思い出話

中学生のとき、担任の先生が、なんでだかしらないけど、そのころはやっていた、吉本ばななさんの「TUGUMI」とか「キッチン」とかを、ときどき、うちの母に貸してくれたことがあった。
わたしは運ぶ役だったのだが、装幀がすてきだったのでついでに読んでいた。

しかし当時の母の愛読書は「レッド・オクトーバーを追え!」の類いだったし、わたしも母も先生の意図はよくわからなかったのだった。

先生は「さやかは窓ぎわのトットちゃんの学校に行けばよかったのにねえ」と言っていたらしいけれど、なかなかそうもいかないし。

このごろ子どもの自殺のニュースが多い。わたしは死にたいと思ったことはないが、子どもの時はまわりの世界がすべてだからちょっとしたことでも傷つくし、生きのびるのはけっこう奇跡的なことだと思う。