タグ別アーカイブ: 小説

あなたのゼイ肉、落とします

垣谷美雨さん著『あなたのゼイ肉、落とします』(双葉社刊)のカバーイラストを描きました。
とても面白い小説ですが、なんとも強烈なタイトルで、、、。
ダイエット小説の絵を、わたしが描いていいのかなという葛藤はあったのですけども〜笑

この絵はもともと2014年の個展のために描いたもので、垣谷さんが気に入ってくださり、小説に合わせて人物を描きかえたり、サイズを拡張したり食べ物の数を増やしたりしました。

個展のときは「蜂の巣みたいな小部屋に可愛いものとか食べ物がたくさんあって、幸せだな〜〜〜」というつもりで描いたのですが、今回の装幀では「食べ物の誘惑で悩ましい」という解釈のようで、あ〜、そういう考え方もあったなあ〜、と思いました。

『あなたのゼイ肉、落とします』(amazon)

推理は一日二時間まで

イラストを担当した『推理は一日二時間まで』(霧舎巧さん/光文社)が発売になりました。
ジャーロさんで連載中から挿絵を描かせていただいていましたが、嬉しいことにその挿絵も全部収録されてます。
とにかくキャラクターがたくさん出てくる小説で、しかも変装したり入れ替わったりするので、毎回、頭がこんがらかりながら描いてました。

今回描いたのはカバー用のイラストだけなのですが、デザインが去年『署長・田中健一の憂鬱』でも担当していただいたwelle designさんということだったので、背景やキャラクターをそれぞれ別のレイヤーに分けた状態で納品させていただきました。キャラクター盛りだくさんのごちゃごちゃした絵をすっきりとまとめていただいた上に、カバー以外の表紙や扉、目次のページでも、レイヤーのデータをいろんなパターンで生かして使っていただいて、とても嬉しかったです。

『推理は一日二時間まで』(amazon)

金色の死

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は、「金色の死」の岡村君で、コラムは政治学者の苅部直さんでした。
岡村君は大金持ちで頭も良い美青年で、究極の芸術を追求した結果、それは人体の美だということで、全財産をかけて自分だけのための最高の美のテーマパークを作り上げたあげく、仏像のコスプレをして全身に金粉を塗ったくって窒息死(!)してしまう。
すごいなあ〜と思ったのは、岡村君の、作品によって世間の理解や評価やお金を得たいという考えが完全にゼロなところ。まわりのことなんか考えないで自分の好きなことだけやりたい気持ちを、とことんまでやりきるとこういうことになるんだろうか。現実には、たとえやりたいことをぜんぶやりとおすことができたとしても、それと同時に傑作が生まれるというのはめったにありえないと思うけど、これは小説だから、恐ろしいほどの作品ができたことになっている。
ただアートってやりっぱなしじゃだめで、きゅうくつで面倒くさい話だけど、誰かに評価されて、認知されてはじめてアートの流れの中に入れてもらえるものだから、岡村君の作品はいくら美しくてもこのままじゃアートとは呼ばれ得ない。唯一の目撃者であるこの小説の語り手によって世間に紹介されれば、アウトサイダーアートとして位置づけられたかもしれない。でも岡村君はそんなことは望んでないんだろうな。究極の自己満足だけど、これもひとつの理想だなとはわたしも思った。
(この絵は、岡村君も大好きなレオン・バクストの衣裳を着たニジンスキーのイメージをちょっとだけ借りてます。)

蓼喰ふ虫

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は「蓼喰ふ虫」の主人公・要。
離婚したいんだけど踏ん切りがつかない夫婦の話。文楽の人形に執着する心理の描写は面白かったけど、わたしはこういう話はどうもよくわからないのでモヤモヤと悩んだあげく蓼を食べてる虫を描きました。
コラム担当のノンフィクション作家の髙橋秀実さんは「要は阿呆の典型」だとボロクソに書かれてて、そう言い切れるのもすごいなあと思いました。

