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資料探しとブログ礼賛

きょうは世田谷線に乗って、世田谷区立の図書館を二館、はしごした。
世田谷線は電車も沿線の雰囲気も妙に可愛くて、乗るだけでわくわくする。
終点の三軒茶屋にある富士宮焼きそば屋さんを試したかったが、日曜は定休日らしいのであきらめた。
図書館まで歩く道は、古すぎてかっこよくなってる床屋さん、碁会所、渋いラーメン屋さん、なにやらアバンギャルドな店、素敵な喫茶店など、妙にしっくりなじんでいて、通りすがりに眺めるだけで楽しかった。

資料探しはたいていネットですませてしまうのだけど、(10年早くイラストレーターになってたらどうしてただろうかって思う)今回はかなりマニアックな時代考証が必要だったので、文献にあたるしかなく、でも目当ての本を区立図書館で所蔵していたのはラッキーだった。

わたしは、ブログには自分の食べたものの写真はほぼ載せない。
写真の善し悪しはよくわからないけど、自分の写真が下手なのはわかるから。
まえにフォトグラファーのあきさんとご飯食べに出かけた時に、いっしょに同じお料理を撮影してみたら、まあプロと比べちゃいかんのだが、ほんとに美味しそうさ加減が全然違って、こりゃあすごいわ~と思った。

でもわたしのような仕事をしてると、思いがけないものを描くことがよくあって、資料的には、プロの写真よりも素人の写真のほうが価値があったりする。
匿名の誰かが食べたものの羅列のブログって、あんまり面白くないことが多いし、面白くないことって一種の犯罪じゃないかとも思うのだけど、素人写真にたくさん写り込んでいるよけいなものが、じつはお宝の山なのだ。

たとえば小説の挿絵で、○○という実在の店でケーキを買って食べる場面を描く時、ケーキそのものの写真は公式サイトやなにかでわりと簡単にみつかるんだけど、その箱のサイズやリボンの色とかまではなかなかわからないので、どっかのOLが携帯で撮ったピンぼけ写真に箱が写りこんでるのを発見したりすると、もう、すべてのOLのブログはわたしのために書かれてるんじゃないかとさえ思う。

犬猫を描くときは、中途半端なポーズの写真が多い犬猫愛好家サイトも役に立つ。
あんまりフォトジェニックに決まってる写真は、かえって絵にはなりにくいので。
あと、すごく助かるのはバイク乗りの人たちのサイトで、彼らは山奥の秘境でしか食べられないグルメの食べ歩きをしてたりするし、総じて写真の枚数が多く、まわりの風景やら、よけいな情報も盛りだくさんだ。
でもねえ、バイクじゃなくても、どっか旅行とか行ったり、なんか食べたりしたら、すべての人に、すべての写真をネット上にあげてもらいたいものです。

それが楽しかろうがつまらなかろうが、美味しかろうがまずかろうが、遠出しなくても、通勤電車や、近所の公園や、自宅の庭とかの写真もぜひ欲しい。
文字がないと検索にあたらないから、簡単な文も添えて。そう、ブログにして。
○○という所に○年前に行ったら、こんな花が咲いてて、人々はこんな服装だった、っていうような、一見つまらないことが大きな意味を持つことだってあるから。

絵に描く時はかなりデフォルメするし、わたしの絵はリアルじゃないし、写真そのままには絶対になりようがないので、著作権的にはOKだと思う。
というか、むしろ、資料調べてるのをわかってもらえてなさそうだ。。。
それでもやっぱりちゃんと調べておかないと、自信もって描けないからねえ。

最近、イラストの人物の身体のフォルムをトレースしてたのが発覚したせいで、そのキャラクター商品が発売中止になっちゃったっていうニュースがあった。
わたしなんか「トレース」って発想自体がないから信じられないけど、アニメ系のイラストだとそういうことが起こるのかもねえ。

しかし、そういうことに、マニアの人ってほんと敏感だよな。。。
でも、アンリ・ルソーなんかも、写真の構図そのまま使っちゃったりしてたし、ヘンリー・ダーガーも、切り抜きの絵を何度もコピーしてコラージュしてた。
一枚の絵を構成するときに一番大事な肝は、細部の形ではないということだ。わたしには、再構成して別の作品になってたように見えたけどなあ。

アニメ絵は近いようで遠い世界なので、いろんな事情とかよくわかんないけど。
ただ商品だから、言いがかりつけられてクライアントの腰が引けてしまったのかな。
でもあれだけできるなら、トレースなんかしなくてもちゃんと描けそうなのに。
ていうかトレースなんかしたらかえって描きにくい気がするが…。

