河鍋暁斎の底力/国立劇場12月歌舞伎

歌舞伎の夕方の部の招待券をもらった。いま東京に行くのは罪悪感もあるのだけど、大好きだった福助さんが出るというので見に行くことにした。

国立劇場に行く前に、東京ステーションギャラリーで「河鍋暁斎の底力」展を見た。暁斎の浮世絵の完成品ではなく、下絵や、即興で描いた絵を集めた地味な展示。でも、彫り師や刷り師の手が入る浮世絵と違い、これなら暁斎本人が描いた生々しい線を堪能できる。すごく上手い。弟子のために描いた見本の絵とかでも、手抜きとか一切ない。なんでも描けるようになりたいという、執念なんだろうか?とにかくすごいパワーだった。

建て替え前の歌舞伎座のさよなら公演を幕見席で観て以来、歌舞伎からは遠ざかっていて、調べたら10年ぶりだった。その間に、先代の芝翫も雀右衛門も、勘三郎も団十郎も三津五郎も、それに最近は藤十郎も、みんな死んでしまった。福助さんも倒れてしまった。。。

客席はガラガラで、1割も入っていたかどうか。席は一つおきの使用という決まりになっているけど、それどころか、同じ列に座っている人が1人か2人という状況。もともと歌舞伎の客は高齢者が多いし、国立劇場は歌舞伎座よりも学問寄りだから、今は控えるという人が多いんだろう。
客席からの掛け声は禁止。唄や楽器の人たちはみんな口元に黒い布をかけていたし、出入り口も開け放たれていて、上演時間も短め。これなら絶対安全だなと思った。

10年も見ていないと、若い役者はもう誰が誰だかよくわからない。
福助さんはほとんど座ったまま、扇を動かすだけだった。それでも素敵だったけど、、、あのコメディエンヌっぷりをまた見たいなあ。

帰り、アートラボに寄り、地場賢太郎さんと河野あさみさんの個展を拝見。
今年はもう忘年会もないだろうし、「良いお年で」と挨拶して帰った。