韓国アート道中・4日目 イメージの強度

毎晩、社長さんがアートフェアの後にギャラリーに来て少しずつ展示の設営をしてくださっていました。自分でディスプレイするのと違って、空間の生かし方がとても面白いです。

本当は今日から個展の予定でしたが、フェアが終わってから本格的に始めるということで(日本では考えられないフレキシブルさ)、午前中はギャラリーに行って絵の続きを描いていました。
描いてる途中、まだ朝だったのに、ふらりとカップルのお客さんが入ってきて焦りました。でも二人でなにか話しながら楽しげにゆっくりとみてくださいました。
結局、韓国に来てから小さい作品を6枚仕上げて、どうにか格好がついたので残りの2枚はあきらめました。

午後から、コソクターミナルという駅で李奈珍さんと待ち合わせして、大きな画材屋さんに行きました。早めに着いたので駅のまわりの大きな地下商店街を探索しましたが、激安の衣料品のお店がずらりと並ぶ中、インテリア店が集まった一角があって、現代美術もどきとかゴッホもどきとか、安い絵(けっこう大きいのもある)が山積みになっていて、しかもバンバン売れていました。
李奈珍さんに聞くと、こういう絵はカフェとかお店のインテリアとして使われるそうで、出来のよくない絵のことを「コソクターミナルで売られている絵みたい」と言ったりするのだとのこと。
日本のお店だったら絵じゃなくてプリントのポスターとかが飾られている場合が多い気がします。たとえ安物でも韓国には絵を飾る文化があるんだなあと思いました。

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画材屋さんには、大容量のバケツ入りの絵の具とか、太いヘラみたいのとか、大きな作品用の画材がたくさんありました。それに張りキャンバスが安くていろんな形のがそろっていました。
悩みに悩んだあげく、キャンバスを20枚近く爆買いしてしまいました。これだけ描いたらまた個展ができるくらい笑。
それに葉っぱをたくさん漉き込んだ面白い韓紙も何枚か買いました。
店員さんも親切で、日本の絵の具はクサカベとホルベインのを置いていると言っていました。わたしはターナーのアクリルガッシュ一筋だから買わなかったですが。

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大荷物を抱えてギャラリーに戻り、李奈珍さんと絵についていろいろ話しました。体力があるうちに100号以上の絵を描いたほうがいい、大きな絵を描くとその前後で描き方が変わる、とか。
李奈珍さんはわたしより年下なのを気にして(韓国人は年上にとても気を使うらしい)わたしに対して敬語がうまく使えてないんじゃないかと言うんだけど、そんなこと全く気にしたことないし、同じアートラボ作家なんだから同じでいいのではと話しました(アートの世界では彼女のほうがずっと実績があるんだし)。だけど韓国の人たちがそんなふうに年齢を気にするのだとすれば、こちらからはいったいどうやって気を使えばいいのか(敬語どころか言葉が通じないのに)ものすごく難しいんじゃないかと思いました。

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夜は、明朝帰国する森下さんと菅間さんを囲んでギャラリーでパーティ。
韓国風中華料理(甘辛い味つけ)の出前をとって、成田で買ってきた久保田万寿で乾杯しました。森下さんたちが可愛いケーキを差し入れしてくださり、まるで誕生日会みたいに、ろうそくの火を吹き消しました^^
それから管間さんが作ってくださったアートラボの新しいHPを見ながら、他のアートラボ作家さんを社長さんに紹介したり、いろんな話をしながら、とても幸せな気持ちになりました。

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わたしは大学で美術史を専攻したとはいえ、実技教育はきちんと受けていないし、ヘタクソだし、自分の作品を分類するとすればアウトサイダーアートなんだろうなと思っています。
韓国は技術的にかなりうまい作家ばかりのような気がしたので、こうしてわたしが展示をさせてもらえているのがとても不思議だったのですが、「イメージの強度」はある、と言っていただけたので、そのことについてこれからよく考えてみようと思いました。