不要不急であること

絵や音楽や舞台やすべての芸術は、不要不急であるからこそ素晴らしい。
芸術が人間にとって必要だということは、いまさら声高に主張しなくても、みんな知っている。どんなことがあっても、人間が存在する限り消えたりしないということは、歴史が証明している。だから、危機的状況のときに後回しにされたからといって、焦らなくていいと思う。

芸術に関わる人間は、実務は不得意な場合が多い。でも役にたちたい気持ちはあるから、芸術でどんな貢献ができるかという方向に考えがちだ。それでうまく人々の心を癒す役割を果たせる人もいるけれど、そんなことができる作風の人ばかりではない。結局何も貢献できず、勝手に落ち込んだりもするのだが、人には向き不向きがあるのでしょうがない。無理したところでどうせすぐにばれる。

わたしのような役立たずは、まず自分が役立たずであることを認め、いまは慌てず騒がず、ただ生き延びることに専念して、できるだけ実務家の足をひっぱらないように努めるのが最善だと思う。