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ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW―光の破片をつかまえる/バンクシー展 天才か反逆者か

新橋に用事があり、11時頃には終わったので、そのまま桜木町に移動。横浜トリエンナーレへ。
チケットは時間指定の予約制なので、移動しながらスマホで買おうとしたら、クレジットカードの合言葉を忘れていた。慌てているうちに横浜美術館に着いてしまい、入り口前でアワアワしていたら、係員の方が窓口でも買えると教えてくれて、事なきを得た。
横トリ、今年開催できたこと自体に驚いたけど、規模は少し小さめだった印象。映像が多かったからか、ぱっと見でワクワクするような作品は少なかった。わたしは映像の展示を見るのが苦手なのだ(ある一定の時間その場にいなければいけないのがどうにも苦痛)。
全体的にシリアスな雰囲気で、社会問題がテーマの繊細な作品が多かった。ひとつひとつにポエムみたいな解説文が掲示されていたが、これは正直あまりよくわからなかった。
挨拶文に、今回のテーマのひとつである『毒との共存」が、偶然、コロナ禍の世相に合っていた、と書かれていたが、それはちょっとこじつけのような気もする。
一番好きだったのは、入り口を入ってすぐのところにあった、ニック・ケイヴ(アメリカ)の《回転する森》。わたしはカラフルな何かが天井からいっぱいぶら下がってるタイプの展示に弱いのだ。
他に気になったのはレボハング・ハンイェ(南ア)の段ボールを使ったインスタレーション、エリアス・シメ(エチオピア)の電子基板などを使って構成した作品など。
日本郵船歴史博物館の会場は、月曜は休館日だった。

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それから横浜駅前アソビルの「バンクシー展」へ移動した。
こちらのチケットも時間指定の予約制だったが、カードの合言葉を入力しなくてもスマホで買えた(なんで?)。
会場は美術館ではなくて、なんとも俗っぽい雰囲気の展覧会だった。ストリートアートの展示には合っているのかもしれない。
スマホで見る解説の文章がないと理解するのが難しかったけど、とにかく遊び心というか茶目っ気たっぷりで、爽快感があり、面白かった。
バンクシーというと社会問題があれば片っ端から首をつっこんでいくアーティストというイメージだった。でも発言したがりの人は世の中にはたくさんいる。特にバンクシーがこれだけ支持されるということは、作品に込められたメッセージに強い説得力があるということだ。覆面や、いろんな仕掛けや謎めいた演出に注目しがちだけど、作品自体もとても洗練されて美しいのだということもよくわかった。
作品数が多く、とても見ごたえがあった。解説文のボリュームがありすぎてスマホの電池がなくなった。わたしもへとへとになった。

アンデルセン公園

船橋のアンデルセン公園に遊びに行った。
とても人気があるらしいことは知っていたけど、交通の便が悪いので行ったことがなかった。友人が公園内の子ども美術館で働くことになったので初めて行ってみることにした。
今年はまだ夏休みに入っていないので、子どもの姿は全くなく、閑散としていた。
とても広い公園で、楽しそうな施設がいっぱいあるようだけど、脇目もふらず子ども美術館に直行。藍染めと陶芸のプログラムを体験した。

藍染めは、輪ゴムで布を縛って絞り染めにする。
素材はいくつかのアイテム(手提げ、ストールなど)の中から、Tシャツを選んだ。
絞り方にもいろいろあって、6種類ほど、丁寧に教えていただいた。どれもやってみたかったけど、わたしは「アンモナイト」という絞り方で、全面に5個くらい配置することにした。布をつまんで渦巻きを作り、輪ゴムで縛ると、藁人形みたいな形になった。
ゴム手袋を2枚重ねで装着して、蛍光グリーンの妖しげな液体にTシャツつっこみ、8分くらい揉み揉みする。
それからいくつかの薬品(酢酸?)に浸したり、余分な色を水で洗い流したりするときれいな藍色になる。輪ゴムを外すと、思ったよりいい感じに模様ができていて感動した。

染めのアトリエの脇の物干し場で濡れたTシャツを乾かしつつ、陶芸のアトリエに移動。
陶芸は、夏らしく涼しげなガラスをのせたお皿を作るプログラム。
水面に睡蓮が浮かぶデザインにしてみた。
うちの睡蓮は、長梅雨のあいだに葉っぱが溶けてしまって、今年も咲かなかったけど。。。
つい集中してしまって時間の経つのを忘れた。
焼くのはお任せで、秋になったらまた受け取りに行く予定。
砕きガラスがうまい具合にグラデーションになってくれるといいなあ。

