『オルゴォル』オブジェと挿絵

去年新聞で挿絵を連載させていただいた、朱川湊人さんの小説『オルゴォル』の、単行本がこの秋(発売日は未定)に講談社さんから出版されます。

それで、その装幀に、主人公の等身大オブジェの写真を使うことになって、5月ころに制作して、撮影がどうこうと大騒ぎしていたのはそれなんですが、まだ秘密なのかなと思ってたら、編集者さんにブログで紹介していいと言われました。

それで、ホームページに、オブジェの制作過程の写真をスライドショーにしたものと、新聞連載時の挿絵のスライドショーをアップしてみました。

挿絵は全部で246回ぶんもあって、最初のころと最後では絵がけっこう違ってるし、連載中は〆切ギリギリで慌てて描いているので、やっぱり手直しする必要があって、一気には公開できないので、今回は第1回から第30回までだけ。
続きはまた追々アップしていきたいと思います。まあ単行本が出るころまでには。
小説読まないで絵だけ見てもねー、って感じもしますが、、、これはこれでけっこう面白いんじゃないかなあ。良かったら見てみてください。

撮影のため京都に行っていた『オルゴォル』の主人公・ハヤトの等身大オブジェは、今月の始めころに自宅に戻ってきたんだけど、京都から講談社への輸送中に事故にあい、なんと、足首のところがポッキリ折れて、手の指のところも潰れた状態になっていた。
まるで古代遺跡から発掘された、ミロのヴィーナスか、サモトラケのニケみたい。
今回、二足で直立する形に作るのが難しくて苦労したところで、足首は糊で貼りあわせたので弱いっちゃ弱かったけど、表面は樹脂でコーティングしてた。
糊付け面が剥がれただけじゃなくてスチロールの組織ごと割れてしまっていたし、使用した発泡スチロールは、ソファの材料に使われるほどのしっかりしたもので、ちょっとやそっとの力がかかっただけではあんな潰れ方をするわけがないので驚いた。
それは、一度作ったものは、いつか壊れる可能性はあるのだけれど。。。

作ってからひと月以上たち、もう過去のものという気分でいたので、電話で話を聞いたときも、実物を見たときも、わたしはわりと冷静で、怒るとか悲しむとかいった感情はおこらなかった。ただやりきれず、空しかった。
でも編集者さんがすごく怒ってくれて、「講談社の戦う部署」の方たちが、わたしの代わりに運送屋と戦ってくれるんだそうな。
講談社の戦いのプロ。。。味方にするにはたいへん心強い。
法律とかわからないのでありがたいけど、同時に個人事業主の無力さも感じた。

オブジェ自体は、足がないので床に転がして置いておくしかなくて、すごくジャマ。なのでなるべく早めに修理しようと思ってます。ちゃんと直立するといいんだけど。
秋に単行本が発売されたら、朱川さんのサイン会とかで、このオブジェも、もしかしたらみなさまとお会いする機会があるかもしれないので、そのときはどうぞよろしくお願いします。