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東大門市場

個展は今日で終わり。作品を片付け、ギャラリーに預かっていただく作品を残して梱包し、一昨日買ったキャンバスと一緒にEMSで発送した。
そのあと副館長さんに梨花女子大学に連れて行っていただいた。
梨花女子大学の「梨花」の発音が中国語だと「お金が増える」という意味に聞こえるとかで、中国人観光客が多いんだそうだ。なんだそりゃ。

大学の建物は有名な建築家の作品でかっこよかった。大学のまわりにもわりとおしゃれなお店が集まっていて、タイ料理屋さんでランチした。日本で食べるタイ料理とくらべるとちょっと甘みが強かった。韓国風にアレンジされてるんだろうな。これはこれで美味しい。

近くにやたらときれいで広いギャラリーカフェがあって、そこでやっていた展示を見た。なんかアキバっぽい感じの絵が展示されてるなーと思ったら、韓国人の作家さんだった。


↑ギャラリーカフェの隣の小さな公園の片隅に、慰安婦像があるのを見つけた。

地下鉄の駅まで送ってもらって副館長さんと別れ、ひとりで東大門に向かった。
ザハ・ハディド設計のデザインプラザに行くと、申潤福と鄭敾という李氏朝鮮時代の画家の展覧会をしていた。
去年少し韓国の美術を勉強したときに申潤福の名前は覚えていた。当時の風俗をイラストレーション的に生き生きと描いた画家だ。鄭敾はごつごつと力強い山水画だった。
展示は絵の数が少なくて、絵を元に作られた映像がメインだった。それもまあ面白かったんだけど、絵のほうをもっとたくさん見たかったな。

それから、東大門市場へ。すっかり市場が好きになってしまったので。

こちらは南大門市場よりずっと広くて、どこまで行っても市場が続く。一つ一つの店も大きく、観光客向けというより、プロ向けという感じだった。

建物の1階に入っている帽子屋さんや洋服屋さんなどのお店だけでも大変な数だったけど、それより面白かったのは、その上のフロア。
生地屋さんや、洋服のタグ屋さんや、あらゆるアパレル材料の店が並ぶフロア。
もっと上の階は、一つ一つの小部屋が工場になっていて、ミシンが並び、大勢の職人さんが作業している。縫製だけでなく、Tシャツのプリントをしている店もある。ここで出来たものを下の階で売っているということなのだろうか。繁華街のど真ん中にこんな工場があるとは!


↑食べ物屋さんもあった。万国旗が可愛い


↑「ソルビン」でかき氷を食べてひと休み。
ふわっふわで、冷たさをあまり感じない。たぶん二人分の量なんだけど、ペロリと食べてしまった。


韓国滞在最後の晩ごはん。
サムギョプサルを作ってくださった。おーいしーい!!
お店で食べるものだと思ってたけど、お家でできるとは!


韓国風餃子とビール。
まくわ瓜、食べたことなかったけど美味しいくだものだった。
イカの味のスナック菓子も美味しくて食べだすと止まらない。
これが日本でも売ってたら買っちゃうな。

国立現代美術館・ソウル館

南大門市場があんまり楽しかったので、ひとりでもう一度行った。
迷子になるかと思ったけど、実際の広さはそんなでもないので、何回かぐるぐるまわるうちにだいたいの位置関係は把握した(たぶん)。

昨日は気がつかなかった、包装用品とか、画材店とか、クラフト用品店なんかも見つけた。生花売り場では花を寝かせて積み上げた状態で売っていた。
アクセサリー売り場には狭いブースがたくさん並び、お店の人たちがその場でパーツを組み合わせてせっせと商品を作っていた。仕事しながら出前を取って食事しているようで、そこらへんに食べ終わったお皿が置いてある。

あまりにも通路が狭いし、物が多すぎるし、そこでなにか物色しようとか、買おうとかいう気分にはならない(それほど安くもないし)。写真を撮っておけばよかったんだけど、すごく撮りづらい。でも、労働環境としてはむちゃくちゃだけど、熱気というか、パワーがほんとにすごいなと思った。
昨日のかぼちゃの針刺しを追加で5個と、おもちゃを2つ買った。

そのあと、景福宮の隣の国立現代美術館・ソウル館に行った。
映像の展示が二つ行われていて、ひとつは20世紀前半に韓国に生まれた4人の女性の歴史に翻弄された人生を再構成した作品、もうひとつはイラン・イラク戦争で息子を亡くした母親とベトナム戦争の被害者の女性を撮った作品。どちらも女性がテーマだ。
そういえば、国立現代美術館・果川館でも、メインの2つの展示はどちらも女性の作家だった。