プログラムは各1.5時間くらいで、藍染め(Tシャツ)は1000円、陶芸は800円(ほとんど材料費なんじゃないかなあ)。よく練られたプログラムで、材料とか全部そろってるから、手ぶらで行っても誰でも気楽に挑戦できる。
子ども美術館だけど、大人もめちゃ楽しい。
夢中になりすぎて、帰るときにはヘトヘトになっていた。

会食

仕事で知り合った仲間と3人で、お疲れさまの会食。
できるだけ用心して、若者があまり来なそうな、某中華レストランで円卓を囲むことに。
狙い通り、もともと広い店内はとても空いていた。土曜日なのに。
食べるのに時間のかかりそうなランチコースは避けて、牛肉とセロリのあんかけ焼きそば(美味しかった!)をそそくさと飲みこみ、あとはマスクをしてゆっくり歓談。空いてるので遠慮なくのんびりできた。
家族以外と食事するなんていつぶりだろう。
この数ヶ月たまっていたいろんなことを話せてスッキリした。

ピーター・ドイグ展

国立近代美術館で2月末に始まっていたピーター・ドイグ展、期間限定の割引券を購入していたのが、開始直後にコロナで休館になってしまった。会期が6月中旬までだったので、間に合うかどうかやきもきしていたが、宣言開け後、秋まで延長になり、割引券も会期中いつでもOKになった。本当に見たかったのでありがたかった。
都内に出るのは4ヶ月ぶりだった。19日からやっと東京と往来できるようになったが、また感染者も増えてきているし、いつ行けなくなるかわからない。美術館のためだけに出かけるのは憚られるけど、別の用事もあったのでこれ幸いと立ち寄った。

まず、入館時に非接触式の体温計で検温。
入館は予約制となり、人数制限している(前売り券を持っている人はいつでも入れる)。おかげでゆったりと見ることができたし、薀蓄を語るおじさんとか、関係ないおしゃべりするおばさんとかがいなくて、とても快適だった。

美術館閉館中に、展示会場の3DVR映像が公開されていたけど、やっぱり現物は全く違った。絵の具の手触り、盛り上がりの陰影、色の反射、モノとしての迫力。その奥に透けて感じられる、作り手の存在感。
久しぶりに良いものを鑑賞することができて、自分がとても飢えていたことに気がついた。
ずっと家にこもっていても、いつもと同じだし、ネット上に面白いことがたくさんあるし、東京に行かなくてもそんなに困らないなあと思っていた。
でも、知らないうちにだんだん何かエネルギーのようなものが減ってきていたようだ。

コロナ禍で、会いたい人に会いたい時に会えること、行きたい場所に行きたい時に行けることのありがたさを改めて感じたけど、それと同じくらい、ときどき素晴らしい作品に触れ、エネルギーをチャージするのって本当に大切なことなんだ。

横浜でやってるバンクシー展も見たいな。。。

メスキータ展

佐倉市立美術館で開催中のメスキータ展(東京ステーションギャラリーからの巡回)を見に行った。
京成佐倉駅前はかなり地味だけど、昔は城下町だったらしく、少し歩くと風情ありげなお店やオシャレっぽいパン屋さんなどが点在していた。

メスキータはオランダのユダヤ系アーティストで、美術学校でエッシャーを指導し、最期はアウシュヴィッツで亡くなった。
白黒の木版画が素晴らしかった。特に線のリズムによる立体感や陰影などの表現は、こんなやりかたもあるのかと思った。同じ作品を試し刷りしてはまた彫るのを繰り返す、別の版がたくさん展示されていたのも面白かった。
チラシのビジュアルのインパクトが強すぎて、なにかのプロパガンダかと思ってしまうがそんなことはなく、この作品もただの自画像で、会場で見ればそれほどきつくなかった。

絵本フェア/るるる★なべ

以前個展をさせていただいた、渋谷の大盛堂書店さんで開催中の絵本フェアに、マトリョーシカもこんにちはしてました。
個展のとき(2011年の暮れだから、なんと8年前!)と同じ、三階のイベントスペース。なつかしいなぁ。。。

