月別アーカイブ: 2017年10月

千人仏ワークショップ

横浜のブランクラスで行われた三杉レンジ先生のワークショップ「千人仏プロジェクト〈主演・助演・裏方/映画的システムでの絵画制作〉」に参加してきました。
三杉さんは美術教師の経験などを生かした知的な作品が特徴の作家さんで、アートラボでも展示されています。311後には、5年にわたり被災者の方々に絵画指導をしてコミュニケーションをとりながら、1000枚の仏像の絵を描いてもらう「千人仏プロジェクト」を主導されました。

震災後、たくさんのアーティストが我先にと被災地に行ってボランティアをやったり制作をしたりチャリティ展示をしたりしていました。アーティストの役割は「現代」を見つめることなので、たしかにあの災害は取り組むべき大きなテーマです。でもわたしは正直いってそういう動きには懐疑的でした。誰かの役に立って自分の存在意義を確かめたい、さらにアートは誰かの役に立つのだと思いたいという気持ちはよくわかるけど、自分の無力さを認めることも必要なのではないかと思ったからです。
でも同時に、行動できる人はすごいなあという気持ちもあって、三杉さんが試行錯誤しながらたくさんの人とつながっていったお話はとても興味深かったです。行政などの大きな組織から始まった動きではなく、草の根からの活動でこれだけのことができるのだと。

千人仏は被災者のためのプロジェクトなので、今回のワークショップでは某アーティストの顔をみんなで描きました。わたしは美術の実技教育をほぼ受けていないので、木炭で絵を描いたのは初めてでしたが、どうも邪念が多いのか、なかなか被災者の方々の絵のような素朴な味わいは出せません。。。
ブランクラスで用意してくださったおいしいごはんをいただきながらのおしゃべりも面白かったです。

黄金町バザール2017

2日連続で横浜に来た。
夕方から井土ケ谷にあるブランクラスに行くのと、横浜トリエンナーレとの共通チケットで見られる黄金町バザール(昨日は回りきれなかった)を見るのが目的。

元々はいわゆる私娼街、いまやアートの街、黄金町。このエリアは気になってはいたんだけど、いままで来たことがなかった。
地図で見ると関内とか桜木町から遠くないし、散歩するのもいいかなと思ったけど、きょうは天気があまり良くなく、ポツリポツリと雨が降っているし、時間もあまりなかったので京急で日ノ出町まで行った。
そこから黄金町駅までの間に、高架下を利用した展示スペースや、いかにも手作りっぽい雰囲気の超狭いギャラリー(これがいわゆる「ちょんの間」の再利用なのかなー)があちこちに点在している。地図を見ながら歩くのはなかなか面倒くさい、けど楽しい。
天気のせいなのか、人影はまばらで、ひっそりしていた。自力で展示をみつけなくてはならなかったので、たぶんいくつかは見落としたと思う。
古い物件をいかにもアートっぽくリノベーションしてみましたよオシャレでしょ的な建築は鼻につくこともあるけど、うら寂しい街の雰囲気のせいなのか、手作り感のせいなのか、そんなにイヤな感じはしなかった。

いろんなジャンルの作品があったけど、写真作品が目についた(写真にはあまり詳しくないけど)。
とくに、宇佐美雅浩の、風景の中にたくさんの人間や小道具を配置して撮影した写真は、緻密な構成がまるで絵画のようで、とても面白かった。
菅実花の、妊婦すがたのラブドールの写真は見てみたいと思っていた。
イ・セヒョン(韓国)の、風景の中で岩がパカッと割れている写真も印象に残った。

ヨコハマトリエンナーレ2017 島と星座とガラパゴス

Ráykaさんと待ち合わせて横浜トリエンナーレを見に行った。
久しぶりの横浜。とてもいい天気で、キリッと涼しい空気が気持ち良かった。

日本があまりにも世界から隔絶されているなあというのはここ数年本当に痛感している。でもガラパゴスという言葉の解釈はけしてネガティブなものだけではない。

夜までかけて横浜美術館、赤レンガ倉庫、BankART、横浜市開港記念会館と回って、思ったのは、欧米の作家と違い、アジアの作家の作品は、小難しい理屈抜きでスッと腑に落ちるような感じがあるということと、上の世代よりもやっぱり同世代か若手の作品が好きだなあということ。ポップな明るさがあるのがいい。
若手のほうに共感できる感覚を持ち続けていられることは嬉しいことだ。

とくに好きだったのは、
ジョコ・アヴィアント(インドネシア)の竹で巨大なしめ縄を編み上げた作品、
プラバワティ・メッパイル(インド)の絵画の表面や空間に銅線を張った作品、
川久保ジョイの壁の塗装の層を削って模様を浮き立たせた作品、
クリスチャン・ヤンコフスキー(ドイツ)の、重量挙げの選手がでかい銅像を持ち上げる様子を撮影した作品、
照沼敦朗の絵画と映像を組み合わせた作品、
丸山純子のスーパーのポリ袋で作った造花を部屋一面に咲かせた作品
など。

もうすぐ閉鎖になってしまうBankARTの裏側のテラスで、夜の海を眺めながらお茶したのも気分がよかった。
そこらへん歩いてるだけでなんとなく楽しい、横浜という場所の力があってこそのイベントなんだろうなあと思った。