参詣曼荼羅

今月は、仕事で鍋焼きうどんの絵と、もんじゃ焼きの絵を描いた。
いま描いてるのは富士宮焼きそばがテーマ。。。B級イラストレーターっす!
「なんでもいいんで岩清水ワールドでお願いします」と言われたんだけど、(焼きそばそのものを描かなくてもいいらしい…)富士宮焼きそばって食べたことないし、それはつまり岩清水ワールド圏外ってことなんじゃないかな…。(東京にもいくつかお店があるみたいだから近いうちに食べたいけど)

などと思いつつ、いろいろ調べてるうちに、富士山本宮浅間大社にある、狩野元信?作の「富士参詣曼荼羅」に行き当たった。この図柄が、わたしがイメージしてた構図にすごく似ていたので、興奮してさらに調べたら、参詣曼荼羅というジャンルがあるらしい。
富士山の他にもいろんな山やお寺のものがあって、構図もだいたい同じ。
日本の曼荼羅っておごそかな感じのものが多い気がするのだけど、参詣曼荼羅は、生き生きしていて、とくに、月と太陽の表現が面白い。

狩野元信の作品はさすがに高級な感じがするけど、チベットあたりの絵みたいな素朴な雰囲気のものもある。ゴーギャンの「我々はどこから来たのか…」みたいな要素のある絵もあった。共通するのは、いろんな情報が描き込まれた、地図みたいになってるとこ。
こういうのを見た昔の人は、富士講や、お寺の参拝に行きたいと思っただろうな。夢の国みたいだもの。わたしも富士山に登りたくなっちゃいそうだ。
いいなあ。。。画集とかあったら欲しいなあ。

ケンチャナヨ

しばらく更新が滞ってましたが、元気です。
今週は、時間をみつけては、韓国語の勉強をしてた。ジムのクロストレーナーで有酸素運動をしながらドリルを解いたりとか。
ハングルは合理的な文字なので、数時間で覚えられる人もいるそうだが、わたしはちょっと時間がかかった(まだ文字を覚えただけ)。

なんでいきなり韓国語の勉強をはじめたかというと、例の韓国プロジェクトのサイトでコミックエッセイを描くことになり、コミックエッセイらしく、文字も手書きにすることにしたのだけど、その翻訳版の文字もわたしが書き入れると前川さんが決めたから。

プロジェクトの人々はバイリンガルが多いので、不便もないし、とくに韓国語を覚えるつもりはなかったのだが。。。
プロジェクトでは、翻訳してもらった文を書き写すだけではあるけど、ゴッホが描き写した日本語みたいにへんてこなことになったら困るので、とりあえず表記のルールくらいは頭に入れておかなきゃいけない。

でもやってみるとこれが面白い。確かに文字の仕組みがよくできているし、表音文字だから、意味が分からなくても、超ゆっくりなら音読もできる。
で、辛ラーメンとか韓国海苔のパッケージの文字をぶつぶつ読んでみたりして、模様にしか見えなかった文字が、音を伴って見えてくるのってすごく楽しい。

でも、小学校から親しんできたローマ字なみに身に馴染ませるのは大変そうだ。
日本語では意識していない発音が多いし、読み方の例外的な決まりも多いので、本気で覚えるなら、とにかく耳で、何回もくり返し聞かないと。。。
こんなことなら春の韓国旅行の前に覚えればよかったような気もするが、(ソウルでは、英語や漢字の標識がほとんど見られなかった)
読めない文字に囲まれてる状況もあれはあれで面白かったんだよね。。。

友達ランチ

きょうは、高校時代からの友人、Rちゃん&Nちゃんと池袋でランチ。
Nちゃんと会うのはもう何年かぶりだし、Nちゃんのベイビーとは初対面。パパも高校のときの同級生なので、なんだか感慨深いものがあった。
ベイビーは、色白で、Nちゃんにそっくりで、おとなしくて、絵本が大好き。いま二歳だから、大きくなるまでにわたしの絵本が間に合うといいなー。
Nちゃんは、歯医者さんの仕事も続けながら、姑とうまくやったり、しっかり公園デビューしたりしてるそうで、えらいもんだ~。

Rちゃんは、某・時計メーカーの広報室に勤めているのだが、今、わたしが日経ビジネスアソシエさんで挿絵をさせていただいてる、桂望実さんの小説「ハタラクオトメ」は、時計メーカーが舞台になっている。

これから時計の工場のシーンの挿絵を描かなければいけないし、もしかして見学とかさせてもらえないかなあ~、と思って聞いてみたら、見学は誰でもできるけど、工場は盛岡にあるのだそうで、残念ながら自腹で行くのは無理そうなのであきらめた。

が、去年、桂さんと編集者さん方が、まさにその工場を取材されたらしく、そのときにご案内をしたのが、なんとRちゃんだったそうなのだ。
よ、世の中せまいなあ。。。まさか同じ仕事にかかわる日が来るとは…!