韓国では#Me Too運動がかなり盛り上がっているようだし、女性のパワーが強いんだなあと思った(それは抑圧が大きい反動なのだろうか?)
副館長さんのお宅に行ったとき、なぜ日本では#Me Too運動が盛り上がらないのかと聞かれて、うまく答えられなかったのが気になっていた。

日本人だって、生まれてから一度もセクハラを受けたことがない人は少ないと思う(受けたことがないという人は、自分がセクハラをしている側かもしれないと考えたほうがいい)。
ちょっとした言葉だったり、行為だったり、習慣だったり。意識的だったり、無意識的だったり。子どものころから、嫌な目にあいながら、だんだんうまく受け流す方法を身につけていく。受け流すのに慣れても、傷つかなくなるわけではない。それはおばさんになっても続く。(セクハラをするのが男性とはかぎらないし、受けるのが若い女性であるとも限らない)

小さな嫌なことが日常にありふれすぎていて、誰を非難すればいいのかよくわからなくなっているのも、大きな運動になりにくい理由のひとつじゃないかと思うんだけど。。。

敵が誰なのかわからない、というのは他のいろんな問題でも言えることだと思う。敵がわからなければ、パワーのぶつけどころもわからない。
それが日本のアートに大きなムーブメントが起こりにくい理由でもあるのではないだろうか?


↑コムタン。イナジンさん一家と、Zeinxenoの近くのお店で夕食。

Zeinxenoで先週も行われていた現代アート講座が今週もあり、イナジンさんが受講しているあいだ、近くのカフェで、小学校1年生のお嬢さんとお絵描きしたり粘土遊びをしたりゲームをしたりしながら待っていた。1時間半くらいだったけど、楽しくてあっという間だった。今回の滞在中にだいぶ仲良しになれた気がする。

南大門市場

きょうは、副社長さんに、南大門市場に連れて行っていただいた。
南大門市場には2009年に行ったことがあったが、市場の間の道路を歩いただけ(写真の奥に写ってるのが南大門。2009年は南大門が火事で焼けた後だったので、修復された門を見るのは今回が初めて)。
一昨年は美術館めぐりで忙しかったし、今回は3度目の韓国だしお土産は必要ないなと思って、市場にはあまり興味がなかった。

でも今回は副館長さんが、建物の中に入って、おすすめのルートを案内してくださった。それで、道路脇の店じゃなくて、建物の中こそが面白いんだということを思い知った。

建物の中はフロアごとにインテリア、ファブリック、伝統工芸、おもちゃ、アクセサリー、洋服、食器などの小さな専門店がぎっしり集まっている。どの店も品物がごちゃごちゃとうずたかく積み上げられ、細い通路は迷路のよう。建物と建物の間は渡り廊下で繋がっている。案内なしで一人で入って行ったら迷ってしまうかもしれない。

あんまり楽しくてキョロキョロしまくり、写真を撮るのも忘れるほどだった(店員さんとの距離があまりにも近くて撮影しづらかったのもある)。とはいえ、べつに欲しいものはない(笑)ので、かぼちゃの形の針刺し(なんとなく、草間彌生のかぼちゃみたい)を1つ買っただけだったけど。

夕方、イナジンさんと待ち合わせて、大きな画材屋さんへ。今回の個展には、一昨年この店で買い込んだボックス形キャンバスをメインに使った。それが好評だったので、また同じのをまとめ買いした。


↑夕食のチャジャンミョン。日本のジャージャー麺とはちょっと違う。甘くて、麺がやわらかくトロトロした食感。

それから郊外にある大きなスーパーマーケットに連れて行ってもらった。
薬菓(菊の形のお菓子。なんか癖になる)、チヂミの粉(イナジンさんが使ってたのと同じの)、テチュ茶(ナツメのお茶)、サムジャン(甘辛いお味噌。お刺身やサムギョプサルにつける)、アートラボへのお土産用のお酒などを買った。自分で食べてみて気に入ったものばかり。パッケージさえ覚えておけば、たぶん日本でも買えそうだけど。

サムスン美術館Leeum

イナジンさんは4月にZeinxenoで個展をする(個展の直前なのに、わたしはこんなに長くお世話になっているのだ)。
今度の個展のための新作を見せていただいた。今まではほとんど白か黒のモノトーンだった、動物の赤ちゃんシリーズの背景は、可愛らしいタンポポ模様で、かなり雰囲気が変わった。春らしくてとても素敵(個展を見られないのが残念)。