吉野葛

先月の谷崎名キャラ図鑑の題材は「吉野葛」の津村で、コラムは詩人の杉本真維子さんでした。
晩秋の奈良・吉野が舞台。母を早くに亡くした青年が、母の出身地である貧しい紙漉きの里・国栖へむかう。
山奥へ深く分け入っていく旅程と、心の奥の母のイメージをたどっていく過程とがリンクして、そこに「義経千本桜」の吉野山の段の静御前と忠信狐の話とか、葛の葉狐の伝説とか、「妹背山婦女庭訓」の情景とか、いろんな要素が複雑にからみあって、実話なんだか作り話なんだかよくわからなくなってくるような幻想的な小説でした。
この連載で今までに読んできた中で一番好き。
 
挿絵は、歌舞伎の妹背山の舞台装置(山と山の間に川が流れている構図)とか、関西の商人が主人公の話なので琳派っぽい感じとかを少し意識して描きました。
紙漉きの里の白、半透明に熟した柿…、と色の印象が鮮やかな小説だったので、カラフルな絵に仕上がりました。

谷崎名キャラ図鑑、今月の題材は「鍵」の妻・郁子。
コラムは宗教人類学者の植島啓司さんでした。
夫婦がそれぞれの日記(盗み読みされているという前提)の中で、いろいろ妄想したり、複雑きわまるかけひきをしたりする話。
人間心理を読むのが得意な人って、表面はふつうでも、内面的にはこんなふうにドラマチックに生きてたりするのかな。。。

夢の浮橋

読売新聞夕刊に月イチで連載中の「谷崎 名キャラ図鑑」、今月の題材は「夢の浮橋」で、コラムは日本文学者のジョルジョ・アミトラーノさんでした。
題名のとおり、源氏物語が下敷きになっていて、 美しいような、けしからんような、もやに包まれたような、なんともいえない不思議な読後感の小説でした。

 

署長・田中健一の憂鬱

川崎草志さんの小説『署長・田中健一の憂鬱』のイラストを担当しました。
デザインはwelle designの坂野公一さんです。

この小説は、小説宝石での連載時から挿絵を描かせていただきました。
いつもプラモデルのことばかり考えているエリート警察署長が主人公なので、プラモデルのパーツを描いてみました。

カッティングマットの上で作業中のイメージです。
そのイラストを使ってデザイナーさんがいろいろ遊んでくださいました。

表紙、目次、扉、それに奥付まで、あちこちにイラストが使われていて、見本を受け取ってびっくりしました。とてもうれしかったです。

うっかり変なとこで切断しちゃった体のパーツがあったりとか(笑)、ちょっとした「間違いさがし」風にも楽しめます。

光文社さんから、お盆休み明けの発売になります。プラモデル好きの方にぜひ。

署長・田中健一の憂鬱

署長・田中健一の憂鬱

  • 作者: 川崎草志
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/08/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

異端者の悲しみ/猫と庄造と二人の女

読売新聞夕刊に月イチ連載中の「谷崎 名キャラ図鑑」先月と今月のぶんの挿絵です。

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1枚目は「異端者の悲しみ」のお富ちゃんで、文章は青山七恵さん。
2枚目は「猫と庄造と二人の女」の庄造で、文章は市川真人さんでした。
どっちの小説の登場人物も、ものすごいダメ人間ばっかりで、可愛くて面白かったです。

春琴抄

「谷崎 名キャラ図鑑」連載2回目のテーマは「春琴抄」で、5/23の読売新聞夕刊に掲載されました。

「春琴抄」は、学生の頃に島津保次郎監督の映画版を見た印象が強かった。
なんでこんな古い映画を見たかというと、美術を小村雪岱が手がけていたからで、久々に見直したら、花見の席で琴を弾く場面とか、やっぱり絵のようにきれいだった。
ただモノクロ映画なので、色がよくわからないのが、挿絵の資料としては残念。

文章を読むのは今回が初めて。
短い小説だけど、佐助が失明する場面が怖くてそこから先に進めなくなって読み終わるのにかなり時間がかかってしまった。
でも面白かったなー。面白すぎると挿絵描くのも大変で、描きたい要素が多すぎて一枚にまとめるのが難しかった。
それに着物を描くのも本当に難しくて、、、ちゃんと勉強しなきゃなと思った。