諏訪大社

昨夜は雨だったがきれいに晴れた。
諏訪大社に行ってみようとコミュニティバスに乗ると、隣に座っていたおばあさん(元学校の先生)が話しかけてきて、湖のことや町のことをいろいろ教えてくれた。今年はとても暖かく、おかげで紅葉がまだ残っているのだそうだ。
偶然出会った人とおしゃべりするのが、一人旅のいちばんの醍醐味だ。
おばあさんが降りた後、どこで降りればいいのかバスの運転手さんに聞いてみた。
よく知らなかったんだけど、諏訪大社は上諏訪に2箇所、下諏訪に2箇所もあるんだそうで、このコミュニティバスで行けるのは「上社本宮」。少し離れたところにある「上社前宮」に行くには、本宮から少し歩かなくてはいけない。せっかくなら両方行きたいと言うと、効率のいい歩き方や帰りのバスの時間まで、丁寧に教えてくれた。

本宮の前でバスを降り、まず前宮へ歩く。ちょっと離れているけど場所はわかりやすかった。とても素朴なところで、お宮への坂の両脇には畑や民家が点在していて、どこまでが神社の敷地なのかよくわからない感じだった。
お宮はなんとも言えない清らかな雰囲気で、売店などもなく、今にも自然に還ってしまいそうな不思議な場所だった。パワースポットってほんとにあるんだなと思った。建物のまわりには御柱が立てられていて、その間をちょろちょろと湧水が流れていた。裏山に小さな社があったが、その周りにも小さな柱が立てられていた。

遊歩道を歩いていくと住宅地に出た。信州の秋の風景は、原田泰治の世界そのものだった。写真だと見づらいけど、柿の木には真っ赤な実がなっていた。

本宮は前宮より豪華で見所が多い凝った建物だった。短い参道があって、道端にいくつかお土産屋さんもあり、少し人間的な感じがした。お腹が空いて、お焼きの蒸したのを二つ買って食べた(焼いたもののほうが好きだけど、蒸したのも悪くない)。

バス停に戻り、居合わせた観光客の夫婦とバスのルートについて話していると、またコミュニティバスがきた。
なんと、今朝と同じ運転手さんだった。市民が利用するバスなので、さっきはふつうに運転していたのだけど、今度は観光客が多めということで、なんとなんと、街の見所をいろいろガイドしてくれた(もしかしたら元バスガイドさんなのだろうか?)。八ヶ岳の山の名前、富士山とアルプスが同時に見えるスポット、御柱祭のことなどなど。。。おかげさまでとても楽しい時間を過ごせた。
上諏訪駅前のホームには足湯があった。たくさん歩いて足がパンパンだったので最高に気持ち良かった。

一駅戻って下諏訪に着くと、まずレンタサイクル(電動でよかった!)を借りて、「下社秋宮」に向かった。上社には無かった、極太のしめ縄に目を奪われた。前の横浜トリエンナーレで見た、超巨大なしめ縄風の作品を思い出した。
そこから「下社春宮」に向かう途中に立ち寄った「慈雲寺」も素敵だった。木々と、ふかふかの苔で、緑一色のしっとりした空間だった。

秋宮と春宮は似ている気がした。春宮の近くにある「万治の石仏」は、なんともいえない不思議な雰囲気があり、見ることができて良かった。

それから御柱祭の資料館「おんばしら館 よいさ」にあまり期待せずにふらりと入った。御柱祭は亡くなる方も出るというし、怖いイメージがあったんだけど、係の方が熱心に説明してくれたおかげで、いつか本物を見てみたいと思った。
 
ひととおり見終わるともう夕方で、平日のせいかすでに店じまいしているところが多く、食事できそうな店は見つけられなかった。お土産屋さんは営業していたけど、ザ・観光地の土産という感じの物ばかりでピンとこなかった(こじゃれたものは松本で買うべきだった)。いろんな蔵の日本酒の利き酒セットとか欲しかったが、そういうのはなかった(ホテルの売店とかにならあったのかなあ)。
仕方ないのでスーパーでお蕎麦や野沢菜やカップ酒などを買い込んだ。テルコさんちの近くのスーパーには、いかにも信州らしい美味しそうなものがいろいろ売ってたんだけど、ここのスーパーは小さくて品揃えが少なかった。たぶん大きなスーパーは駅の近くじゃなくて車でしか行けないような場所にあるんだろう。
自転車を返して駅に戻り、キヨスクで日本酒の小瓶を買ったら、おツマミもどうですかとすすめられた。いや電車で飲むんじゃなくて、お土産用なんだけどなー。。。
 
下諏訪からは高速バスもあったけど、中央線の各駅停車で帰ることにした。最初のうちたくさん乗っていた人がだんだん減っていき、貸切状態になったのを見計らって、買っておいた長野名物・牛乳パンを食べた。その後またお客さんが増えたので絶妙なタイミングだった。
真っ暗の中、知らない駅ばかりの知らない電車にぽつんとひとりで乗っているのはなんとなく楽しい。
大月で乗り換えると、そこから先はふつうの中央線になってしまい、旅行気分はおしまいになった。