渋谷から東横線に乗り、「るるる★られる」カンパニーの忘年会に参加するため、久しぶりに横浜へ。
場所は美術&映像作家ドゥイさんが運営されている造形教室。昭和レトロなクリーニング屋さんの店舗を改造した建物で、あちこちに子供の作品やら謎の材料やらが置かれ、なんとも居心地のいいところだった。

鍋も美味しかったし、みんなでたこ焼きをクルクルするのも楽しかった。たこ焼きと言ってもタコは入っていなくて、お餅とかチーズとか納豆とか入れたり、粉もそば粉を使ったりと、かなり自由。焼いてるうちにだんだんエスカレートしてチョコレートとキャベツを混ぜたり、イチゴやミカンを突っ込んだりしていたけど(自由人の集まりなので、みんな面白がって誰も止めようとしない)意外に美味しく食べられた。
今回使った電気たこ焼き器は2000円くらいのものだそう。素人でもきれいに作れたし、焼きたてはカリッとしていていい感じだった。たこ焼き器欲しいな。。。

ギターを弾いたり、そこらへんにある不思議な楽器をかき鳴らしたり、適当に歌ったり踊ったり。とても幸せな会だった。

厩火事/常時裏

日本橋丸善で大鹿さんと待ち合わせて、有名なおでん屋「お多幸」で軽く食事。
お醤油で真っ黒なビジュアルと、見た目通りの甘辛い味付けのおでんにはびっくりした。江戸っ子の大鹿さんも、この味には驚いていた。かなりしょっぱいのでお酒を飲みたかったけど観劇前なので我慢。
この店の名物「とうめし」(お豆腐のおでんを乗せたご飯)はとても美味しかった。

きょうの目的は、韓国プロジェクトの頃からお世話になっている宋さんがプロデュースされた「劇と暮らしプロジェクト」のお芝居を観ること。
会場の日本橋ホールは、オフィスビルの9階にある会議室みたいな小綺麗な空間で、いかにも演劇と縁のなさそうな場所だった。小劇場演劇ってどうしても貧乏くささがあるものだから、都心のキラキラの夜景を見下ろせるような、こんな場所で上演されるのは新鮮だった。
二本立ての短い作品『厩火事』と『常時裏』を通しで観たが、表舞台と舞台裏の進行を同時に見せていくメタな仕掛けがとても良かった。

諏訪大社

昨夜は雨だったがきれいに晴れた。
諏訪大社に行ってみようとコミュニティバスに乗ると、隣に座っていたおばあさん(元学校の先生)が話しかけてきて、湖のことや町のことをいろいろ教えてくれた。今年はとても暖かく、おかげで紅葉がまだ残っているのだそうだ。
偶然出会った人とおしゃべりするのが、一人旅のいちばんの醍醐味だ。
おばあさんが降りた後、どこで降りればいいのかバスの運転手さんに聞いてみた。
よく知らなかったんだけど、諏訪大社は上諏訪に2箇所、下諏訪に2箇所もあるんだそうで、このコミュニティバスで行けるのは「上社本宮」。少し離れたところにある「上社前宮」に行くには、本宮から少し歩かなくてはいけない。せっかくなら両方行きたいと言うと、効率のいい歩き方や帰りのバスの時間まで、丁寧に教えてくれた。

本宮の前でバスを降り、まず前宮へ歩く。ちょっと離れているけど場所はわかりやすかった。とても素朴なところで、お宮への坂の両脇には畑や民家が点在していて、どこまでが神社の敷地なのかよくわからない感じだった。
お宮はなんとも言えない清らかな雰囲気で、売店などもなく、今にも自然に還ってしまいそうな不思議な場所だった。パワースポットってほんとにあるんだなと思った。建物のまわりには御柱が立てられていて、その間をちょろちょろと湧水が流れていた。裏山に小さな社があったが、その周りにも小さな柱が立てられていた。

遊歩道を歩いていくと住宅地に出た。信州の秋の風景は、原田泰治の世界そのものだった。写真だと見づらいけど、柿の木には真っ赤な実がなっていた。

本宮は前宮より豪華で見所が多い凝った建物だった。短い参道があって、道端にいくつかお土産屋さんもあり、少し人間的な感じがした。お腹が空いて、お焼きの蒸したのを二つ買って食べた(焼いたもののほうが好きだけど、蒸したのも悪くない)。

