お荷物人間の生きる道

朝、5時起きで、バタバタ着替えてタクシーで空港へ。
トイレの水が流れなくなったり、ドライヤーを壊したり、航空券の引き換え書がどこに行ったかわかんなくなって慌てたりしつつ。

ソウルに残るソンさんが、こんな朝っぱらからレジデンスまで見送りにきてくれた。
空港に着いたのは早すぎるくらいだったのだけど、ここからもう一騒動。前川さんが、レンタルした携帯をレジデンスに忘れてきてしまったのだった。

あとはまあ、手荷物検査でちょっと引っかかったりもしたけど、それくらいではもう動じない。早めに空港に着いてて良かったね、という感じ。
免税店でお買いものして、のり巻き食べて、飛行機に乗った。
景色が見たかったけど、韓国の上空はずっと雲に覆われていたし、雲はそのまま東京まで続いていた。

わたしと前川さんとは、とくいわざは違うが、弱点は意外と似ているらしく、生まれついてのトラブルメーカーというか、ようするに団体行動が苦手で、興味をひかれることがあると他のことを一切忘れてしまって、ミスをする。
わたしのほうがミスが多かったけど(すいません)。
したがって、ふたりでいてもほとんど助けあうことができない(笑)。
どうりでいままであまり二人きりにならなかったわけだ。

説教魔の前川さんが、わたしに説教したことがないのも同じ理由かもしれない。
もともとわたしはちゃらんぽらんなわりになぜか人に説教されることは少ないんだけど。(というか、なるべく怒られない方向を選んで生きてきた結果、今に至っている)
正直、4日も一緒にいたらケンカになるかもと懸念していたが、目の前の面白いことに夢中になっていたのが良かったのかもしれない。

前川さんのかたわらには不思議といつも、編集者とか、演出助手とか、舞台監督とか、やたらと面倒見のいい人が必ずいる。で、前川さんも、面倒見られることに慣れている。
これは前川さんが作家さんだからというより女優さんだからだろうと思っていたが、あの人は、生まれついてのお姫さまなんだな(それも大変だろうと思う)。
値切るのが苦手なのもむべなるかな。そう思って小説読むとより面白いかも。

わたしは、従者でも道化でもないし、お姫さまのサロンに出入りする絵描きってとこか。
お姫さまにしても絵描きにしても、役立たずは役立たず、お荷物といえばお荷物。

それでもふたりでいれば自然と役割分担ができるもので、何かしようと言い出すのは前川さんで、わたしはいいですねと同意する役なのだった。
まあ、挿絵描きってだいたいそんなような仕事だしなあ。

ひとりならひとりでも意外にやっていけるのだけどね。。。

今回お守りをしてくれたソンさんは、さぞかし大変だったことでしょうけど、、、
お荷物人間の生きる道は、ひたすら、とくいわざを磨くことしかないのだろう。
適材適所。そんなことを確認するような旅であった。