川越半日観光

きょうは、大学時代の友人Sちゃんと、川越に遊びに行った。
Sちゃんが、車出すよ~と言ってくれたので、のこのこと待ち合わせ場所に行ったら、いきなりベンツだし。それもツーシーターの、趣味的なやつ(笑)。
なんで川越かというと、川越市立美術館というところで、川越出身の挿絵画家、小村雪岱の展示があったので、日本画の心得のあるSちゃんを誘って見に行くことにしたのだった。

わたしは卒論のテーマにも小村雪岱をとりあげたし、今住んでる部屋も、雪岱の菩提寺が近いからという理由で決めた。

戦前の挿絵の原画はほとんど散逸しているし、今回展示されてた作品も多くはなかった。
それもほとんどは下描きだけだったけど、たぶん最も有名な作品のひとつ、「お伝地獄」の、真っ黒の波の間に女の足が見えている挿絵の原画があって、感激。
ものすごく細い面相筆の線と、墨ベタを塗りつぶした手の跡が鮮やかに残っている。
新聞小説の小さな挿絵のために、4倍くらいの大きさで描いているのだけど、あの繊細な線をつぶさずに再現していたのだから、当時の印刷技術もけっこうスゴイ。

ふだんはミュージアムグッズには全く興味ないのだけど、雪岱の、泉鏡花「日本橋」の装幀画を図案化したハンカチは買わずにいられなかった。
日本橋の装幀はホント素敵で、学生の頃、大学図書館に復刻版が置いてあって、禁帯出だったので、しょっちゅう書庫に入っては眺めていた(なんちゅう青春だ)。

あと今回は展示されてなかったが、やはり泉鏡花の「春昼後刻」の装幀も大好きで、国立国会図書館で見たんだけど、夢みたいにきれいだったなあ…。
少部数の木版による、雲母刷り+空刷り(エンボス)の、超豪華な、宝物としての本。
安くみんなの手に入るのも大切だけど、本が宝物だってことも忘れちゃいけないなと思う。

それから川越の蔵造りの町並みを見物。古くて重厚な瓦の屋根屋根はなかなか素敵。たぶん最近のことだと思うが、観光地化が進んでるらしく、けっこうな賑わいぶり。

いま、人力車が出てくる小説の挿絵も描いてるのだけど、あちこちにいる人力車のお兄さんたちは客引きに一生懸命でちょっと怖かったので、古い人力車が飾ってあるのをみつけて、車輪の金具とか細部を写真に収めた。

人気があるという鰻屋さんでお昼をいただき、名物のさつま芋のお菓子を買い、徳川家ゆかりの(川越は江戸から日光に向かう途中にあるので)喜多院を見学。
中庭の縁側でひなたぼっこ。梅がきれいに咲いていた。桜の季節はさぞかし。

杉浦日向子さんが、雪岱の絵は何度も線をなぞって描いてるようで粋ではない、江戸的ではないというような内容のことをどこかで書かれていた。
それはたしかにその通りで、粋というのとは違うしっとりしたところが魅力なのだが、「小江戸」川越の町並みをみると、ああ、雪岱は川越の人なんだなあと納得できる。

夕方には東京に戻り、銀座で降ろしてもらって、ザ・チョイス大賞展(伊東屋ギャラリー)を見物。今年は作品ファイルも置いてあった。
わたしが入選した頃なんて、ファイルにまとめられるほど作品持ってなかったなあ。伊東屋のメルシー券が2千円分以上たまっていて、何か買いたいが欲しい物がない。
ZARAで春物のワンピースを買って帰宅。