バス停に戻り、居合わせた観光客の夫婦とバスのルートについて話していると、またコミュニティバスがきた。
なんと、今朝と同じ運転手さんだった。市民が利用するバスなので、さっきはふつうに運転していたのだけど、今度は観光客が多めということで、なんとなんと、街の見所をいろいろガイドしてくれた(もしかしたら元バスガイドさんなのだろうか?)。八ヶ岳の山の名前、富士山とアルプスが同時に見えるスポット、御柱祭のことなどなど。。。おかげさまでとても楽しい時間を過ごせた。
上諏訪駅前のホームには足湯があった。たくさん歩いて足がパンパンだったので最高に気持ち良かった。

一駅戻って下諏訪に着くと、まずレンタサイクル(電動でよかった!)を借りて、「下社秋宮」に向かった。上社には無かった、極太のしめ縄に目を奪われた。前の横浜トリエンナーレで見た、超巨大なしめ縄風の作品を思い出した。
そこから「下社春宮」に向かう途中に立ち寄った「慈雲寺」も素敵だった。木々と、ふかふかの苔で、緑一色のしっとりした空間だった。

秋宮と春宮は似ている気がした。春宮の近くにある「万治の石仏」は、なんともいえない不思議な雰囲気があり、見ることができて良かった。

それから御柱祭の資料館「おんばしら館 よいさ」にあまり期待せずにふらりと入った。御柱祭は亡くなる方も出るというし、怖いイメージがあったんだけど、係の方が熱心に説明してくれたおかげで、いつか本物を見てみたいと思った。
 
ひととおり見終わるともう夕方で、平日のせいかすでに店じまいしているところが多く、食事できそうな店は見つけられなかった。お土産屋さんは営業していたけど、ザ・観光地の土産という感じの物ばかりでピンとこなかった(こじゃれたものは松本で買うべきだった)。いろんな蔵の日本酒の利き酒セットとか欲しかったが、そういうのはなかった(ホテルの売店とかにならあったのかなあ)。
仕方ないのでスーパーでお蕎麦や野沢菜やカップ酒などを買い込んだ。テルコさんちの近くのスーパーには、いかにも信州らしい美味しそうなものがいろいろ売ってたんだけど、ここのスーパーは小さくて品揃えが少なかった。たぶん大きなスーパーは駅の近くじゃなくて車でしか行けないような場所にあるんだろう。
自転車を返して駅に戻り、キヨスクで日本酒の小瓶を買ったら、おツマミもどうですかとすすめられた。いや電車で飲むんじゃなくて、お土産用なんだけどなー。。。
 
下諏訪からは高速バスもあったけど、中央線の各駅停車で帰ることにした。最初のうちたくさん乗っていた人がだんだん減っていき、貸切状態になったのを見計らって、買っておいた長野名物・牛乳パンを食べた。その後またお客さんが増えたので絶妙なタイミングだった。
真っ暗の中、知らない駅ばかりの知らない電車にぽつんとひとりで乗っているのはなんとなく楽しい。
大月で乗り換えると、そこから先はふつうの中央線になってしまい、旅行気分はおしまいになった。

湖めぐり

まだ暗いうちに早起きして、テルコさんと「裏山」に登った。裏山というから歩いて登るのかと思ったら車で、坂道をぐるぐると登っていくのでけっこうな距離だった。しかし、雲も下に見えるほどの高さまで登ってみれば、たしかにそこはまさに裏山としか言いようがない、お家の真裏の位置だった。もう少し寒くなったら雪で来られなくなってしまうらしい。

ハンググライダーが飛び立つためのぽっかり開けた場所があって、そこから日の出を眺めた。日の出より先に空が少し明るくなって、湖の反対側の山のかげから日が登ってくる。なんとも言えない空の色。太陽は赤く小さく可憐に見えた。木崎湖の上に小さな雲が浮かんでいるのも可愛らしかった。

背後には白樺の林と、うっすら雪をかぶった北アルプスがオレンジ色に輝いていた。
裏山を降り、木崎湖と並んで仁科三湖と呼ばれる、中綱湖(コンパクトで、紅葉が見事)と青木湖(大きくて、開けた感じ)を巡った。テルコさん曰く、それぞれの湖の周りに住む人々は、みんな自分のところの湖が一番いいと思っているのだそうな。

