たいやきくんの自意識

「およげ!たいやきくん」って、不思議な歌だ。
毎日毎日「ぼくらは」鉄板の上で焼かれては食べられ消えていく。
そんなたいやきの宿命を「いやになっちゃうよ」と思っている、「ぼく」の自意識は、明らかに、ある一匹のたいやきの身体の外部にある。
すべてのたいやきは、たいやきくんであり、たいやきくんではないのである。
自分が釣り人に食べられる瞬間さえも、クールに観察している、彼(彼ら?)にとって、自他の境界はいったいどこにあるのだろうか。