一晩寝たらけっこう元気になったので、今日はイナジンさんと一緒にサムスン美術館Leeumに出かけることにした。

美術館に行く途中、アンティーク家具屋さんが立ち並ぶ通りを偶然見つけ、ちょっとのぞいたりもした(米軍基地があったせいで、アメリカから来た家具がたくさんある)。かなりお安くて驚いた。似たようなのを東京で探したら、桁ひとつ違っても不思議じゃない気がする。ただちょっとでかいけど。

サムスン美術館Leeumはその名の通り、サムスンの創業者一族のコレクション。建築もすごくかっこよかった。
企画展はやっておらず、韓国の陶磁器を集めた常設展と、世界の現代美術を集めた常設展を見た。
陶磁器ももちろん良かったが、現代美術は、要点をしっかり押さえているというか、有名どころのものはひと通りそろえているようで、とても良かった。

常設展のほかに、館内のあちこちにメディアアートや彫刻、インスタレーションが展示されていた。


↑鏡を使ったインスタレーション。

美術館を出たあと、イナジンさんと別れてZeinxenoに行くと、副館長さんと、以前副館長さんのお宅にホームステイしていたというタイ人のCAさん(すごい美人!)がおしゃべりしているところだった。

副館長さんが、ギャラリーのすぐ近くにある大統領官邸の見物に連れて行ってくださるというので、3人で連れ立って出かけた。


大統領官邸の向い側にある展示館では、大統領の椅子に座って記念撮影ができる。インスタ映えってやつかー。

そのあとまたひとりで景福宮周辺のギャラリーを回った。
展示の準備中はほとんど歩かない毎日だったが、こちらに来てからは毎日2万歩近く歩いている。


イナジンさんが作ってくれた夕ご飯。イカの和え物、辛くて美味。まだ食欲が回復せず、あまり食べられなくてもったいなかった…。

世界遺産めぐり

今日中にソウルに戻るため、午前中には仏国寺と石窟庵を回りたい。
朝9時頃チェックアウトしようと思ったら宿の人の姿が見えない。しばらく待ったが、仕方がないのでドアに鍵を差したまま出て行くことにした。
路線バスに乗り30分ほど、まずは仏国寺へ。


8世紀に建てられたこのお寺は、その後の時代の仏教弾圧で廃寺となり、近代になってから再建された。でも、この階段は、創建当時から残っているもの(国宝)。たしかに古い。


↑本殿。1765年に再建されたもの。中でお坊さんがお経をあげていた。


↑中庭にある、多宝塔。これも国宝。


↑回廊にはびっしりとピンクの提灯がぶら下げられていた。

駐車場に戻って、別のバスに乗り換え、さらに山奥にある石窟庵に向かった。
くねくねした山道で、運転も荒く、ぐらぐら振られてしんどかった。


↑仏国寺のものと同様に、わりと最近作られたっぽい山門。ちょっと景福宮と似た感じ。


↑急な崖ぞいの道を歩いて登って行く。ガードレールなどはない。


↑山肌には雪が残っていた。


↑建物の奥に隠れているのが石窟庵。


この建物は戦後に作られたもの。
中に入ると、奥のほうに白いご本尊(撮影禁止)が見えた。
でも、ガラス越しで、しかもかなり遠くて、いまいち感動しない。
(中尊寺金色堂と同じパターンだ)

わき水を飲んで一休み。美味しかったのでペットボトルいっぱいに汲んで、またバスに乗りこみ(今度はしっかりシートベルトを締めた)、仏国寺の前の駐車場まで戻った。

仏国寺の周辺は公園のようになっていて、よく手入れされて気持ちのいい場所だった。1週間後に来てたら桜が咲いてもっと素晴らしかっただろうなあ。
じつは昨晩から体調が悪く、朝から何も食べられなかったが、ベンチに腰かけて、ぼーっと日向ぼっこしながらカフェラテを飲んでいると、だいぶ元気になってきた。

またバスに乗って慶州中心部に戻り、銀行で両替をしてから、今度はまた別の路線バスに乗った。


↑こんな、まわりに何もなさそうな道路脇にぽつんと降り立った。ここから1キロくらい歩く。


↑歩道のわきに雑草だらけの無人駅があった。
この写真を撮ったすぐあとに、貨物列車が通過した(戦車を積んでいてびっくり)。


↑目的の「良洞村(ヤンドンマウル)」が見えてきた。これも世界遺産。
李氏朝鮮時代の両班の村。戦争のため、韓国には古い建物があまり残っていないので、とても貴重だそうだ。


