今後の指針

本って素晴らしいものだし、出版不況はたしかに困る。
出版はたくさんの人に絵を届けられる素敵な手段なのだから。

でも、こういっちゃなんだが、出版されなくても絵は描ける。

聞きかじった話では、世の中で動いてるお金は、貧乏人のお金で、景気の善し悪しは、主婦のお財布のひものゆるみ具合で決まるらしい。

本物のお金持ちは、景気には左右されない。
本一冊の値段は貧乏人が買ってもお金持ちが買っても一緒で、たいていの人は貧乏なわけだから、貧乏人が買わなかったら本は売れない。
だから絵描きが出版社からお金をいっぱいもらおうとしても、貧乏人のサークルでお金がまわるだけだから、限度がある。
ちっちゃくなったパイを奪い合って心が荒んだら、描く絵も貧乏くさくなると思う。

そんなのやだ。わたしはただ、穏やかな気持ちで絵を描き続けたいのだ。

てことはお金持ちに作品を買ってもらうことを考えねばなるまい。
そんなことができるのは、小説家でも漫画家でもミュージジャンでもなく、画家とか工芸家とか服飾デザイナー、つまりモノを作る人だけだと思う。

わたしはいままで原画は売らない方針できたけれど、それなりの人に買ってもらえれば、自分で絵を保管するより安心かもしれない。

ここ数年のアートバブルもすでにはじけてしまったので、なんでもかんでも売れるわけじゃなくなってしまった。
評価の定まったものでないときびしいだろうけど、要するに、わたしが生き残るためには、いやらしい話だけど、一人でいいからわたしの絵を好きなお金持ちを見つければいいわけだ。

根拠はないが、世界のどこかに絶対にいると思うし、一人いれば二人いるはずだ。

どんな人かわかんないから、さしあたり好きなものを描いててかまわないと思うけど、その人の目に触れ、心を動かすにはどうしたらいいかってことを考えたい。