ラッセラー!

「オルゴォル」の連載が、青森県八戸市の「デーリー東北新聞」さんで、7/30から新たに始まったそうです。
たしか、母方の祖父が青森県人会に入っていたはずなので、うれしいです。青森のみなさま、どうぞよろしく。。。

堀内誠一 旅と絵本とデザイン展

きょうは、世田谷文学館「堀内誠一 旅と絵本とデザイン展」に行った。
アンアンの創刊時のアート・ディレクターで、絵本作家で挿絵画家で、絵と文によるおしゃれな旅行記のはしりでもあった、多才な人。
「たろうのともだち」とか「秘密の花園」とか、読んでたなあ…。

わたしはデザインのことはよくわからないし、なにも言うことはないんだけど、デザイナーの人が描いたイラストって、ほんとに過不足がないというか、印刷した時にいちばん映えるように最適化されてて、不要な部分は一切描いてない。
だから、額に入れて飾ったときに良いとはかぎらない。昨日見た小林かいちも同じ。
これってほんとにすごいことなのだ。デザインの力ってほんとに大きい。

イラストレーションって、やっぱり印刷されてなんぼのものだから、ほんとうは、イラストレーターの側が、印刷の条件に合わせて、出版された時に一番きれいに見えるように計算して描くべきで、「印刷したら色が再現されなかった」なんて文句をいうのは責任放棄だと思う。

でも、デザインの専門家じゃない人間が、イラストだけずーっと描いてると、どうしても、印刷で再現できないこともあれこれやってみたくなってしまうし、必要のない細部にこだわってしまったり、力の加減が難しいところがある。

さらに個展をやろうとか思うと、どうしても、文字とかは抜きにして、額に入れて展示した時にいちばんかっこよく見えるように描きたくなってしまう。
だからイラストレーターに徹するならば、個展はたまにやるサービスくらいに考えて、深入りしないようにしたほうがいいんじゃないかとも思うんだよね。
展示は営業の一環だから、それはそれで必要なものなんだけど。。。

でも、そうやって自己主張せずにいられない、性というか業みたいなものが、絵描きの面白いところなのかもしれない、と開き直って暴れるしかないのかな…。

謎のデザイナー 小林かいちの世界展

きょうは、ニューオータニ美術館「謎のデザイナー 小林かいちの世界展」へ。
最近になって注目されたそうだけど、大正~昭和初期に京都で活躍した図案家。封筒とか、絵はがきのデザインをたくさん手がけたらしい。
でもそれは10年間くらいで、その後は友禅の図案をしていたという。
そんな、経歴もはっきりわからない人が再評価されてるってすごいことだ。

かいちの作品は、アール・ヌーボー調で、ちょっとエルテ風のものもある。
金色・銀色の使い方と、薄紫のグラデーションの美しさが印象的だった。
一枚一枚を単品で見ると、絵としての完成度は高くないが、たくさん並んでるのをみると、なんともいえない情緒があるし、素朴な木版の印刷が味わい深くて、とにかくセンスがいい。

人物の顔はほとんど描き込まれてないし、手の描き方なんかも少し適当だけど、たぶん仕事が速くて、ものすごく大量にデザインしてたんだと思う。
これは絵はがきなので、買った人が上に文章を書き込んで使うには、このくらいスキのあるくらいが、邪魔にならなくてちょうど良いのかも。
世相に敏感に反応して流行を自由自在に取り入れたり、図案家に徹してるなあ、仕事人だなあ~、って感じだった。

意外だったのは、この絵ハガキを使ってたのは主に女学生だったということ。
昔の女学生、大人っぽいな!うーん、たしかに嘆美的なんだけど、少女趣味とはちょっと違うような?いや、同じなのかな?よくわからないな。
これを今このまま真似すると、関西マダム風味になっちゃう気もする。
本物は素敵なのだけど。。。