コンビニでパンとスープを買い、木崎湖のほとりのキャンプ場で朝食。ここのベンチはテルコさんのパートナー氏の手作りだそう。

お家に戻ると、パートナー氏は冬に備えてヤギ小屋を作っていた。小屋といっても立派な建物で、二階部分に斜面から板を渡してあり、そこをヤギが行ったり来たりしていた。まるで絵本の世界。春になったらヤギのお乳でチーズ作りに挑戦するんだそうだ。庭には木のブランコもあるし、アルプスのハイジとペーターみたいな暮らしだなと思った。

家の周りには他にもいろんなものがあって、畑には食用ほおずき、野沢菜などあまり馴染みのない作物も植えてあった。大きなトランポリンや一輪車まであった。
近所のおばあさんから電話があって、漬物用の大根をもらいに行った。その家には漬物専用の小屋があり、テルコさんは漬け方を教えてもらっていた。高齢化が進み、人口がどんどん減っているそうだけど、とても豊かで、移住者に親切な土地柄のようだ。
ふたりはこの場所とここの人たちが本当に好きで、ずっと住む覚悟を決めていた。そこまで土地を好きになるという感覚がわたしにはよくわからないけど、幸せを見つけたんだなあ、よかったなあと思った。

朝が早いと一日が長い。昼頃にはてくてく歩いて最寄の無人駅に向かった。電車の時間を確認して早めに着いたのだが、駅についたとたん、電車がホームにやってきた。おかしいな?と思いながら乗り込むと、逆の下り方向に動き出してびっくりした。2時間に1本あるかないかだというのに、まさか数分違いで反対向きの電車が来るとは思わんかった。
困って運転士さんにどうしたらいいか聞いてみたら、次の駅でもともと乗るつもりだった上り電車に乗り換えできると教えてくれた。お礼もそこそこに大急ぎで降りて反対側のホームにダッシュすると、すぐに電車がきた。危なかった。
 
そこからは居眠りしたり、乗り換えの松本駅で買ったお焼きをかじったり、スマホで今晩泊まる宿の予約をしたりしながら、しばらくのんびり電車に揺られた。
上諏訪駅で降り、観光案内所でもらった地図を手に目的もなく歩き出すと、すれ違った人たちが「酒蔵に行くならそこの信号を渡って云々」と親切に教えてくれたので、とりあえず酒蔵の並ぶ通りをぶらぶら歩き、ぐるりと回って諏訪湖の方へ。

諏訪湖はきょう行ったどの湖より大きく広々としていて、きれいに整備されていた。湖畔の公園には鴨の群れがいた(鳩かと思ったら違った)。
高速バスで関西方面に行く時、いつもトイレ休憩に立ち寄るのが諏訪湖サービスエリアで、そこから諏訪湖を眺めるのが好きだった。小学校の頃よく見ていた教育テレビの番組「たんけんぼくのまち」の舞台が諏訪市だったのもあり、なんとなく親しみがあった。
駅前に戻り、開いていた店を見つけて夕食を食べ(微妙)、スーパーで翌朝食べるパンとお茶を買った。

泊まったのは古い民宿で、個室は超狭かったけど、館内はきれいで趣があった。お風呂は一人しか入れないサイズだったけどちゃんと温泉で、熱くて気持ち良かった。

るるる★られる

始発に乗って新宿に行き、高速バスで松本へ。バスタ新宿は初めて(前に松本に行った時は西新宿発だった)。きれいだし乗り場がわかりやすくなった。
松本はさすがにピリリと寒い。さっそく松本市美術館に行き草間彌生の展示を見た。ここは草間の出身地。美術館の前には大きな彫刻があり、外壁から自動販売機にまで例の水玉模様が張り巡らされて、徹底してるなあと思った。

お昼は、前回感動したお蕎麦屋さん「みよ田」に行き、名物「とうじそば」をいただいた。鍋物のだしにお蕎麦をさっとくぐらせて食べる。その「さっ」とのかげんがよくわからず戸惑う。お蕎麦はめんつゆで食べるのに慣れているので、前に食べた「ごま汁せいろ」のほうが好みだったかも。