↑この近くのベンチでまた日向ぼっこ。さっき汲んできた水を飲む。とてもくつろいで、気分が良くなった。


桃源郷のようだけど、作り物ではなく、今も人が住んで生活している。今回の慶州ツアーでは、ここが一番素晴らしいなと思った。
帰りのバスを待っていると、若い女性が4人やってきた。2人だけバスに乗り込み、残りの2人は見送りだった。ここにも若い人が住んでいるんだなあ。

また慶州中心部に戻り、手みやげに慶州名物のお饅頭みたいなのを買った。バス道路沿いに似たようなお饅頭屋さんがたくさん並んでいて、どの店のが美味しいのかさっぱりわからなかったけど、試しに1個買って食べてみたら美味しかったので、その店のを買った(日持ちしないので日本には持ち帰れなかった)。

帰りは、行きより安い高速バスに乗ったら、シートが4列で狭かった。でも乗客が少なかったので隣りの席も使えてこれはこれで良かった。
ソウルに着いたのは夜も遅い時間になってしまったが、バスターミナルまで、イナジンさんと仕事帰りのご主人が迎えに来てくださって、本当に本当にありがたかった。

慶州へ

今回は長めの滞在なので、ちょっと他の地方に足を伸ばしてみたかった。都会しか知らないので、田舎の様子も知りたい。
みなさんに相談した結果、慶州(キョンジュ)に行くことになった。慶州は新羅時代(前57〜935)の古都で、世界遺産にもなっている仏国寺(プルグクサ)や石窟庵(ソックラム)が有名。
もう一つ候補にあがったのは全州(チョンジュ)。ビビンバの本場だそうで、こちらも魅力的だったけど、今回は見送りとなった。


慶州は、ソウルから高速バスで南東に4時間ほど、釜山の少し手前あたりにある。
高速バスは片道2〜3000円くらい。ゆったりした座席で快適だった。


↑途中休憩したサービスエリアからの風景。
田舎の景色は一見日本と似てるけど、建物の屋根と、山々に散在するお墓の形(丸い丘のようになってる)が違う。お墓を撮影するのは気が引けて自粛。

慶州に着いたのは夕方4時頃。
街の第一印象は、なんか奈良っぽいな〜、という感じ。
奈良には20年以上前に一度行ったきりだけど、観光地っぽさと繁華街っぽさと田舎っぽさの配合が似てる気がする。

まずは街の中心部近くの歴史遺跡地区を散策することにした。韓国は日本と時差なしだけど、やはり西にあるので日没が遅く、この時間からでもじゅうぶん観光できる。
夜でもコートなしで大丈夫なほどの暖かさには驚いた。桜が咲いてるのも見かけた。


↑バスからみかけた小さなお墓の何百倍もあるような、こんな大きな古墳が、街のいたるところポコポコとある。古墳の内部を見学できる施設は、工事中で見られなかった。


↑瞻星台(チョムソンデ)。東洋最古の天文台だそう。


↑雁鴨池(写ってないけど)のほとりの東宮(王宮の別宮)跡地。
あまりにも古すぎて、復元されたこぎれいな建物と、ここに建物があったはずという区画があるのみ。奥州平泉を思い出してしまう。世界遺産てこういうパターンが多いのかな?


国立慶州博物館の展示はとてもよかった。閉館間際でゆっくり見る時間がなかったのが残念。土でできた小さな仏塔が可愛い!


↑半跏思惟像。まるでルーブル美術館のサモトラケのニケのよう。


遺跡群の近くに、古い韓屋をリノベーションしたおしゃれショップが密集しているエリアがあり、その中の一軒のゲストハウスに泊まった(入口はカフェになってる)。一泊5000円ほど。昨晩ネットで予約した。一昨年ソウルで泊まった韓屋ゲストハウスは古い建物そのまんまで、風情があるかわりに若干不便だったけど、ここは新しくて各部屋にトイレとシャワーがあって便利だった。たぶんこのあたりは最近になって再開発してるんだろう。遺跡も工事中の所が多かったし。

日没は遅いけど、田舎なのでまわりのレストランはけっこう早い時間に店じまいしてしまった。繁華街に行けば開いているお店もあったけど、慶州は食事はあんまり…、と聞いていたし、このところ毎日食べ過ぎなので、夕食は適当にカップラーメンで済ませた。