絵ハガキって、絵をかく人はみんなわりと気軽に作るし、名刺代わりに使ったり、展示のついでに販売したりしてるけど、元々、一般に広まったのは、日露戦争の時に、戦地の兵隊さんと手紙をやりとりするために使われて、大流行したのがきっかけだそう。
ハガキひとつとっても、歴史とか政治とか、関係してたりするのだな。

またまた観ちゃったよ、エリザベート

きょうは、宝塚月組「エリザベート」の新人公演を観に行った。
今回の主演は、逸材・明日海りおだから、すごく期待していた。

宝塚の新人公演に出演するのは入団7年目までの人だそうだ。全然関係ないけど、わたしも今年でイラストレーターになって7年目。
7年って長い。もういいかげんしっかりしないと。

メキシコ20世紀絵画展

梅雨が明けて、真っ昼間の砧公園は、緑がギラギラ。
きょうは占い師Sさんと、世田谷美術館「メキシコ20世紀絵画展」に行った。

フリーダ・カーロの「メダリオンをつけた自画像」が目玉。
小さい絵なのに、これが一番最初にぽつんと1点だけで展示されていた。
確かにほかの画家たちとは明らかに違う、なにか超越した感じがあった。

わたしのお目当ては、フリーダの夫、ディエゴ・リベラの「夜の風景」。
本物を見られるとは。絵の前でじーーーーーっと立ち尽くしてしまった。

昔、実家にあった美術書でよく眺めていて、すごく印象に残ってたのだけど、題名も、画家の名前も、描いたのがメキシコ人だということも知らなかった。
で、この展覧会のチラシに「夜の風景」の写真が載ってたのを見たときは、ええっ、これ描いたのってディエゴ・リベラだったのか!と、ヘレンケラーがウォーターと言った瞬間のように驚いてしまった。
リベラのほかの絵はMOMAとかで見たことあったのになー。

ほかは、メキシコ革命を描いた絵とか、力強いけど暗い絵ばかりで気が滅入った。そういえば昨日見たエリザベートの夫、フランツヨーゼフ1世の弟は、19世紀に銃殺されたメキシコ皇帝、マクシミリアン1世だったな。不幸だ。。。

ホセ・グァダルーペ・ポサダのイラストを集めた展示も面白かった。悪趣味なゴシップ記事とかに添えられた、なにやら不穏な挿絵。
素朴というのは違うけど、洗練されているわけでもなく、ただ凄みがある。モチーフは骸骨が多くて、これが人々に大人気だったそう。

かの地では生け贄の髑髏を祭壇に供えるというから自然に受け入れられるのかも。
日本の「新聞錦絵」の、いわゆる「血みどろ絵」を思い出した。
でも血みどろ絵ほど凄惨な雰囲気ではなく、もっとからりとしていたけど。
これがメキシコ絵画に影響を与えたのだそうだ。ふーん。

それからSさんと、夜までえんえんとおしゃべり。カウンセリングの勉強もしているとのことで、さすがの聞き上手。
いろいろ話してるうちに、次にやりたいこととかが、少し明確になった気がする。

村山知義と三匹の小熊さん/ZINE’S MATE THE TOKYO ART BOOK FAIR

きょうは、まず、渋谷の松濤美術館の近くにある、ギャラリーTOMへ。
展示していたのは、村山知義の絵本、紙芝居、それにアニメーション。「三匹の小熊さん」というキャラクターが登場する作品を集めた展示。

村山知義は、演劇とか舞台美術とか挿絵とかプロレタリア文学とか転向文学とか、いろんな分野で活躍した人なので、名前はなんとなく知っていたのだが、ちゃんとまとまった形でイラストの仕事を見たのははじめて。
プロレタリア文学なんていうとなんだか貧乏臭いイメージだけど、当時としては最先端のお洒落なものだったのかもしれないなあ。
それくらい、素朴なのに洗練されてて、媚びないのに可愛らしい絵だった。
でも少女趣味じゃない可愛さだから、知的で上品。

いまは日本中可愛いものが溢れてるけど、当時はさぞかし斬新だったことだろう。
絵本を見るかぎりでは、小難しいこと考えてる人にはとても思えない。
子どものため、子どものため、という説明文が、今見るとうるさい気もしたが、人々の意識が今とは違ったろうし、それくらいアピールする必要があったのかも。
で、またアニメがちょっと笑える感じで可愛いんだ。DVD買おうかとすごく迷ったけど、影響されそうだったのでやめた。
うーん、あんなにシンプルでもいいのかあ。。。