原田さん、大鹿さんと、ダンサーの新井さん、板坂さん、造形作家のドゥイさんのカンパニーの公演『るるる★られる』の数年ぶりの再演を見るのが今回の目的。
松本から大糸線で二駅のところにある、音楽文化ホールへ向かった。
春に、大糸線沿線にある木崎湖のほとりに移住してきたばかりのテルコさんとロビーでまちあわせて、一緒に観た。
子供向けの公演だけど、大人が見ても面白い。新井さんが会場中の子供の心をつかんでいくのは見事だった。最後のほう、大鹿さんが大量の鈴をばらまくシーンではなぜか涙が出そうになったし、大きなビニール袋が客席の上をふわふわ舞う情景に心の底からワクワクした。終演後のロビーでのお見送りは、子供達も参加して大盛り上がりだった。
これきりなんてもったいない。もっとあちこちの劇場を回って、たくさんの子供に見て欲しい。というか甥っ子と姪っ子に見せたいので東京で公演してほしいと思う。

楽屋で出演者に挨拶したあと、テルコさんの運転で、テルコさんとパートナー氏の暮らすお家に連れて行ってもらった(想像してたより遠かったけど、これくらいの距離は近所という感覚らしい)。山あいなので、平地よりもさらに日が短く、着いた時にはもう真っ暗で湖は見えなかった。
しかしお家が、まぁとにかく素敵すぎた。

静かでゆったりしたお部屋のど真ん中に、北欧から取り寄せたという大きなペチカ(!)があり、薪があかあかと燃え、猫たちがのんびりとねそべっていた。二階の各部屋にはランタンが灯り、本がどっさり、壁にはさりげなく絵が飾られていて、いつでもハンモックに乗ってゆらゆらできた。いたるところにカメムシがいたので、虫が苦手な人はダメだろうけど。
おでんをつつきながら、いろいろおしゃべりした。パートナー氏とは初めて会ったけど、スッと自然に深い話をできる人だった。テルコさんのことを「とても大きな人だ」と言っていた。わたしもそう思うのでとても嬉しい。

原田治展「かわいい」の発見/ボローニャ国際絵本原画展ほか

猛暑の中、世田谷文学館(前に住んでた家の近所だけど、だいぶ景色が変わった)の原田治展へ。言わずと知れたイラストレーション界のレジェンド。イラストレーションと出版文化がおしゃれの最先端で、最も輝いていた時代の熱狂の中心。まだCGがないから全部手描きで、現代のような凝り過ぎた感じはなく、若さと明るさと楽しさとスピード感がある。そしてものすごい仕事量。イラストレーションは拡散するものだから、田舎の小学生だったわたしのところにも、その空気感の断片は伝わっていた。子供にとっては、それがあたりまえに存在するもののように感じられた。
「かわいい」の発見、という切り口からの展示は、現代から振り返っての評価なのだろうと思うが、確かにわたしたちは無意識的にそのなかで育ってきたし、日本のかわいい文化に与えた影響ははかり知れない。

それからリニューアルオープンした板橋区立美術館の、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展へ。チケットをもらったので。出品作の8割くらいはデジタル作品という印象。こういう展覧会だといつも思うけど、いろんな国の作家さんの作品が並ぶなかで、日本人作家の絵ってすぐに日本のだとわかる。なんでだろう?やっぱりなんとなくかわいいからだろうか。日本はイラストレーションもガラパゴスなんだよなあ。
欧米の作家も、日本や東洋の影響を受けているものが目に付いた。
帰り道、コンビニで白熊アイスを買って歩きながら食べてたら、あっというまに溶けて手がベッタベタになった。暑すぎ。笑

それから、アートラボトーキョーのわらおびびし展/ケビン・ジョーンズ展へ。わらおびびしさんがちょうど在廊されていたので、技法について根掘り葉掘り質問した。彼はステンシルとエアブラシを駆使して制作している。エアブラシといえば超絶技巧のスーパーリアリズムで、とくにCGが出てきてからは時代遅れのイメージがある。でもアラサーくらいの人にはそういう先入観はないらしい。グラデーションよりもステンシルによるベタ塗りを中心にして、CGも併用しつつ、現代にあわせて技術を復活させ、さらに手作業の温かみや不安定さも利用しているのがとても面白い。そもそもなんでエアブラシに出会ったのか聞いたら、高校の美術部の先生が使っていたんだとか。なるほどそういうところにエアブラシ技術は残っているのか。。。

ケビンさんのほうは2m四方くらいありそうな特大のコラージュ作品で、なんだかよくわからないけどかっこよかった。作品を巻いて手荷物として運んできたそうだ。こんな長いもん飛行機に載せられるの?思ったら、釣り道具なら長くても大丈夫なんだそうだ。そんな方法があったとは!

