芸大+五美大・卒展見物記

きょうはまず東京都美術館で、芸大と、武蔵美の大学院の卒展を見た。
それから国立新美術館に移動して、東京五美術大学連合卒業・修了制作展を見た。(東京五美術大学というのは女子美・東京造形大・日芸・武蔵美・多摩美だそうな)

美大生の卒業制作になんでそんなに時間がかかるのかずっと不思議だったのと、先日、銀座芸術研究所の森下さんから、美大の卒展はとてもレベルが高い、なのにほとんどの人は就職したりして美術家にはならない、とくに上手い人に限ってみんなやめてしまうのだ、という話を聞いたので、いったいどんなものなのかと思って見に行ってみた。

こうして見ると、、、芸大生って、ずばぬけて上手いんだねえ~。
他の美大に比べてばらつきがないというか、なんだこりゃ、というのがいない。すごく気合いが入ってて、これなら時間かかるのもわかるわ…と思った。

五美術大学のほうは、すごい人はほんとにすごいのだけど、アイデアに技術が追いつかない残念な作品も多く、中にはちょっと気の抜けたのもあった。
でもまだ22歳とかそこらだもんね…。あれだけ大きなものを作るだけでも大変なのだ。
学風の違いもなんとなくわかった気がして面白かった。すごい作品数で疲れたけど。
油絵のでっかいのがドコドコ並んでるので油の匂いにやられて気持ち悪くなった。

こんな上手い人たちが大勢、毎年毎年輩出されているのか。。。少子化だってのに~
これがみんな絵描きになったらわたしなんかもうホトホト困ってしまうがそうはならない。
早熟だなあと思うけど、22歳くらいの時にしか描けないものもあるだろう。このままやっていくと変に熟練してつまんなくなってしまう人もいるだろう。

それに、一生で一つ作品を作れたら幸せなのかもしれないなー、とも思う。
その一つが卒業制作だって人もいるだろう。
一生で一回きりだと思うからこそできた無茶もあるだろうし、これでやりきってしまったという人もいるだろう。それはそれで素晴らしいことだ。
満足してやめてしまったとしても、そのとき作品に込めた気持ちの切実さは変わらない。

ずるずる引きずっていく業と、すっぱり昇華された業と、どっちが重いかはわからない。
続ける気持ちが無くなってしまったらいくら技術があっても仕方ないし、続けていくことこそが、才能ってやつなのかもな、、、とは思うが、引きずり続けていることを偉いことだなんて勘違いしちゃいけない。
上手い人ってのは、えてして絵以外のことも上手かったりするし、描かないですむならそのほうがいいし、まともな道に進めるならそのほうがいい。
そして、絵しか描けないダメ人間(笑)ばかりがずるずると残って行く、と。

一度はやめても、何年もたってから、美術の道に戻ってくる人もいるんだろう。

わたしがもし美大に行ってたら、上手い人に囲まれて自信なくして、たぶん今ごろ絵描きにはなってないと思うし、人生ってどう転ぶかわからない。

だいたい大学ってのは勉強するとこであって、職業訓練するとこじゃない。わたしの行ったのは普通の大学だったけど、覚えたことは今も役に立ってる。

だから今日の美大生たちがこれからどの道にすすんでも、勉強したことは、きっと、無駄にならない。。。このポリリズム。。。笑

だけどまた就職難だからこのまま美術やってっちゃう人が多かったりして?

と、絵のことばかり書いたけど、造形も面白かった。
こんないろんな材料を使いこなせるのにやめちゃうなんてもったいない、そのノウハウをわたしにおくれ~、と本気で思う人もたくさんいた。
いや、もったいないとか言いっこなしなんだけどね。。。