夕飯はもちろん横浜中華街。Ráykaさんおすすめの水餃子のお店「山東」へ。
タレがちょっと変わっていて、安くて美味しくて幸せだった。かなりボリュームがあって、すぐにお腹いっぱいになってしまったのは残念だけど。。。こういう裏通りのお店は、誰かに教えてもらわないとなかなか入りづらいから嬉しい。
わたしが好きな「青葉」(中華粥が絶品)は、あったはずの場所に店がなかった。あとで調べたら閉店してしまったらしい。でも支店があるはずなので今度はそちらに行きたいな。
中華街に行ったら必ず寄る「菜香」で、大好物の菊花パイとイチジクパイを買い込んだ。ここの菊花パイは餡にナツメを使っているのが特徴。これさえあれば、これからしばらくの間幸せが続くのだ。

7月にスマホに替えたら万歩計アプリがついてたので、最近はマメに歩数をチェックしている。きょうは25,398歩で、これまでの最高記録だった。

スナックGINZA展

ちょっと変わったグループ展「スナックGINZA展」(ミーツギャラリー)に遊びに行った。
アートラボ仲間のヨシナリミチコさんがママ役で着物姿で場を取り仕切り、20代の女性作家たちが綺麗にドレスアップしてお客さんをおもてなし。と言ってもあくまで展覧会なので、壁にはもちろん絵の展示。絵はママのほか、あおいうにさん、あめのいちさん、牧田恵実さん、やましたあつこさん。
きょう出勤していた女の子はパフォーマーの渋澤怜さん、端木えいしさん。

ふつうの展示のときでさえ、パーティのときに、タダでお酒を飲んだり女性と話ができるという理由でやってくるセクハラ勘違いおやじがけっこういる。ギャラリーも警戒しているし、みんな本当に嫌がっているんだけど対処が難しい。
この展示はそういうのも逆手に取ったパフォーマンスなんだけど、変な奴がまぎれこまないように、あらかじめ予約して入場料を払わないと入れない仕組みになっていた。

昨日が初日でまだバタバタしていたので、ロックアイスやら何やらの買い出しを手伝った。
外は雨で、着物やドレスの人たちに買い物に行かせるわけにもいかなかったし。

わたしはスナックというのは何なのかいまいちわからない。1、2度行ったことがあるような気もするけど気のせいかもしれない(キャバクラとかとの違いも知らない)。ぼんやりと、おつまみにキスチョコが出てきたようなイメージだけあったので、手みやげにキスチョコを持っていった。
キスチョコっていざ探すとみつからず、2、3軒店を回った(何やってんだか)。ほんとはギザギザのキスチョコのイメージだったんだけど、スライム型のものしかみつけられなかった。でもまあおつまみが足りてなかったので結果役に立って良かったかな。

鈴木春信展

千葉市美術館でやっている鈴木春信展を見に行った。
母が浮世絵が好きなようなので誘ったら、父もついてきた。さほど美術に興味があるとは思っていなかったので、無理してるのかな?と思ったけど、母と一緒にテレビの美術番組を見たりしていろいろ勉強しているようだ。
(現代美術にも興味をもってくれたらいいんだけどなあ。)

今回はボストン美術館の所蔵品を中心とした展示。
毎度のことながら千葉市美術館の展示は出展作品数が多く、超マニアックで説明書きが長い。浮世絵の展示は、絵が小さくて細かいから近寄ってじっくり見ないといけないし、とくに絵暦のコーナーなどは、絵の中に隠れている文字を読もうとみんなが目を凝らすので、なかなか列が進まず、ちょっとストレスがたまった。でも、もし同じ展示を東京でやったら、ものすごい人数が押し寄せてこの程度の列ではすまないんだろうな。

春信の絵はもちろん良かったけど、同時開催されていた、春信と同時代の画家の作品の展示がとても面白かった。円山応挙のふすま絵も良かったし、若冲のモノトーンで描かれた絵巻がすごく素敵で見入ってしまった。
両親は最後のほうは疲れてしまったようだけど、無理もない。とにかくボリュームがすごすぎた。

池田学展

先日、個展に来てくださったお客様に招待券をいただいたので、日本橋高島屋でやっていた池田学展を最終日に駆け込みで見に行った。
すでに見に行った知り合いがfacebookで紹介していたり、ずいぶん評判が良いようだった。
会場の手前にものすごい行列ができていて、チケットを持っているのに、チケットを買う人と同じ列に並ばされた。えっなんなの???と思っていたが、入り口まで行って理由がわかった。会場の中のほうが、外よりさらに混んでいて、チケットを持ってても、どっちみち中に入れないのだった。
中が狭い上に、ペン画なので非常に絵が細かく、近くに寄らないと見えないので、なかなか列が動かない。無理矢理入っていくしかなかった。
こういう絵が一般にウケるんだなあ。たしかにすごいとは思う。だけど人多すぎでしょう。。。
絵の具と筆じゃあ、ここまで細かい絵は描けない。ペンとインクだからこそ描ける。ふつうのカラーインクは退色が激しくて展示用の作品には使えないのだが、退色しにくいアクリル顔料のインクがあるのだそうだ。この画材あってこその作品なんだなあ。