原田治展「かわいい」の発見/ボローニャ国際絵本原画展ほか

猛暑の中、世田谷文学館(前に住んでた家の近所だけど、だいぶ景色が変わった)の原田治展へ。言わずと知れたイラストレーション界のレジェンド。イラストレーションと出版文化がおしゃれの最先端で、最も輝いていた時代の熱狂の中心。まだCGがないから全部手描きで、現代のような凝り過ぎた感じはなく、若さと明るさと楽しさとスピード感がある。そしてものすごい仕事量。イラストレーションは拡散するものだから、田舎の小学生だったわたしのところにも、その空気感の断片は伝わっていた。子供にとっては、それがあたりまえに存在するもののように感じられた。
「かわいい」の発見、という切り口からの展示は、現代から振り返っての評価なのだろうと思うが、確かにわたしたちは無意識的にそのなかで育ってきたし、日本のかわいい文化に与えた影響ははかり知れない。

それからリニューアルオープンした板橋区立美術館の、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展へ。チケットをもらったので。出品作の8割くらいはデジタル作品という印象。こういう展覧会だといつも思うけど、いろんな国の作家さんの作品が並ぶなかで、日本人作家の絵ってすぐに日本のだとわかる。なんでだろう?やっぱりなんとなくかわいいからだろうか。日本はイラストレーションもガラパゴスなんだよなあ。
欧米の作家も、日本や東洋の影響を受けているものが目に付いた。
帰り道、コンビニで白熊アイスを買って歩きながら食べてたら、あっというまに溶けて手がベッタベタになった。暑すぎ。笑

それから、アートラボトーキョーのわらおびびし展/ケビン・ジョーンズ展へ。わらおびびしさんがちょうど在廊されていたので、技法について根掘り葉掘り質問した。彼はステンシルとエアブラシを駆使して制作している。エアブラシといえば超絶技巧のスーパーリアリズムで、とくにCGが出てきてからは時代遅れのイメージがある。でもアラサーくらいの人にはそういう先入観はないらしい。グラデーションよりもステンシルによるベタ塗りを中心にして、CGも併用しつつ、現代にあわせて技術を復活させ、さらに手作業の温かみや不安定さも利用しているのがとても面白い。そもそもなんでエアブラシに出会ったのか聞いたら、高校の美術部の先生が使っていたんだとか。なるほどそういうところにエアブラシ技術は残っているのか。。。

ケビンさんのほうは2m四方くらいありそうな特大のコラージュ作品で、なんだかよくわからないけどかっこよかった。作品を巻いて手荷物として運んできたそうだ。こんな長いもん飛行機に載せられるの?思ったら、釣り道具なら長くても大丈夫なんだそうだ。そんな方法があったとは!