夢の途中

だいたいわたしくらいの世代はロストジェネレーションとか言われて、SMAPとかヤワラちゃんとかたまにめだつ人がいないわけではないけど、全体的にいって、他の世代に比べたら地味なのは明らかだと思う。

アラサーの元気のなさはバブルを経験してないからだという。
たしかに受験にも就職にも苦労したし、人数だけは多いからよけいに競争はハードだった。
でも、子どもの頃には「夢は信じればかなう」と言って育てられたのが、社会に出る前に突き落とされて、期待もされなかったことで、かえってわたしたちは「好きを仕事にする」ということを許された。
それはいいことばかりではなく、好きなものなんて誰にでもあるわけではないのに、好きを仕事にできなかった人は自分探しの旅に出ちゃうし、好きを仕事にした人は貧乏だ。

しかし、そもそもバブルのほうが異常なので、そんなのと比べたってしょうがない。
ただバブルを経験してないとかそれだけのことで、これからアラフォーになってもアラフィフになっても、ずっとこのまま元気ないと言われ続けることになるのかなわたしたちは?
…っていうか、ほんとに元気ないのかな?

たしかに地味は地味だけど、地味なのと元気ないのは違うことだと思う。
たとえば、お金をかけなくても身近なところで面白いものを見つけて、生活を楽しくする力を持った人には、同世代的な共感をおぼえる。
ちょっと貧乏臭かったり、屈折していたりもするけれど、それなりに美意識だってあるし、面白いものは面白い。

大きなムーブメントを起こす力はないかもしれないが、そういう役割も大切だ。
それは日本が経済的に豊かになったあとに求められていた能力だとも思うし、団塊ジュニアとして、団地で鍵っ子として育てられたころから、働き蜂の親の世代を補うために養われた能力なのかも知れない。

だとすれば、バブル以前の話ということになる。世に出るのが遅れたのは、もう過ぎてしまったことなので仕方ないけど、自力で世に出たならば、その過程で得たものがないはずもないし、まだまだこれから、力を発揮していける場面はあると、わたしは希望を持っているのだけどな。