根本的な疑問

つねづねふしぎなのは、人間は、なぜ真っ当な職業で汗水たらして得たお金を使ってまで、わざわざ本や音楽や絵を手に入れようとするのかということである。
または映画や舞台やテレビを観たいと思うのかということである。
生活は、なぜそんな血にも肉にもならないもので彩られねばならないのか。なぜ、CDジャケットや本の装丁は美しく飾られねばならないのか。

売る側の理由ではなく、買う側の必要のことである。
そんな遊びか仕事か判然としないようなものを、なぜ人間は必要とするのか。世の中にはなぜこんなにもイラストがあふれているのだろう。

自己表現とかよく言うが、自己表現そのものにはお金は関係がない。
イラストは絵画と違い、印刷されてなんぼなので、事情がやや複雑ではあるが、人間があまたの絵の中からわたしの絵を選んだり選ばなかったりするのはなぜか。
絵描きは、お百姓さんやサラリーマンに間接的に養ってもらっていると言えるが、なぜ彼らは私たちを養ってくれるのだろうか。
欲望のためなのか。憧れのためなのか。見栄なのか。ひまつぶしなのか。
わたしもときどき本や音楽を買う。絵を見る。舞台やスポーツを観る。旅をする。
だからたとえ絵描きをやめてもこの疑問からは逃げられない。

子どもは遊ぶことで社会性を身につける。では、大人は?なぜ遊ぶのか。なぜそのためにお金を支払うのか。それとも大人なんてものは存在しないのだろうか。

この疑問を解きたいとは思わないが、疑問は疑問なのである。
(こんなこと書いてるとヒマなやつだと思われるだろうが、こんなことばかり考えてるからイラストレーターなんかになっちゃうんだよね。仕事の一部みたいなもんなのだ。社会公認の遊び人なのだ。だからなんで社会が公認してくれるのかって話なのだ。無関心なだけ?いや、認めてくれない人だっているけれども、そのほうが分かりやすいかも)

…うーん、正直に日記を書いてるとどんどん暗くなっていくなあ。