後悔

忙しくしていた間に、お豆腐を一丁、ダメにしてしまったことが悔やまれる。
食べ物を捨てることほどイヤなことはない。
ゴミ箱にお豆腐を捨てながら、心がグラグラ揺らぐのを感じた。
冷蔵庫にはずっと捨てられないジャムが入っていて、それを見るたび胸が痛む。
食品会社には勤められないなあ。

いくら賞味期限切れでも、まだ食べられる品物の山を前にしたら、それを口にする、見ず知らずの人々のことを考えるよりも、とにかく捨てたくないと思ってしまうのも、また人情なんじゃなかろうか。
その気持ちを抑圧して、毎日捨てていたら、いつか気が狂ってしまうだろう。

肉にするために動物を誰かが屠殺しているように、誰かが食べ物を捨てなくてはならない。
それを見ぬふりをしたところで自分が救われるはずもないけれど、なるべく食べ物は大切にしたいものだと思うのであった。