副社長さんのお宅にお招ばれ

Zeinxenoギャラリーの副社長さんのお宅にお招きいただき、仁川に行った帰りにみんなでお邪魔した。
どっしりと大きくて素敵なお宅。中庭にはご主人が日曜大工で作ったというベンチが置かれ、室内には絵のコレクションと一緒に、家族旅行の記念写真やお土産、お子さんたちの子供の頃の靴(額装されている)など、趣味良く飾られていた。あれだけいっぱい飾っても上品なのは、センスがいいからなんだろうなあ〜。

ご主人(国際線のパイロット)はちょうど出張中だった。
副社長さんはとても快活な方だけど、お嬢さんがフランスに留学し、最近になって大学生の息子さんが兵役に就いてからというもの、寂しくてかなり落ち込んでいる様子だった。ヒマでヒマでしかたがないのだそう。
でも、昔ラジオの脚本を書く仕事をしていたというだけあって話題がとても豊富で、楽しい夜を過ごさせていただいた。


たくさん手料理を振る舞ってくださった。チヂミ、プルコギ、チャプチェなど。とっても美味しかった!


わたしの作品(うちわ)と、イナジンさんの絵は、お嬢さんのお部屋に飾られていた。

イナジンさんたちが帰宅した後、わたしは一晩泊めていただくことになった。


翌朝、副社長さんが手作りのキンパ(のり巻き)を作って持たせてくださった。
海苔を巻いた後、表面にごま油をたっぷり塗って完成。カラフルで可愛い断面!

わたしは元々さほど話好きでもないうえに、お互い片言の英語で、話し相手としてはあんまり役に立てず申し訳ないなあと思ったけど、コレクターの方がどんなふうに生活にアートを取り入れているかを見ることができて、とても良かった。

仁川観光と驚愕のグルメ

今日はイナジンさん、ご主人、小学校に上がったばかりのお嬢さんと一緒に仁川(インチョン)に出かけた。ソウルから車で1時間くらいの海辺の大きな都市(仁川空港もある)。
日本で言えば横浜のような感じで、規模は小さいけれどチャイナタウンもあった。

チャイナタウンの隣は「松月洞童話村」というエリア。
家々の壁とか電柱をアニメや童話の絵(おそらく版権とか無視)でデコりまくってる。チープだし、けして可愛くはない。でもパワフル。


↑電柱に直接コンクリートを巻き付けて装飾してる。大丈夫なんだろうか?
たぶん許可とか取ってない。すげー。


↑旧日本租界もあった。チャイナタウンや松月洞童話村に比べるとちょっと地味。


↑仁川Art Platform。ギャラリー、スタジオなどのアート施設。
ちょっと赤レンガ倉庫みたいな雰囲気。


↑昼食は、魚介類がたくさん食べられるお店へ。まずは1段目


↑そして2段目、3段目と、あれよあれよという間に皿が積み上げられていく。
アワビや、名前がわからないいろんな貝類、海老、ケジャン、タコの踊り食い(最初吸盤が口の粘膜に吸い付いて痛い。でも美味しい)などなどなど、食べ放題。蚕のサナギもあった(試しに1個つまんでみたけど美味しくもまずくもなかった)。
このあとさらに大皿に盛られた白身魚のお刺身がきた。わさび醤油もあったけど、韓国風に味噌ダレやごま油で食べるのも良いもんだなと思った。

とは言え、当然こんなに食べきれるはずもない。韓国では料理は食べきれないほどたくさん出すのがおもてなし、という考え方らしいので、食べ残すのは悪いことではない。でも、締めの鍋料理はお持ち帰りにしてもらった。
他のテーブルもみんなこんな感じで部屋中お皿だらけだったので、最初に一歩店内に入った時は目を疑った。


↑お店の外観。派手!まわりもこんな感じのお店がずらり。
韓国は似たような店が一カ所に集中して並んでることが多い。


↑港の漁船を眺めたあと、日本ふうの小洒落たカフェへ。
ナツメのお茶をいただく(甘い)。


ガラスケース入りの日本人形とか飾られていて、昔のおばあちゃんの家みたいだった。

国立中央博物館

今日は、国立中央博物館へ。漢江の北岸にある広大な米軍基地の跡に作られた、新しくてとても大きな建物。
韓国の人たちは、家を建てるとき、一番景色がきれいに見える方角に窓を作るそうだ(日本だったら日当りの良い方角のはず)。この博物館もまた、ソウルタワーと南山の景色を額縁のように切り取っている。