それから、寄り道しながら表参道までとことこ歩いて、だいぶ前に装幀のお仕事でお世話になったデザイナーさんが出展されてた、ZINE’S MATE THE TOKYO ART BOOK FAIRへ。
2カ所の会場はどちらも大盛況で、カッコいい本がところせましと並んでいた。
入り口でばったりR君に出くわしたのだが、混雑ですぐ見失ってしまった。

ノートにさらっと描いた落書きみたいな絵を、束にしてホチキスで留めたような、簡略な本というか冊子が多かった。ああいうの、流行ってるんですかね。
あれならわたしにもできるかな~って、ちょっと真似してみたくなっちゃった。
わたしが作ったらあんなふうにお洒落にはならないだろうけどさ。

それにしても本が好きな人ってたくさんいるんだなあ。
そして、カッコいいということは、果てしないことであるなあと思った。

賑やかしですが。。。

ハングルプロジェクトについて、いま活発にやりとりされてて、すごくわくわくする、、、みんなあたまいいなあ!
もうしばらくしたらネット上でなんかはじまることでしょう。

わたしは翻訳の戦力には全くならないけど、イラストを使って、みんなの息抜きになるようなコンテンツを作りたい。文字ばっかりだと息が詰まると思うし。。。
いままで描いて来た絵よりも、少しラフなタッチでできればいいなあ。
ラフって意外と難しいんだ、わたしはつい神経症的に描き込んでしまうから。

いまはみんなタダ働きだけど、ちゃんと出版できるクオリティのものにしたい。
まあ、楽しみにしててください!

裁くのは僕たちだ

今朝、郵便受けを開けてびっくり。
装幀イラストを描かせていただいた、水原秀策さんの小説、「裁くのは僕たちだ」(東京創元社ミステリ・フロンティア)の見本が入ってた。いつ届いたんだろう?…昨日か一昨日か。

裁判員もので、どんでん返しの連続、ハラハラドキドキのミステリです。
あまりにも旬なテーマなので、裁判員というのを前面に出すかどうかとか、編集者さんとさんざん悩みまくったあげく、こんなふうになりました。
オーソドックスなようで、意外とないパターンの表紙になったかも。色は地味なんだけど、顔がたくさんだから、描くのたいへんだったなあ…。

裁くのは僕たちだ (ミステリ・フロンティア)

    • 作者: 水原秀策
    • 出版社/メーカー: 東京創元社
    • 発売日: 2009/05/22
  • メディア: 単行本

チャンネルファンタズモ

装幀のイラストを描かせていただいた単行本、加藤実秋さんの小説「チャンネルファンタズモ」の見本が届きました。
今回描いたのはいくつかのパーツ的なカットばかりで、ちょっと泥臭い絵だったので(自分で描いておいてアレですけど)、いったいどうなるのか、楽しみなような怖いような気持ちでいたのですが、デザイナーさんのおかげで、素敵な仕上がりになっていました。

「問題小説」さんで、連載中から挿絵を描かせていただいてて、その絵を加藤さんが気に入ってくださったとのことで、当時の挿絵3点+描きおろしの挿絵1点も収録されています。
オカルト風味のミステリーで、コミカルなキャラクターが重要な小説なので、挿絵を描くのも苦労しましたが、ほんとにありがたいことです。。。

チャンネルファンタズモ

    • 作者: 加藤実秋
    • 出版社/メーカー: 徳間書店
    • 発売日: 2009/05
  • メディア: 単行本

憑いてる~!

あかね書房さんから電話があって、怪異伝説ダレカラキイタ?第1巻「タタリの学校」の3刷と、3月に出たばかりの第4巻「恐怖の教室」の重刷が決まったとのこと。

わーわー! いやあ、親孝行な子たちだ。。。

偕成社さんの「放課後の怪談」シリーズも第二期刊行が決まったそうで、また挿絵を描かせていただけそうです。

なんか今日はついてる。。。

子どもたちよ、きみらはなんでそんなに怪談が好きなのかね?
わざわざ本で読まなくても、世の中怖いことでいっぱいなのに。。。

怪異伝説ダレカラキイタ?〈1〉タタリの学校 (怪異伝説ダレカラキイタ? 1)

  • 作者: 加藤一,岩清水さやか
  • 出版社/メーカー: あかね書房
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 単行本

