階段の恐怖

わたしは、駅の下りの階段がとても苦手で、階段を降りるとき(たいてい急いでいる)にちょっとでも小走りになると、「足がもつれてコケてごろごろ転がり落ちるわたし」の絵がまぶたに浮かぶ。

なんでこんな絵が浮かぶかというと、要するに何度もコケたことがあるからである(しかもけっこう派手に)。

わたしはもともと何もないところでもつまずいて転ぶたちなのだが、なかなか学習せず、何度も何度も同じことをくり返すので、ついに、うっかり自分の運動神経を忘れて走ろうとするたびに、まるで警告するかのように、おそろしい絵が頭をよぎるようになったのだ。

しかしその絵をふりはらうべく、マンガみたいに頭をぶんぶん振るからよけいに危ない気もする。