土器のことは韓国語でも「どき」。
縄文土器とよく似た、櫛文土器(くしもんどき)。

1階は時代順に展示室が分かれていて、かなり見応えがあった。
(古朝鮮→扶餘・三韓→高句麗→百済・伽耶・新羅→統一新羅→渤海→高麗→朝鮮→大韓帝国)受験勉強を思い出す。


↑高麗青磁


↑金属活字

1階をあまりにもじっくりと見すぎて時間がなくなり、2階・3階は大急ぎで見た。
仏像、仏画がたくさん。
3階には韓国以外のアジア各国の展示もあった。


↑伏義女媧図。中央アジアの絵画(トルファン・アスタナ古墳)は初めて見た。


↑元時代、中国から京都に向かう途中、韓国沖で沈んだ貿易船の積み荷。海上シルクロード!

日本のセクションは、うーん、ちょっと物足りないかなあ(なので写真無し)。まあしょうがないけど。


↑締めくくりは、やはり壷。青磁、白磁など。とにかく壷がいっぱい。
白くて大きくて丸い壷は、満月のイメージらしい。

博物館を出ると、となりにハングル博物館というのもあった。日本語の説明はなかったのでよくわからなかったが、文字専門の博物館というコンセプトには驚いた。

今日はイナジンさんが自宅で開いている、子供向けのマンツーマンのアート教室の日だったので、急いで戻って見学させてもらった。
小学2年生の女の子。イナジンさん曰く「天才」。
学校にはなかなかうまくなじめない子らしいんだけど(絵描きにはありがちな話)、作品がとても面白い。いい先生に出会えて、この子はラッキーだなと思う。

(その後、この子がはじめて日本人に会った感想を綴った日記を読んでもらった。どうやら面白がってくれたようでわたしも嬉しい。可愛らしい絵まで贈ってもらった。)

韓国では子供の習い事として、アートはとても人気があるらしい。
そのほかの習い事や、学校の宿題もかなり多いようで、子供たちは大変だ。


↑夕食は宅配のチキンとビール。甘辛のソース(日本にはない味)が美味しい。それにイナジンさんがさばいた(!)ホヤとナマコのお刺身も。

さらに、イナジンさんと一緒に近所の銭湯へ。脱衣場もお風呂も広くて、お湯は少しぬるめ。
韓国の人たちは前を隠したりしないで堂々としているので始めはびびったが、考えてみれば、みんながそうならとくに恥ずかしくもない。洗い場では大胆なポーズでお互いにアカスリっこしてる人たちもいた。
奥のほうにプロのアカスリ師(?)さんのコーナーがあって、せっかくなので、専門の方(真っ赤なレースのパンツ一丁)にアカスリをしてもらった(2,000円くらい)。台の上に寝そべって、その後はされるがまま、人間の尊厳も失い、ただの肉のかたまりになったような気持ちで、ただただひたすらゴシゴシしてもらった。
アカスリは以前にも観光客向けのお店でやってもらったことがあるけど、やっぱりすごい体験だな〜あれは。

イナジンさんのご主人曰く、この銭湯の従業員に、北朝鮮から来た、いわゆる脱北者の人がいるのだそう(訛りでわかるらしい)。でも脱北者という言葉は、もう韓国国内では使われないのだとか。北から来た人がかなり多くなったので、彼らに気を使って、他の言葉に言い換えているのだそうだ。

国立現代美術館・果川館

今日は国立現代美術館・果川館に行った。
ソウル中心部からは少し離れているけど、湖や動物園もある広い公園のなかにあって、とても気持ちがいいところだった。
天気は良くなったけど、韓国は微細ホコリ(PM2.5)が深刻で、マスク必須。空の色も濁り気味。せっかく花粉がないのになー。


↑これはたぶん初台のオペラシティにあるのと同じものかなあ。


↑この草間彌生のかぼちゃは、もしかしたら一昨年にはZeinxenoの近所のギャラリーの庭にあったもの?


↑NYのグッゲンハイム美術館みたいならせん状のスロープと、ブラウン管の巨大な塔。

メインの二つの展示(撮影禁止)は、どちらも現代韓国の女性作家のものだった。
でもそれよりも、プリントメディアをテーマにしたグループ展「Layers and Spaces」が面白かった。


↑どっかで見たような笑


↑オブジェの表面に写真がコラージュされている作品。ツヤツヤの陶器のよう。


↑これもプリントなのかな?と思ったらカーボンペーパーを使ってるらしい(Noh sangho)。好き!


