日別アーカイブ: 2020-10-16

性差(ジェンダー)の日本史展

佐倉の歴史民俗博物館の企画展「性差の日本史」を見に行った。
埴輪の並び方から当時のジェンダーの情報を読み取ることができるのには驚いた。そういう目でいろんな資料を見ると、気が付かなかったことがどんどん見えてくる。
資料も多かったけどそれ以上に説明文の内容が濃くて、時間が足りず読みきれなかったのが残念。

古代には女性の王や官僚も当たり前だった一方、売春は職業としては成立していなかった。しかし、時代が進んで文明が発達していくにつれ、逆に女性の社会的地位は徐々に下がっていく。
ひらがなが女の文字とされていたり、御簾で顔を隠したりしていた平安時代はもっと抑圧されていたイメージだったが、女房という役職は女性官僚だと書いてあった。そうか紫式部も清少納言も官僚だったのか。江戸時代には家と政治が結びついていたから大奥の女性も政治活動をしていた。しかし明治以降はほぼ排除されてしまう。
でも明治ってたかだか150年くらい前のことなので、明治以降のほうが異常なんだなということもわかる。

ジェンダーというのは時代によってこんなに変わるものなのだと思うと、そんな実体のないものに自分という人間の生き方が左右されるのは馬鹿らしくなる。

売買春についての資料もまとめられていた。国内でこんな非人道的なことしてたんだから、外国との戦争の時なんかもっとひどかったんだろうなと容易に類推できる。
戦争と売春には強い関係がある。でも戦争がなくても売春もレイプも無くならない。

今回の展示は日本史のみだったけど、仏教がインド〜中国朝鮮経由で伝来したり、明治政府が欧米を模倣した、その同時代の外国のジェンダー観も合わせて知りたいと思った。
たとえば仏教の、女は罪深いから成仏できないという考えは、どういう理由で始まったんだろう。

今までの歴史は「強い」男性中心に編まれてきたわけだけど、この展示は歴史の表に出てこなかった女性というジェンダー中心の視点からだった。歴史の影に隠れた「弱い」男性や、性的マイノリティ視点の歴史というのも知りたいと思った。