、関西の商人が主人公の話なので琳派っぽい感じとかを少し意識して描きました。
紙漉きの里の白、半透明に熟した柿…、と色の印象が鮮やかな小説だったので、カラフルな絵に仕上がりました。

谷崎名キャラ図鑑、今月の題材は「鍵」の妻・郁子。
コラムは宗教人類学者の植島啓司さんでした。
夫婦がそれぞれの日記(盗み読みされているという前提)の中で、いろいろ妄想したり、複雑きわまるかけひきをしたりする話。
人間心理を読むのが得意な人って、表面はふつうでも、内面的にはこんなふうにドラマチックに生きてたりするのかな。。。

夢の浮橋

読売新聞夕刊に月イチで連載中の「谷崎 名キャラ図鑑」、今月の題材は「夢の浮橋」で、コラムは日本文学者のジョルジョ・アミトラーノさんでした。
題名のとおり、源氏物語が下敷きになっていて、 美しいような、けしからんような、もやに包まれたような、なんともいえない不思議な読後感の小説でした。

 

異端者の悲しみ/猫と庄造と二人の女

読売新聞夕刊に月イチ連載中の「谷崎 名キャラ図鑑」先月と今月のぶんの挿絵です。

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1枚目は「異端者の悲しみ」のお富ちゃんで、文章は青山七恵さん。
2枚目は「猫と庄造と二人の女」の庄造で、文章は市川真人さんでした。
どっちの小説の登場人物も、ものすごいダメ人間ばっかりで、可愛くて面白かったです。

春琴抄

「谷崎 名キャラ図鑑」連載2回目のテーマは「春琴抄」で、5/23の読売新聞夕刊に掲載されました。

「春琴抄」は、学生の頃に島津保次郎監督の映画版を見た印象が強かった。
なんでこんな古い映画を見たかというと、美術を小村雪岱が手がけていたからで、久々に見直したら、花見の席で琴を弾く場面とか、やっぱり絵のようにきれいだった。
ただモノクロ映画なので、色がよくわからないのが、挿絵の資料としては残念。

文章を読むのは今回が初めて。
短い小説だけど、佐助が失明する場面が怖くてそこから先に進めなくなって読み終わるのにかなり時間がかかってしまった。
でも面白かったなー。面白すぎると挿絵描くのも大変で、描きたい要素が多すぎて一枚にまとめるのが難しかった。
それに着物を描くのも本当に難しくて、、、ちゃんと勉強しなきゃなと思った。

谷崎 名キャラ図鑑

今日4/25の読売新聞の夕刊の、「谷崎 名キャラ図鑑」というコーナーに挿絵が掲載されてます。

今年は谷崎潤一郎の没後50年だそうで、月一回、いろんな作家さんが谷崎の小説のキャラクターについて、コラムを寄稿されるそうです。
1回めのテーマは「刺青」の清吉で、文章は田中慎弥さんです。

はじめにお話をいただいたときは、正直言って、わたしの絵にはあんまり合わないんじゃないかな~と思ったのですが、担当の方曰く、新聞はいろんな人が読むので、いかにも耽美的な絵だと驚かせてしまうので、親しみやすい絵がいいということでした。

そういうものなのでしょうか笑
かといって茶化すのもNGということで、なかなか加減が難しかったです。

『オルゴォル』

新聞連載の挿絵を描きはじめたのが一昨年の2月か3月頃だったのですが、長い長い旅路をへて、ついに単行本が発売になりました。

日記にも何度か書きましたが、わたしは装幀の写真に写っている、主人公ハヤトの彫刻(編集さん曰く、朱川さんに似てるらしい)を作りました。

きょう見本を受け取ったのですが、先日PDFで見本を見せていただいたのよりもずっと手触りがあっていい雰囲気に仕上がっていて、すごくうれしかったです。
装幀は絵描きのものではなく、デザイナーさんのものだと思っているので、いつも素材をお渡ししてしまったらあとはすべておまかせなのですが、素敵な出来上がりの本が届くと、やっぱりほんとに感激してしまいます。

この写真は、京都の叡山電鉄さんの車内で、ゲリラ的に撮影されたものです。
もちろん許可は取ってましたが、当日まで本当に撮影できるか不安だったとか。合成とかじゃなく、実際に走っている電車内で撮った気合いがみどころです。

オルゴォル

  • 作者: 朱川湊人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

このごろ忙しくて日記なかなか書けないんですが、とりいそぎ!