友人Kはここ数日間に「的確に、具体的に褒めることはダメだしよりずっと有効である」ということを身にしみて覚えたらしい。けなすより褒めるほうがお互いに気持ちいいし、苦手をつぶすより得意なことを伸ばしたほうがいいと、得々と語っていた。
なるほど。たしかに、一回目に見たときより二回目のほうが、わたしのコンディションや千秋楽だったことやサービスのアドリブを差し引いても、会話にあったかさがあったし、舞台が生き生きと動いていた。
やるからにはトップスターにならなきゃならないとも言っていた。いつの間にそんなに強気になったんだまったく。
じゃあさ、わたしの絵のどこが長所なのか教えてよ、と聞いてみたら、「密度」があることだという。みっちり描き込んだ部分も、一見余白に見える部分も含めて、工芸的な重量感があると。
まあそうだよなー。だけど、重いのは欠点かと思ってた。いっぱい描き込むと、時間がかかるし、はっきり言ってもうからない。でもようするに、そこを手抜きしちゃダメってことだな。
手抜きとかじゃなく、軽くさらさらっと描ける人はおしゃれでかっこいいと思うけど、それはわたしのやるべきことではないということだ。
たしかに、小説とかの挿絵を描いていても、内容の好き嫌いにかかわらず、空気に重さとか湿気のある話のほうが、やりやすいもの。
そっかあ…、だから怪談話とか合ってるのかもなあ。もっとくどいやつ描いてみようかな。