怪異伝説ダレカラキイタ?〈4〉恐怖の教室 (怪異伝説ダレカラキイタ? 4)

怪異伝説ダレカラキイタ?〈4〉恐怖の教室 (怪異伝説ダレカラキイタ? 4)

  • 作者: 加藤一,岩清水さやか
  • 出版社/メーカー: あかね書房
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本

放課後の怪談〈1〉暗闇からのびる手

放課後の怪談〈1〉暗闇からのびる手

  • 作者: 田部智子,朽木祥,正道かほる,たからしげる,佐々木赫子,横山充男,日本児童文学者協会,岩清水さやか,今井ヨージ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 単行本

トラベルの語源はトラブル

きょうのソウルは暖かくてとてもよいお天気。
早起きして、実家に泊まっていたソンさんにむかえにきてもらい、大きな市場や、いろんな問屋街(日曜だから閉まってたけど)をひやかし、たまたま通りかかった普信閣で、伝統衣裳の派手な行列に遭遇したり、お粥を食べたり、菊茶を飲んだりしながら、鍾路の大きな本屋さんへ。

小説とかの装幀や、絵本や美術書、イラスト雑誌などを物色&買い込んだ。
街中の標識とかもそうだけど、漢字表記はほとんどなく、ハングルばかりだから、自力ではまったく何が書いてあるのかわからない。

知りたかったのは韓国のイラストレーションの傾向なのだけど、出版物のイラストは、わりと保守的というか、プロフェッショナルというか、丁寧に描き込まれた暖かみのある絵や、繊細な線のイラストが多い。不景気のせい?
なんというか日本的なファンシーさはなくて、手堅く大人っぽい印象。アニメ系のものを除けば、日本からより欧米からの影響が強そうだった。
ここに新参のイラストレーターが入り込むのはけっこうハードルが高そうだ。
ヘタウマ系とかアート系のお洒落な絵は、広告とかに使われることが多いみたい。
いずれにせよわたしの絵に似たのは全然みかけなかった(いいのか悪いのか)。

それから明洞に出て、化粧品屋さん(男性の韓流スターのポスターだらけ)を見たり、地下道の商店街を眺めたり。地上より地下のほうがキッチュで面白かった。
1日遅れで日本からきた、映画評論家のOさんMさんご夫妻&そのお母様と合流。
人ごみの中、うっかり迷子になったりしつつも、どうにか昼ご飯にありついた。なんかの麺と餃子で、とても美味しかったんだけどなんという名前だったか忘れた。
わたしは、韓国料理が辛いのは気候が寒いせいだろうと思っていたのだけど、これは間違いで、元々、辛い料理は韓国でも南のほうのものなのだそう。
そういえば北朝鮮の冷麺は辛くないし、ソウルの宮廷料理も辛くはなさそうだ。
辛い料理は暑い国のものなんだな。東南アジアの料理も辛いものね。

そのあと、大学や小劇場があつまる街、大学路へ。
あちこちに演劇のポスターが張られ、劇団員がチラシ配りをしている。
演劇のポスターのイラストの、なんかイマイチあか抜けない感じは日本と一緒だな。

写真の下段中央は「熱海殺人事件」のポスター。その右隣は「グリース」、その上は「イヨネスコフェスティバル」。イヨネスコ生誕100周年だそうな。へー…。
ソンさん曰く韓国の演劇はコメディ中心で、ワッと笑ってそのまま忘れる感じだそう。
ここでもうろうろしてる間にまた前川さんがいなくなっちゃったりもした。

そして仁寺洞の観光客向けお土産屋さん街に寄って(ここの記憶があいまい)から、南大門市場で銀食器やら韓国海苔やらお茶やら朝鮮人参やらをそれぞれ買い込んだ。
ずうっとソンさんに頼りっぱなしで、どこ歩いてたのかわかってなかったんだけど、あとで地図見たら、けっこう狭いエリアをぐるぐる回っていたんだな。

明洞で焼肉を食べて解散したのはもう真夜中。でもそれから前川さんとわたしは、汗蒸幕&ヨモギ蒸し&アカスリ&足ツボ&金箔パック&カッピングのコース。
裸で、おばちゃんたちに揉まれたりこすられたりしてると、心が無になりますなあ。
またわたしがロッカーの鍵をなくしたりと一騒動あったけど、疲れはとれた。
なんかちょっとぼったくられた気もするけどね。。。

レジデンスに戻って、こってり眠った。ふつうに観光した一日だった。