↑プリントした紙を組み合わせたインスタレーション(Kim Dong-ki)。好き!

このほか、いろんな国の国歌を韓国語で歌うという映像作品があって、韓国語で聴く「君が代」が思いのほか美しくてびっくりした。

そのあと、仁寺洞に移動していくつかギャラリーを回ったあと、Zeinxenoでちょうど開かれていた現代アート市場についての講座を見学させてもらった。言葉はわからないけど、かなりレベルの高い内容なのはわかった。

個展初日

今回は、なんとイナジンさんのお宅にホームステイさせていただけることになった。
あの、飛行機から見ていた高層アパートのうちの一つの中に入って、なんだか不思議な感じがした。
朝ご飯は韓国式のお餅。甘くてフカフカでとても美味しかった。


↑リビングにはイナジンさんのトレードマークとも言える作品が飾られていた。

個展初日は雪。これにはびっくり(でも今日は東京も雪らしい)。ダウンコートを持ってきて良かった。
バスと地下鉄を乗り継ぎ、ひとりでギャラリーへ。

さすがにお客さんは少なかったけど、ドイツから来たという女性(アジア系のルックスだけど韓国語はできないそう)と英語でおしゃべりできた。

社長さんは英語が嫌いなのでコミュニケーションが難しいのだけど、スマホの翻訳アプリを駆使してなんとか意思疎通できた。社長さんは建築の仕事もしているので、その作品の画像を見せていただいたのは面白かった。だけどこの方法はさすがに面倒くさいし、けっこう疲れる。

そうこうしているうちに、7月にアートラボトーキョーで個展をする予定のパクヒョンスさんが来られた。パクさんはアメリカ生活が長くて英語も堪能、スタジオを二つも持っているという人気アーティストだけど、とても気さくな方だった。
社長さんとパクさんと3人でギャラリー近くの参鶏湯屋さん(土俗村)へ。

参鶏湯は前回もいただいたけど、やっぱり美味しい、すごく美味しい。
あー大満足!と思ってたら、なんとすぐに2件目に行くという。えええ??

参鶏湯屋さんのすぐ向かいにあるお店に入った。
田舎風だけどこじゃれた感じのお店。最初はチヂミ屋さんなのかと思った。


↑わたし専用のマッコリ。この壷一杯ひとりで飲んでしまった!
(社長さんとパクさんはもっと強いお酒を飲んでた)


↑お刺身みたいに見えるのは、ドングリが材料の「トトリ」という食べ物。寒天かこんにゃくみたいな食感。好き。


↑この店の一番の名物はこの「スジェビ」だそう。
すいとん入りスープ。つるっとして美味しかった。

このあとさらにもう1軒、パクさんのお友達がやっているビアホールにも連れていっていただいた。パクさんと英語でお話ししているうちに、社長さんもつられて少し英語が出るようになって、楽しかった。

2回目の韓国個展、3回目のソウル

ギリギリまで描いていた絵を大急ぎで梱包して、朝9時成田発の飛行機に乗るため、5時すぎに部屋を出た。雨が降っていたのでタクシーを頼んだけど、断られたので仕方なく歩いて駅に向かった。

電車に乗ってしまえば乗り換えもなく、成田空港に着くとすかさずカートを拾って、手続きもスムーズに済ませることができた。海外旅行6回目にして、ようやくマゴマゴせずに行動できるようになった。(6回のうち3回がソウル行き。はじめてソウルに行った2009年にはまさか何度も行くことになるとは思ってなかった。)

飛行機は大の苦手だけど、乗ってしまえば外の景色を見るのが楽しみ。でも今回は雨だったので、日本上空はずっと雲、雲、雲だった。仕方ないのでウトウトしたり、スマホのSIMカードを入れ替えたりしていた(前回はまだガラケーユーザーだったので、空港でスマホをレンタルしたら、古い機種でかなり不便だった。今回は自分のスマホがあるので、Amazonで一番安いSIMを買ったら3000円くらいで済んだ)。

気がつけばあっという間にソウル上空で、眼下に特徴的な高層アパートがたくさん見えて、あ〜韓国に来たなあ、と思った。
仁川空港の手荷物受け取りコンベア(上の写真)が、ちょっと面白かった。

リムジンバスでソウル市内に向かい、景福宮駅で降りると、外は冬の寒さだった。
そこでイナジンさんと待ち合わせ、一緒にZeinxenoギャラリーへ。社長さん・副社長さんと1年半ぶりに再会できた。
前もってEMSで送ってあった作品と、手荷物で運んだ作品の梱包をほどき、さっそく社長さんにディスプレイしてもらった。