隅田川花火大会

hanabi展のレセプション。今年も台風が来て強い風が吹いてたけど、雨は降らず。
関係者とお客さんと総勢20名近くで、花火大会に繰り出した。
今年は蔵前あたりで、ビルの隙間から鑑賞。両国橋から見るよりずっと近く、大きく見えた(ただし、全体は見えない)。

人が多すぎてすぐにバラバラになってしまったが、氷結とフランクフルトを買い込み、道ばたに座り込んで眺めた。おまわりさんもうるさくなくて良かった。
近くのコンビニの店員さんが大きな花火があがる前にカウントダウンしてくれたり、まわりの人たちと一緒になって拍手したりと、謎の一体感があった。

アートラボに戻ってからのアート談義も面白かった。20代のあめのいちさん(平成生まれだけど20世紀生まれ)から見た、2000年代生まれで最初から身近にインターネットがあった世代の作家の分析(情報処理能力がすごいという)がとくに興味深かった。

まほろん

土器づくり同好会のバス見学ツアーに参加した。参加者は40名くらい。
今年の行き先は福島県の「まほろん」という施設。きれいで気持ちの良いところだった。学芸員さんの解説つきで、企画展示や、福島県内の土器が一堂に集められているという巨大な倉庫も見学できた。これからここで見た土器をモデルに制作する予定だから、みんなびっくりするくらい熱心に質問したり撮影したりしていて、学芸員さんも嬉しそうだった。

自由時間にボケっとしてたら、係のお姉さんが声をかけてくれて、丸太を石斧で削って丸木舟をつくる体験をさせてくれた(表面にちょっぴり傷をつけた程度だけど)。帰りに立ち寄った那須野が原博物館の常設展示も良かった(アカハライモリが超可愛かった)。

バスで近くの席になった方たちとたくさんお話できたのも楽しかった。みなさん縄文文化が大好きのようだ。興味の方向は、土器・土偶・アンギン編み・粘土作りそのもの…といろいろ。しかもいろんな特技をもった方が多くて話が面白い。

わたしは、土に触るのは楽しいな〜とか、オリジナリティーを出さなくていいから気楽だな〜とかいう感じで、のんびりスタンスなのだけど、今日は話を聞いてるだけでも勉強になった。

塩田千春展:魂がふるえる

森美術館の塩田千春展へ。
毛糸を空間に張り巡らせた、繊細だけど五感に訴えかけてくる力強い作品。
できれば空間をひとりじめして見たかったが、とても混雑していた。
なにも考えないでぼけーっと見ても面白いのだけど、バックボーンにある考え方、その突き詰め方が徹底していて、それが作品をより強くしている。
小難しいようで、キャッチーなわかりやすさもある。
当たり前といえば当たり前のことだけど、できそうでできることではない。
すごいなあ。

それから自由が丘のオーガニックな八百屋さんで友人のヨシナリミチコさんたちがやっているグループ展へ。さすがは自由が丘、珍しくておしゃれな野菜がいろいろ売られていたが、産地をみるとだいたい千葉県産だった笑 聞けば千葉に専用の農場があるのだそう。へー。
ヨシナリさんと出展者の山内さんと3人で近くの安居酒屋で飲んで締め。


Tomikawa Mitsuyoshi展

アートラボで開催中のTomikawa Mitsuyoshiさんの個展へ。
わたしとはほぼ同世代で、今回が初個展の作家さんだそう。
でも作品もすごいし、見せ方にもこだわっていてびっくりした。こんな人がいるんだなあ。
プログラミングをされている方だとかで、ものすごい情報量の、ちょっと今まで見たことがない作風。なんでもありの今という時代を俯瞰して見るような、全能感がある。
今までほとんど発表していなかったのを、発掘してきてプロデュースした森下さんもすごい。
なんだかブレイクしそうな予感。。。

そのあと銀座のポーラミュージアムアネックスのRyu Itadaniくんの個展へ。Ryuくんは大学の美術サークルの同期。相変わらず明るくておしゃれな作品だった。