テレビ

テレビは最近はほとんど見ないので、押し入れに入れてある。
といってもべつにテレビが嫌いということではなく、会社員のころなど、終電で帰ってから眠れない頭をクールダウンするために深夜放送のカラフルな画面をよくぼんやりとながめていた。そういうときはできるだけくだらない番組がよかった。

頭をからっぽにしたいときに、テレビほど素晴らしい道具はない。
あのからっぽ効果は、世界を円滑に動かすために大いに役立っていると思う。真面目にテレビに関わっている人には怒られてしまいそうだけど。

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ひとつの作品としてテレビ番組を見た場合、「やらせ」とか「演出」とかってほんとうに微妙な難しい問題だなと思う。間違えることもあるし、嘘でも面白いものは面白いし。
現場にいて、そこらへんの感覚を麻痺させないでいるのは相当大変だろうな。

テレビドラマだと作り物として受け止められるのに、ニュースやバラエティだと本当のことのように思ってしまうのはなぜだろう。
頭がからっぽになっている時だから無防備になっちゃうのかなあ。

テレビはとくに大きなお金が動くから薄気味悪いし、どこにだってうさんくさいやつはいる。
テレビで見るものはつねに他人の視線(カメラ)を通したものなんだから、まずはその他人を信用するかしないか自分で判断しなければならない。ただやみくもに信じるのではへんな宗教と同じだ。
そういう意味ではふつうの人間関係と同じことではないだろうか。