とにかく、どうにか形になってホッとした。
その後社長さんに豆腐料理のお店に連れて行っていただき、おいしい夕ご飯をごちそうになった。

レアンドロ・エルリッヒ展/ドラえもん展

森美術館のレアンドロ・エルリッヒ展と、森アーツセンターギャラリーのドラえもん展を見に行った。
チケット売り場で行列ができていてびっくりしたけど、どちらの展示も、ふだんは美術展なんて見ないんだろうな〜というタイプのお客さんが多かった。

とはいえ、エルリッヒの展示はとても大きな作品が中心だったので、ゆったりと見て回れた。
となりのマンションの窓の中をひとつひとつ覗くような作品、試着室の鏡の中に入り込む迷路のような作品、廃校の教室に自分たちの姿が幽霊のように映り込む作品、美容院の鏡の奥にもう一つの部屋があるパラレルワールドみたいな作品などなど、、、。
目の錯覚や、思い込みを計算して映像や物が配置され、リアルに体験できる、大掛かりなインスタレーション。インスタ映えしそうな作品ばかりで、なにも考えなくても、誰でも単純に楽しめる。
これも、人が絵の中に入りこむための、ひとつのやりかたなんだなあと思う。

ドラえもん展のほうは、誘導の係員が多くて自由に見られない感じがあった。子供連れもいたけど、ちょっと不気味な作品もあり、子供向きの展覧会ではなかったと思う。
アーティストはみんなそれぞれ自分の表現があり、それとドラえもんをうまく融合させるのはそもそも無理難題なので、出展作家がどう折り合うのかには興味があった。
わたしが一番好きだったのはクワクボリョウタさんの、日用品を使った影絵のインスタレーション。ドラえもんの世界をさりげなく取り込みつつも、嫌みがなく、知的で美しく、ため息がでた。
有名アーティストに混じり、アートラボからは坂本さんと近藤さんが出展されていた。
坂本さんの絵は、しずかちゃんがモチーフのせいか、いつものやや病的な感じとは違っていて、今まで見た中で一番良いと思った。会場のなかでも特に目立っていたし、作品のまわりには人だかりができていた(この人たちがアートラボにも来てくれればいいのに)。
このあとアジアを巡回展示するのだそう。坂本さんブレイクしそうだなあ!

バルーン・ドッグ

画材の買い出しで新宿の世界堂へ。
新宿三丁目のルイ・ヴィトンのショーウインドウは、ジェフ・クーンズのオブジェだった。道ばたで見れちゃうなんてお得すぎるんだけど、普通に街に溶け込んでいて、ほとんど誰も足を止めない。

アートラボのエース、坂本友由さんの個展(二部屋使い、W個展風の演出)は素晴らしかった。
女の子の鼻の頭の産毛まで描き込まれていて、いつまでも眺めていられる、超絶技巧。
坂本さんは、いま森美術館でやってる「ドラえもん展」にも錚々たるメンバーのひとりとして出展されている。ドラえもんか〜、、、あんまり興味なかったけど、やっぱ見に行くべきかなあ。

アーティストが、ヴィトンとかドラえもんとかとコラボするのは、もはや当たり前なんだな。

ディエゴ・リベラの時代

埼玉県立近代美術館の「ディエゴ・リベラの時代」展を見に行く。
リベラがヨーロッパでキュビスムとかを勉強してた時期の作品を見られたのは面白かった。肝心の壁画は映像での紹介のみで(壁画だからしかたないけど)ちょっと残念。
いつか本物を見てみたいもんだ。。。
同じ時代にメキシコに移住して制作していた日本人画家、北川民次の絵も良かった。
時間に余裕をもって行ったつもりだったのに、ゆっくり見すぎて、常設展は駆け足で見ることになってしまった。

それから表参道に移動し、神宮前ギャラリーの秋草愛さんの個展へ。ギャラリーで高校時代の友人(動物好き)と待ち合わせ、犬と猫のかわいい置物を眺めながら、のんびりさせていただいた。
それから外苑前周辺のギャラリーをいくつかまわり、千駄ヶ谷まで足をのばして新国立競技場の建築現場を眺めた。あんなでかいものをつくるなんて建築家ってすごいよなあ。

友人と解散してから、アートラボのジョミ・キムさんの展示にも立ち寄った。消臭剤で作られたジュエリー(展示期間中に縮んで行ってしまう)がとても儚く純粋だった。